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資料 国立大学の民営化

独立行政法人化反対

横浜国立大学教職員組合など


 全国の国立大学教職員組合は、政府による国立大学の独立行政法人化に反対する運動を強めている。各大学では、独立行政法人化反対の署名運動などを行っている。横浜国立大学教職員組合による「独立行政法人化」問題緊急資料集より問題点と首都圏の国立大学教職員などでつくる独立行政法人反対首都圏ネットワークの緊急声明を紹介する。


研究、教育になじまない「独立行政法人化」
拙速な対応はやめ、開かれた議論を!


「まず定員削減ありき」の数あわせ
 独立行政法人通則法を含む中央省庁改革関連法の可決を受けて、二〇〇三年までに結論を得るとされていた国立大学の独立行政法人化問題について、文部省は二〇〇〇年夏までに結論を出す方針を決めたと伝えられている。このような性急な動きは、四月に自民党と自由党との合意において、公務員削減の目標が「十年で二〇%」から「二五%」に引き上げられたことに端を発するものである。独立行政法人に移行すれば身分は公務員でも定数に含まないとみなされ、この削減分を国立大学の独立行政法人化で達成するという。これは、「まず定員削減ありき」の乱暴な数あわせである。

拙速、情報操作 閉じられた論議

 文部省は八月十日に「今後の国立大学などのあり方に関する懇談会」を発足させ、たった一カ月あまりで報告書が提出された。
 こうした動きに「当事者である国立大学を抜きにして隠ぺいされた形で急に動きだしている」と国立大学協議会が指摘するほどである。
 教職員にほとんど知らせられないまま「あまり変わらないのではないか」「これを機に他の大学と再編するのでは」などのウワサが飛び交っている。また、「国立大学と独立行政法人制度」と題する個人論文があたかも文部省の見解のように広く配布されるなど、一種の情報操作が進行している。

独立行政法人化問題の開かれた討議のために

 教職員組合では、中長期的視野が必要な大学などの特性とまったく相容れず、「自由度」の拡大どころか政府による「誘導」の強化につながる危険性が高いものであり、成績主義の導入による教職員間の競争と身分不安定、学生・国民にとっては授業料引き上げにつながりかねないものと考える。
 いったん仕切り直すことが必要であり、当事者の参加も含めた公開性の原則のもとに大学改革の道筋を探っていくべきである。


国立大学の独立行政法人化を求める有馬文部大臣提案を拒否する(一部)

独立行政法人化反対首都圏ネットワーク事務局

 大学はそもそも「行政法人」ではない。独立行政法人の制度設計は、行政機関の企画立案機能と実施機能を分離し、後者の主として大量反復的な業務を効率的に行うことを目的として立案された。それが、まったく性質の異なる大学に無理やりはめこもうとしている。独立化は最終的には民営化である。効率化の推進は大学の企業化、カデミック・ビジネスへの転化が待ち受けている。そして日本の高等教育の未来像にどのような影響を与えるかが示されていない。
 大学を破壊に導く、この提案を全国の大学が拒否することを訴える。


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