990625


全国港湾、港運同盟

港湾の規制緩和に反対

港湾労働者が48時間スト


 運輸政策審議会が港湾の規制緩和を打ち出したことに抗議し、全国港湾労働組合協議会(全国港湾)と全日本港湾運輸労働組合同盟(港運同盟)は六月十九日から全国で四十八時間ストライキを闘った。この間の闘いについて聞いた。


実力闘争を基本に闘おう

全港湾大阪支部書記長 加来 洋八郎氏

 行政改革委員会は、ストライキも含めた港湾の闘いの結果、規制緩和と同時に港湾の安定運営方策を労働関係の安定も含めて検討する必要があるという結論を出した。ところが運輸政策審議会の答申には労働関係の安定につながる港湾の安定運営方策はほとんど含まれなかった。行政改革委員会の答申にも劣る内容の結論を運政審が出した。

 もともと規制緩和の論理として、国際競争に勝たなければということで、そのためには四六時中使える港にするということと、コストを下げるということがいわれていた。組合側は、「統一的にそういう問題を議論する場が必要だ。港湾運営法をつくって、運輸省や労働省、各自治体、利用者、業者、労働組合の代表が入って委員会をつくってやろう」と主張していた。

 あるいは二十四時間・三百六十五日操業が必要であるというならば、それは国として統括する必要があるのではないか。港湾政策を一元化して、そのもとにそれに応じた就労体制、三直(三交代勤務)なら三直、二直(二交代勤務)なら二直の体制をつくっていくことと、それを裏打ちする基金を出せと、また中央職業安定審議会では各港の必要な労働者の策定、登録した労働者以外港湾労働に従事できない制度を要求していた。それがいずれもちゃんと盛り込まれないままに答申が出されたということで、十九、二十日のストライキになった。

 もともと、どういう内容で運政審答申が出るかは事前に予想がついた。だから、その時点でストを打つ、または答申の日に打つことができればよかったと思う。

 また、全国港湾は春闘の中で周辺事態法反対の世論を形成する上で大きな役割を果たした。しかし規制緩和そのものと闘う、規制緩和自身と結びつけた闘いとしての春闘にできなかった。料金も含めて問題が運政審論議にゆだねられた。もっと実力で闘うことを基本にしなければいけなかったと思う。結果として行革委の段階に比べて運政審段階の闘いがあまり組織されなかった。言うことは言わせたが、組合の要求は取り上げず、足げにした。

 今回の総括をきちんとし、今後、今回の答申が法制化されるわけだから、そこに向けた闘いを組織していかなければならないと感じている。


腹をくくるべきとき

博多港湾労働組合協議会議長 牧園 五郎次氏

 運輸省は「規制緩和しろ、港を三百六十五日・二十四時間オープンしろ」の一点張りだ。また港湾では中小零細企業が圧倒的で、「集約合併をして大きな企業者をつくれ」と規制緩和委員会はいうが、二百人の会社を二つあわせても四百人分の仕事があるのか。そうなってくると人間が余って失業に結びつく。さらに、博多港には日雇いの労働者がたくさんいるが、その労働者たちの処遇はどうするのか。

 規制緩和で失業者が出ると予想されるので、その対策に公的資金を五千億円ぐらい出せと要求した。大蔵省は銀行には金を出しながら「そういうことはできない、一つの団体に対して特別なことはできない」という。

 また、規制緩和を先行するとされている十一港について、六大港については福利厚生などを定めている港湾労働法を適用するが、あとの清水、四日市、千葉などは適用しないといっている。規制緩和する港には少なくとも港湾労働法を適用すべきだ。

 もう腹をくくらなければいかんと思う。腹をくくって、今後組合員の雇用を一人でも多く港に残すためには組合がどういう政策をするのか、官や業にどういう申し入れをするのか考えなければならない。また組合だけじゃなくて、行政、業界と三者一体となって雇用の創出を考えなければいけない。

 今後博多港では、博多港で働く港湾労働者の七五%を組織するよう、拡大していきたい。現在の組織率六〇%を七五%に引き上げ、そこで一定の労働条件を決める。博多港のルールをつくらなければいけないと思う。そうすればダンピング防止にもなるし、やろうと思えばできると自信をもっている。


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