990525


労働者派遣法改悪反対
連合など国会前抗議座り込み

雇用破壊を許すな


 国会で審議されている労働者派遣の対象を原則自由化する労働者派遣法改正案は、五月十九日、衆議院労働委員会で可決された。同法案は一部修正がされたものの、原則自由化など法案の柱はそのままとなった。

 これに対し、連合は同日、国会前で緊急集会を開き、「派遣労働者の使い捨てを許すな」とシュプレヒコールをあげた。連合は十二日から連日、国会前で座り込み行動を行い、派遣法改悪反対を訴えてきた。今後も参議院での審議にあわせ、五月二十七日から国会前座り込みを行う予定だ。また全労協、全労連も国会前座り込みを行った。

 すべての労働者は、雇用と生活を脅かす同法案成立を許さず、ナショナルセンターの枠を超えて闘おう。


資料
労働者派遣法・職安法の改悪案と五党派共同修正による衆議院可決に対する見解

 五月十九日、衆院の労働委員会は、労働者派遣法・職安法の改悪政府案を自民・民主・公明・自由・社民の五党派の共同修正案により政府原案の一部修正と付帯決議をつけて可決した。また、この五党派の共同修正案について、共産党も労働者派遣法には賛成したため全会一致となり、職安法には共産党が反対して賛成多数での可決となった。このことにより労働者派遣法・職安法の「改正」法案は、二十一日の衆議院本会議で可決し、参議院に送られることとなった。

 今回の労働者派遣法・職安法の原則自由化の問題点は、派遣労働が現在でも多くの問題点を抱えている中で、派遣労働の常用代替がさらに進むこと、派遣労働の差別・低賃金化、悪労働条件化が進むこと、プライバシー・人権侵害の問題、社会保険などの未加入の実態にあること、派遣先が使用者責任を問われずに労働者をレンタル使用し諸権利が侵害されることなどなどである。

 今回の五党派共同修正は、これらの課題に対し、是正ないし歯止めをかけることがほとんどできていないのである。

 五党派の共同修正は十項目におよんでいるが、その特徴は、1.常用代替を防止するものとして派遣が一年を超え派遣労働者が派遣先雇用を希望する場合は、労働大臣が直接雇用を勧告し、従わない場合は企業名を公表することができること、2.派遣元企業についても一年を超えて継続して覇権契約をしてはならず、労働者派遣を行った場合は、所要の罰則を科すこと、3.プライバシー保護については、派遣事業の認可基準に「個人情報を適正に管理し、及び派遣労働者などの秘密を守るために必要な措置が講じられていること」を追加し、派遣先企業に対しては「職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮」を求めること、4.派遣契約の中途解約については、新たな職の確保に努力し、また、三十日前の事前通告を行うこと、5.社会保険関係については、派遣元が被保険者となったことを派遣先に通知する、等々である。

 以上のように五党派の共同修正案は、重要な課題について問題にしているのであるが、ザル抜けで歯止めになっていないのである。それは、派遣労働の常用代替の防止策として派遣労働を一年を超えて続ける場合、希望すれば正社員になれるように「文字面」は思えるがそうではないのである。まず、一年とは「同一業務」に一年ということであり、「同一業務」とは「係」や「班」が変われば「同一業務」とは見なされないというのが労働省の統一見解なのです。ですから同じ業務をしていても会社・職場をタライ回しすれば何年でも同一人の派遣労働を使えるということです。ここを詰めきらなければ正社員化の道はないのです。また、労働大臣の勧告までもっていくにはかなりの努力と取り組みがなければなりません。

  さらに、派遣労働が原則自由化でますます低賃金化・労働条件の悪化が進むことは明かですから、派遣労働者の賃金格差是正・均等労働条件化を追求していくことが必要であり、常用代替防止策にもなるのです。この追求がされていません。東京都の調査でも企業側は、リストラ策として覇権労働を活用しているという実態にあります。すなわち、覇権労働を正社員の代替として活用して人員削減をし、低賃金で人件費を削減するということです。まさに、常用代替防止策と賃金格差是正と均等待遇化は重用課題である。

 個人情報についても、派遣労働は臨時的・一時的業務として「一年以内」ということが原則ですから派遣先に対しては、どのような技術・技能、経験を幽しているか等を基本に個人情報は制限すべきである。それが、家族構成、年齢、男女別、容姿等々が派遣先に送られ、回し見するところもあり、プライバシー侵害、セクハラ・人権侵害が起こっており、このことに対する規制・処罰について修正案はあまりに不十分である。個人情報の「適正管理」とか「必要な措置」とか「配慮」等の表現にとどまっており実態を無視していると言わざるを得ない。中途解除についても三十日前通告という当り前のことを記しただけであり、派遣会社の雇用責任を問うものとなっていないのである。社会保険関係については健康保険、厚生年金、雇用保険について、派遣元が被保険者として加入を義務づけ、派遣元に通知する体制は前進したといえる。しかし、派遣元が本当にやるかどうかは今後の課題である。また、これは六カ月以上の場合であり、短期雇用は今後検討していくとして加入させる体制は確立していないのである。

 このように労働者派遣法・職安法改悪の政府案は、五党派共同修正案により修正されたが、本質は何も変わっていない。全労協は、修正された労働者派遣法・職安法の「改正」案にも反対である。

  全労協は、参議院の労働社会政策委員会に向けて、労働者派遣法・職安法の改悪反対の闘いを、社民党とのパイプを太くしながら多くの仲間とれんたいして、闘いを強化していくものである。

五月二十日 全国労働組合連絡協議会


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