20020405

国立大学の法人化「最終報告」撤回せよ(談話)

大学改革うち破る学生運動を

日本労働党中央委員会学生運動対策部長 秋山 俊彦


 秋山俊彦・日本労働党中央委員会学生運動対策部長は3月30日、国立大学の独立行政法人化などを盛り込んだ、文部科学省調査検討会議「最終報告」についての談話を発表した。

1、  国立大学の「法人化」に向けて、その制度、組織設計を検討してきた文部科学省の「調査検討会議」の「最終報告」が3月26日、文部科学大臣に提出された。
 政府は、これを受けて、2003年度までに法案を国会に提出、2004年度から、いっせいに国立大学の「法人化」に着手することとしている。

2、  「最終報告」が示したものは、国立大学を国の直轄運営から切り離し、独立行政法人の1形態である「国立大学法人」として経営するというもので、民営化にむけた第1歩である。
 こうすることで、先進国中最低といわれるほどに貧弱で劣悪なわが国の高等教育予算が、さらに大幅に削減されることとなる。
 あわせて、「民間的手法の導入」の名のもとに大学役員へ「学外の人材」を登用し、大学運営に経済界の意思を直接反映させる仕組みをつくる。
 さらに、教職員の身分は「非公務員型」とし、その身分保障を奪うとともに大学教員、研究者の民間企業との兼業、兼職を解禁。大企業のための委託研究や、技術移転を促進し、産学協同を飛躍的に拡大させる。
 これは、国際的な産業競争力強化をあせるわが国、多国籍大企業のために、大学をその下請け研究機関へと変質させようとするものである。
 一方、新しい大学法人には、文科相によって中期目標が設定され、その達成度を、文科省の「国立大学評価委員会」が査定し、その結果を国が大学に支払う運営費交付金の算定に反映させることとなる。地方国立大学、単科大学など競争力に欠ける大学は、基礎的運営費でも冷遇され、存亡の危機に直面する。こうして大学の再編、淘汰(とうた)が促進される。
 また、このような財政を使った誘導策とあわせて、強引な構造改革を推し進めるため、大学運営における学長権限を「トップダウン型」に強化し、さらには、学長の任免権を文科相が独占的に握ることで、「大学の自治」を奪い、文科省の直接の統制を強化することもはかられようとしている。
 わが党は、国立大学はじめ高等教育全般に対する国の責任を放棄し、学生、父母、教職員にあげて矛盾を押しつけ、多国籍大企業の利益に沿った大学へと「構造改革」を急ぐ今回の「最終報告」の内容に断固反対し、その撤回を強く要求する。

3、  一方、一部大学当局は、法人化を前提に、激化する大学間競争での生き残りをかけて、なりふりかまわぬ合理化や再編を急ぎ始めた。「トップ30大学」への資金の重点配分や大学再編、統合促進を打ち出した文科省の「大学の構造改革の方針」(遠山プラン)は、この傾向にいっそう拍車をかけた。とりわけ、改革に対する抵抗の拠点となるおそれのある学生の自治、自主活動に対する最近の弾圧、解体攻撃の強まりを、わが党は決して看過することはできない。わが党は、どのような理由であれ、大学当局の学生に対する、あらゆる犠牲の押しつけに反対する。
 先進的学生諸君が、あらゆる攻撃や弾圧に屈することなく、学園での闘いを堅持するとともに、次第に全国的な連携を深め、反撃の闘いを準備することを熱烈に支持する。
 学費値上げ、育英奨学金制度の改悪、そして深刻な就職難と、学生をめぐる環境は激変し、学生の不満と怒りは次第に沸点に近づこうとしている。闘いはこれからで、改革の具体化が進むたびに「痛み」は耐えがたく、反撃は強まらざるを得ないだろう。闘いの発展の客観条件は発展せざるを得ない。ここを確信して、自らの力に頼って闘おう。
 議会の野党、とりわけ民主党は、国立大学民営化を公然と掲げて、改革を与党と競い合っている始末で、無力であるばかりか犯罪的である。こういう連中に頼ることは全くできない。また、共産党も、グローバル資本主義下で改革を急ぐ支配層の狙いを暴露せず、「学生のための大学改革」などと、早々と改革論の軍門に下っている。
 学生、教職員の団結した実力こそ力である。改革政治に苦しむ各層の闘いと連携し、国民大多数の利益と社会進歩に貢献する大学を実現するために、学生は国民的闘いの先頭で奮闘しよう。