労働新聞 2002年11月15日号 青年

アジアの平和求める運動を
米国追随の政府を許すな!
学生が日朝正常化求め宣伝

日本労働青年団 茨木 多重子

 日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との首脳会談から、はや2カ月が経過しようとしている。しかし、その後わが国政府は、この会談に寄せた多くの人びとの期待を踏みにじり、予想通りに平壌宣言の合意を裏切って、米ブッシュ政権の手先となり、さらに北朝鮮敵視を強めている。
 本来、日本と北朝鮮との2国間の国交正常化交渉であるのだから、あからさまに米国がこれに干渉、その意を受けて、わが国政府が交渉を進めていることに、われわれは異議をつきつけるべきである。
 本来、わが国政府は、合意された平壌宣言の精神に沿って、両国の早期の国交正常化に向けて、誠実に交渉を進めるべきである。
 平壌宣言では、まず両国が国交正常化交渉のテーブルにつき、拉致問題や安全保障問題などさまざまな問題を交渉を通じて話し合い、解決をめざす、としている。これを抜きにして、両国が新しい関係をつくっていくことは困難である。
 この間、拉致問題に続き、核兵器開発の問題を取り上げて日米ともに北朝鮮を攻撃している。しかし、世界最大の核兵器保有国である米国を批判する声が聞かれないのは奇妙なことである。
 朝鮮戦争以来、休戦中とはいえ米国と戦争状態にある北朝鮮が、核兵器を含む強大な米軍の包囲と封鎖の下で、それに対抗するための核兵器保有を望んだとしても、それは理解できないことではない。


街頭で宣伝する日本労働青年団

 またわが国政府は、日本も北朝鮮の核の脅威下にあるなどと盛んに宣伝しているが、わが国こそ米国の核の傘に守られながら、戦後一貫して北朝鮮敵視政策を進めてきたのではなかったか。
 戦前の植民地支配、朝鮮人民への強制連行や従軍慰安婦問題など、わが国政府はいまだにこれらの犯罪に対して、正式に謝罪も補償もしていない。そればかりか戦後も一貫して米国と共に北朝鮮敵視政策を続けてきた。その歴史の中で拉致事件など不幸な事件が発生したことを忘れるべきではない。
 日朝両国の友好関係のためには、戦前からの植民地支配について謝罪と補償を行い、敵視政策をやめ、相互信頼の基礎をつくらなければならない。
 また、アジアの平和を真に望むのならば、むしろ米国に対し、「北朝鮮敵視をやめろ、日本から米軍を撤退させろ」と表明するのが筋ではないか。
 われわれ青年は、両国の敵対的な関係が続くことを望んでいない。隣国との友好関係とアジアの平和、安定のために学生青年は、現政権・支配層への批判と運動を強めるべきである。アジアの平和は、日本が米国の傘から脱し、アジア諸国と同じテーブルにつくことでしかもたらされない。
 今日、わが国政府をはじめ、マスコミや新聞の論調は、一方的に北朝鮮敵視をあおっており、悪質極まりない。米国に追随した一方的な北朝鮮敵視キャンペーンに抗し、日本労働青年団の同志が街頭に立ち、日朝国交正常化の早期実現を求めて強く訴えた(11月9日)。
 米国追随の日本政府の北朝鮮敵視政策に反対し、日朝国交正常化の早期実現を求め、学生・青年はさまざまな階層、労働者の皆さんと団結して立ち上がろう!

□■街頭宣伝に立って団員の感想■□
 
 非常に注目された。年配の人だけでなく、大学生、高校生などもビラを受け取り、横断幕や話にじっと聞き入っている姿も見受けられた。
 反応について当初心配もしたが、マスコミや新聞で一方的な論調しか流れていないので、先の見通しがなく、この先どうなるのか、皆の関心も高い。
 ある年配の男性に「では北朝鮮が何もウソをついていないというの?」と質問されたが、「拉致の背景をつくってきたのは日本とその背後にいる米国で、日本が戦後すぐ自主的に国交正常化して実直に関係をつくっていれば起こらなかったことだ」と答えると、「それもそうだね。みんながんばって!」と応援してくれた。私たち日本労働青年団は、今後もまっすぐにこの問題の解決への提起をしていくことが求められていると思う。


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