990605


派遣法、職安法改悪反対!

連合 全国から「雇用・生活危機突破」


 労働者派遣法・職安法の改悪案は衆議院を通過、参議院労働委員会で審議が進められている。六月一日に行われた参考人質疑では、経団連や日本人材派遣協会から労働者の実態を無視した発言が続出。これに対し、全国一般や日本労働弁護団は法案反対の立場から発言した(発言要旨は別)。

 連合は五月二十七日から参議院での審議に合わせ、国会前座りこみ行動を闘っている。それぞれ地方連合会は、審議のヤマ場とみられる六月十日前後に集会や街頭宣伝などを予定している。行動は「雇用・生活危機突破」をスローガンに、年金や医療改悪反対、百万人雇用創出、派遣法改悪反対で取り組まれる。


資料 参議院での参考人発言

資本家側

◆荒川春氏(日経連常務理事)

 派遣法・職安法は十分に論議を尽くし、速やかに施行されたい。雇用問題の解決に向けた環境整備は急務である。

 産業構造の変化に対応し、労働力の需給も変化をしている。チャンネルが多様にあったほうが労資双方のメリットがある。

 第三次行革審の意見にもあるが、基本的人権などの社会的規制は堅持し、それ以外の規制、特に経済的規制は自由化するべきだ。

 一年経過後の派遣労働者を常雇化するという努力義務は、当面はやむを得ないが、見直しも検討されたい。働くことにいろいろな考えの人がいるし、「契約の自由」にまで踏み込まれるのはいかがか。

 

◆井上勇夫氏(日本人材派遣協会理事)

 派遣会社は一九八六年にでき、順調に発展してきた。派遣会社は三百二社あり、日本人材派遣協会が七〇〜七五%のシェアをもっている。日本型雇用政策の見直し、合理的な人事政策の推進が背景にあった。今後もこの流れは続くし、需給調整に果たす役割は大きい。

 終身雇用は無駄が多い。季節変動への対応もできない。経済社会、労働者のニーズに対応した「改正法」に賛成する。(派遣労働者が)時間外賃金をもらえなかったり、年休がとりづらいなどの話しは聞いたことがない。そんな派遣会社があるのかなあ。あるとするともっと大変なことになっているはず。


労働者側

◆広松栄香氏(全国一般労働組合専従)

 派遣労働者のかかえるトラブルの多いものは、労働条件、契約違反など。トラブルの多くは派遣先に起因をしている。派遣先は法の外におかれている。権利を守ってくれる人がいない。

 さまざまな差別がある。男女差別を指摘すると「やめてもらってもいい」と脅かされる。

 派遣の自由化はもってのほか。現行の二十六種類だけでも不安定なのに、ますます不安定な労働者を増加させる。

 派遣法違反の取り締まりは野放し状態だ。罰則規定が必要である。

 

◆古川景一氏(日本労働弁護団)

 社員と派遣労働者の置き換えの問題については衆議院では対策がされなかった。また「同一の業務」の点も明らかにされたい。現行では例えば倉庫係員から倉庫受け入れ係員のように係りを変えれば同一の業務とされない。パート法、均等法は直接雇用の場合に対象になり、派遣労働者には適用されない。派遣法をこれらの法律の抜け道にさせてはならない。

 抜本的な修正を求める。このままでは雇用関係の荒廃はますます進む。

 一年後の(正規)社員化は疑わしい。民事的効力がない。国の勧告に従わない企業名を発表すると修正がされたが、会社には従わない自由がある。


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