990705


労働弁護団がリストラ、倒産110番

解雇、賃金切り下げの相談多数


 日本労働弁護団は六月五日、全国二十八カ所で「リストラ・倒産一一〇番」を開設した。弁護団はこれまで十三回の電話相談を行っているが、今回は八百五十八件で過去最高の相談件数となった。

 相談で多かったのは、解雇にかんするもので、全体の三二%に上った。相談者では四十五歳以上が半数以上を占めた。労働弁護団では、相談の傾向として、1)賃金切り下げの相談が目立つ。経費削減と同時に、退職に追い込む意図がみられる、2)雇用形態を正規従業員から派遣、パートに切り換え、同時に労働条件を切り下げる手法がみられる、3)病気などの労働者をリストラするケースが目につく。リストラが弱いものにしわ寄せされている、とまとめている。


「解雇の形をとるので失業保険で生活してくれ」
と言われ、失業給付を受けながら現在も働いている。
社内預金があるが、支払ってもらえない。(54歳男性)

相談事例(概要)

◆ 解雇 ◆

・業績悪化を理由に八人に整理解雇通告。なぜこの八人か人選に合理性がない。(41歳男性、製造業)

・業務中に骨折。職場復帰してすぐ「明日からこなくていい」と解雇通告。(37歳女性、製造業)

・給料(年収八百万円程度)がいちばん高いので辞めてくれと通告された。(58歳男性、製造業)

・即日解雇を通告された。当初、解雇理由として、無断欠勤、早退など事実無根のことを言われている。(36歳女性、公益法人・パート)

◆ 倒産 ◆

・突然閉店、全員解雇を通告された。退職金は支払えないといわれている。(63歳男性、居酒屋)

・今年一月に倒産。社長は退職金を「いずれ支払う」というだけ。しかも社長は別会社で事業継続しているようす。(71歳男性、製造業)

◆ 退職強要など ◆

・数年前に倒れ、管理職から降格されて復帰。「能力がない人間には給与は払えない」などと、連日退職を迫られている。(57歳男性)

・十年間勤務してきたが、「辞めてくれ。自己都合退職ということにしてほしい。まず有給休暇をとり、会社にこないでくれ」といわれている。(51歳男性、商品管理)

◆ 賃金切り下げ等 ◆

・四年前に退職。受領した退職金について「現在の規定ではもっと少ない」といわれ、差額を返還してしまった。(60歳男性、広告関係)

・勤続三十年。子会社に転籍で、賃金が二〇%ダウン。親会社の退職金が八百万円未払い。今年になって子会社も辞めさせられた。親会社は黒字である。(男性、商社)

・賃金は年俸制で、年俸額を十五等分して、その三カ月分を賞与として支給する約束。昨年十二月から賞与部分が一方的にカットされた。(男性、コンピュータ関係)

労働弁護団では火、木曜の午後3時〜6時まで、電話相談を受け付けている。03-3251-5363


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