990525


新ガイドラインに反対だ

労働組合員に聞く


5月21日、東京で開かれた「ストップ戦争法!全国大集会」会場で、参加した労働組合員に、新ガイドライン関連法案反対の声を聞いた。


全国民的運動が必要だ 全日本海員組合

 法案の内容の問題もあるが、審議そのものが分かりにくい。国民が中身を知れば、国論が割れると思いますよ。肝心なところが隠され、不透明なまま日程だけが過ぎている。

 安保条約そのものを変えようとしているわけで、全国民的な運動にならなければいけないと思う。本来ならば、六〇年安保の再来というような国論を二分する運動が必要。マスコミが取りあげないのは意図的なものを感じるし、このままで日本の将来は大丈夫か。

 私たちの先輩である船員が二次大戦で徴用されましたが、だれが守ってくれるわけでもない、丸裸ですよね。二次大戦で後方支援としてかり出された民間の船は、二千五百隻以上沈められ、六万二千人以上が亡くなった。そういった痛ましい経験を持っているし、私たちもそれを引き継いで教えられてきた。

 戦後も朝鮮戦争にかりだされ、中東戦争、ベトナム戦争のなかでも就航した。石油をペルシャ湾あたりから運ぶのを船員として全うしなくてはいけないが、イラン・イラク戦争では日本人が乗っている船が十二隻、攻撃され、二人が亡くなった。世界では四百隻以上の船が披弾した。そういう事実は国民に知らされていない。

 いざ戦争になったときには、中立国の船ですらやられてしまう。戦争で何万人死んだ、そのうちの何人じゃないか、なんて言う人もいるかもしれないが、労働組合としては一人たりとも死なせるわけにはいかない。

 NATOの空爆は象徴的。最初は軍事施設だけといっても、バスや病院だって爆撃される。日本でもああいうことが起こりかねない。だってアメリカが起こした戦争に協力したら、敵からすれば「協力している拠点をやれ」となる。沖縄に限らず、協力をすれば米軍と一体とみられるわけだから。


法案は航空法に違反 航空労組連絡会

 航空で働く者から見ると、法案は航空法に違反している。航空法は、民間機の保護を目的にしている民間航空条約に準拠して定められているが、周辺事態になった場合、兵員輸送などをすれば、民間機ではなくて軍隊など国の航空機と同じ扱いになる。そうなれば条約にある民間機の安全が保障されない。

 さらに、相手国からの攻撃対象、テロの対象になる。この三点が航空で働く者にとってこわいことなんです。とりわけテロは、日本でいくら規制しても防ぎようがない。

 周辺事態法ができた場合、航空会社が協力しないと言えるかどうか。航空は運輸省の許認可項目が非常に多く、拒否したら路線がもらえないとか、そういう恐れがある。だから法案が成立してしまえば歯止めがきかない。そして会社からは業務指示で「飛べ」といわれる。今の段階で廃案にしたい。

 もし新ガイドラインが実行された場合には、毎日積み重ねている職場の要求など、木っ端みじんになって、蹂躙(じゅうりん)されてしまう。労組としてそういう危機感がある。きちんと主張して反対していくんだという方向に、エネルギーが高まっていますね、いま。


日本はまさに植民地扱い 全日本港湾労働組合

 東京港のコンテナターミナルで、クレーンや機械を操作してコンテナを動かしてます。

 朝鮮戦争、ベトナム戦争などでもそうだったが、後方支援となれば当然安全な品物はない。それにどんな理由があろうとも、戦争は人の殺し合いだし、われわれの職場も危険な貨物が扱わされる危険性だけでなく、人殺しに加担することになる。そういうことには矛盾を感じる。

 日本は過去に過ちを犯したわけで、核兵器という悲惨な経過もある。戦争や紛争というものに、先頭にたって否定していく国でなければいけないと思う。人を殺すことを前提とするもの、すべてを否定していきたい。それに「脅威がある」と言われるが、そういうことを調整するために政治家というのはいるんじゃないか。

 職場の倉庫でも、自衛隊で扱う弾薬とか米軍で使う貨物だとか、仲間が荷役をやっている。結局、政府はフリーにして、どこでもいつでも使えるようにしたいわけでしょ。

 沖縄に何度か行ったが、沖縄を見れば、日本はまさに植民地扱い。それを全国的に波及させたいというのが今回の動きで、これは第一弾じゃないか。国民が黙っていれば第二弾、第三弾とどんどん軍国主義にエスカレートしていくのではないか。


Copyright(C) The Workers' Press 1996,1997,1998,1999