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17年ぶりに 24時間スト

ストなしに交渉成り立たない

小田急バス労働組合副委員長 深澤 文隆氏に聞く


 私鉄総連に加盟する小田急バス労働組合(高田方委員長・千百五十人)は、春闘交渉中の三月二十六日、二十四時間ストライキを闘った。同労組が本格的なストライキに突入したのは十七年ぶり。ストライキ決行への経過や意義などについて、小田急バス労組副委員長の深澤文隆氏に聞いた。


 今春闘は、厳しい状況の中でなかなか有額回答が出てこなかった。回答指定日には回答が出ず、ストを打つ前日の三月二十五日にぎりぎりに回答が出たが、満足いくものではなかった。大手と賃金格差もあるし、夏季一時金は昨年並みだが、冬季については別途協議という内容で、とてもじゃないけれども、妥結するわけにはいかなかった。

 バス産業は、直接利用者に関係するので、労働組合的にいえばストの影響力をもっている。しかし反面、利用者をどうするかということで選択は厳しいが、やはりこの回答では納得できず、二十四時間ストライキに突入した。

 高速バスと貸切りバスの修学旅行の部分は、私鉄総連の指示で除外したが、吉祥寺、世田谷、武蔵境、狛江、川崎や町田などの営業所でストに突入した。

 昨春闘でのストは十四時三十分に解決したし、今回のような本格的なストは十七年ぶりだった。昨年の段階では、十二、三年ぶりだったし、スト経験者が非常に少なかったので、職場から消極的な意見も出された。

 今回は昨年の経験もあったし、昨年以上に厳しく交渉が動かない雰囲気もあったので、むしろストには積極的だった。

 ストは二十四時間と時間もたくさんあったので、最近では歌う機会も少なくなった労働歌を、先輩たちの歌唱指導で歌ったりした。各職場、乱れることなく、非常にまとまってストを打つことができた。ストの収拾にあたって開催した拡大闘争委員会でも、妥結提案した組合員会でも、ストを打ったことに対する不満は出なかった。

ストライキに激励の電話

ストに対する批判などは出なかったが、賃上げで最終的に大手との格差がついてしまったことに対する意見はいろいろと出された。賃上げは最終的に標準労働者賃金方式で大手は五千六百円、私たちは五千三百円だった。昨年まで大手と格差をつけない賃上げをかち取っていたが、これまで堅持してきたものが崩されてしまった。

 少子化時代、通学者も減少し、利用者が減ってきているし、強く心配しているのは規制緩和の問題。今後どうなるのか見えない状況で、われわれも非常に危機感をもっている。しかし、厳しくなったイコール合理化ではない。

 労働組合としてきちんとするには、ストという背景がなくなれば交渉なんか成り立たない。ストはそれだけ重要な意味をもっている。ただ、これからは地域の人びとにどのように理解してもらうかが、非常に重要だと思う。

 今回、苦情の電話もあったが、激励の電話もあった。関係組合からの激励だけでなく、まったく知らないところからも電話があった。

 合理化の問題では、昨年は杉並区にあった貸切りバスの営業所を閉鎖し、ガソリンスタンドも別会社にされた。今年も一月に乗合バスの条件と整備士のところで合理化提案が出された。合理化、合理化の繰り返しで、一つ闘いが終っても、次が出される。全てを一気に押し返すことはできないが、できるところから一つずつ闘っていきたい。


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