20001005


戦後日本の労使関係・労働運動の
歴史的総括のために


(四)おわりに

 敗戦直後の労働攻勢から半世紀余、三池闘争から数えても四十年、わが国労働者階級は日本的労使関係にしばりつけられていた。労働運動は長期にわたって「民主的労働運動」「労働組合主義」などの日和見主義に牛耳られてきた。だが、情勢は激変し、ほかでもなく資本家側の手によって日本的労使関係は崩壊過程に入った。わが国労働者階級が日本的労使関係の呪縛(じゅばく)から解き放たれ、力強く前進する時代がやってきたのである。二・一ストや三池闘争をはじめとする戦後労働運動の先達たちがかかげた赤旗を、再び高々とひるがえして闘う時代がやってきたのである。
 金融グローバル化の大競争時代は、各国労働者階級の反抗を呼び起こす時代である。欧米諸国で、アジア諸国で、労働者の新たな闘いが広がり、規制緩和、市場万能主義に抗する国際的連帯が進んでいる。わが国労働運動も、その一部をになわなければならない。
 すでに述べたが、わが国独占企業、支配層は決して強い立場にはない。グローバル時代に入り、アジア金融危機を経て、選択の余地がなくなり、日本的労使関係を破壊することでリスクに備えようとしているのである。
 だが、確かなことは資本主義の危機は深く、いつ「二十一世紀型危機」の嵐が見舞うか予測は不能で、独占企業・支配層の対策が間に合うとは限らないということである。その不透明さは、第一次石油ショックを乗り切った後、日本企業の代表として賞賛されていた日産自動車が、その十年後にはルノーの軍門に下った例をあげるだけで、十分推察できよう。
 さらに、世界経済は、米国の株価がどうなるか、大きなリスクをはらんでいる。わが国の財政は膨大な借金を抱え、激変に備える上で支配層の制約となっている。
 結局のところ日本の企業家、支配層の頼みの綱は、労働運動を牛耳る日和見主義指導者以外にない。だが、それとて保証のかぎりではなくなった。日和見主義指導部を買収する原資の確保が不安定になってきた。九九年になってわが国の所得収益(証券投資収益や直接投資収益など、資本・労働所得に関する対外収益)は、円高、アジア危機の影響で減少に転じた(グラフ1)
 また、わが国の競争力ランクの低下が言われている。自動車産業では買収、合併、連携など世界的再編が進んでいるが、マツダ、日産、三菱が外国資本の軍門に下り、日本の自動車メーカーの生産シェアは低下が著しい(一九九一年には世界の三七・四%まで増加したが、九八年推計で三〇・七%)。これまた、日和見主義の物質的基礎の脆(ぜい)弱さを示すものである。
 闘いの前途は、まさにこれからのわれわれの闘いにかかっているのである。

(おわり)


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