国立大学の独法化反対学生運動の攻勢準備へ大学「改革」攻撃をうち破れ早川 裕二 |
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はじめに 国立大学の独立行政法人化への移行とその後の大学運営、組織のあり方を検討してきた文部科学省の「調査検討会議」の最終答申が今月末までに出されようとしている。政府は、これを受けて、2003年度までに法案を国会に提出、2004年度から、いっせいに国立大学の「法人化」に着手する予定である。 大学の強引な再編、淘汰を促進 最終報告が示したものは、国立大学を国の直轄運営から切り離し、独立行政法人の一形態である「国立大学法人」として、独立して経営させるというもので、事実上の民営化の第一歩である。こうして、国の財政負担を大幅に軽減させるとともに、「規制緩和」「競争原理の導入」を徹底させ、再編、淘汰を促進させようとするものである。これを貫くキーワードは「国際競争力ある大学の育成」である。 「改革」を余儀なくされる支配層 80年代半ば以降、国際化に直面したわが国支配層、多国籍大企業は、市場開放圧力の高まりの中で、産学連携と大学改革を強く求めるようになった。しかし、90年代に入り、いっそう激化する「グローバリズム」の中で、「情報化、技術革新」で遅れをとり、国際的な産業競争力にかげりを深めたわが国独占資本にとって、大学の研究機関とその成果を効率的に活用することが死活的課題となった。また、「資本効率重視」の経営への転換を図る独占資本の雇用政策にとって、雇用の多様化に対応し、即戦力となる人材養成を安上がりに実現するための大学の再編、統合が不可避となった。高度成長期に量的に拡大し、均等な人材育成政策を担った大学制度は、非効率なものとなっていた。さらに、60年代末の全国的学園闘争の終えん以降、国の大学管理の末端機構に脱してきた、教授会を中心とした学内意思決定システムも、産学協同と淘汰、再編を急ぐ改革にとっては抵抗要因となっていた。 ジレンマに陥った大学改革 戦後のわが国の高等教育政策は、「護送船団方式」などといわれ、文部省がその許認可権と財政を使って、国公私すべての大学を保護し、支配してきた。それは支配層にとって、戦後復興と高度成長を科学技術、人材養成両面で支えた効率的な産業政策の一部でもあった。しかしこんにち、財政の制約、そしてグローバリズムの名のもとに全世界の先端技術と人材を独占しようとする米国の戦略など、国際圧力に押され、その抜本改革に手をつけざるを得ないところに追い詰められたのである。米国に明け渡すところは明け渡さなければならない。しかし、戦略産業と技術だけは握っておきたい。なおかつ、大学のリストラは財政面から待ったなしである。これが対米従属で多国籍化したわが国独占資本の陥ったジレンマである。そして何より、改革は国内で巨大な抵抗に遭遇する。支配層にとって、改革はこれからが正念場である。
政府の経済財政諮問会議が昨年六月に発表した「構造改革に関する基本方針」(骨太方針)には、すでに国立大学の民営化が明確に打ち出されている。これに押された形で発表された文科省の「大学の構造改革の方針」(遠山プラン)は、民営化を射程に入れて、大胆な統合、合理化を打ち出し、大学関係者に大きな衝撃を与えた。 犠牲押し付けと断固闘おう 一方、個別大学経営は、改革へ対応し、生き残りのため、なりふりかまわぬ合理化や再編を急ぐことになる。それは学生にとって、学費値上げ、勉学条件の悪化、はては大学自身の統廃合、廃校など、とてつもない不利益を押し付けられることになる。 |