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メーデーに全国で190万人

「雇用・生活危機」突破へ


 第七十回メーデーが五月一日、全国千百二十会場で開かれ、労働者約百九十万人が参加した。一九二〇年に日本最初のメーデーが開催されてから、今年で七十回目。東京で開かれた連合中央メーデーの様子と、参加した組合員の声を紹介する。


 東京の代々木公園で開かれた連合の中央大会には約八万五千人の労働者が参加した。

 自治労や金属機械、全自交総連など、別会場で集会を開いて、デモ行進で会場入りする組合も多く、開会前から労働者があふれた。

 連合のメーデースローガンは、「働くものの連帯で『ゆとり・豊かさ・公平な社会』を実現し、自由で平和な世界をつくろう」「『雇用・生活危機』突破へ、すべての労働者の力を結集しよう」など。昨年、七年ぶりに行った全体でのデモ行進はなくなった。

 会場ではゼンセン同盟が「メーデーGOGO!」とかかれたアドバルーンを上げ、組合員がぬいぐるみを着てパフォーマンスするなど雰囲気を盛り上げていた。また、ゼンセン同盟は「団結で雇用と生活を守ろう」「すべての職場の労働条件と格差是正に、労働組合を作ろう」とかかれたプラカード四十本を用意し、組合員が高く掲げていた。

 連合の鷲尾会長は、「雇用情勢の悪化は政府の経済対策や雇用創出策が実効性に欠けたからだ」と政府を批判。「雇用の安定こそ労働組合に課せられた最大の使命。雇用環境の改善が当面の最大の責務」などとあいさつした。

 社会民主党を代表してあいさつした土井・党首は新たな日米防衛協力の指針(新ガイドライン)関連法案について反対を表明。東水労や自治労などの「日米ガイドライン反対」のゼッケンやプラカード、「NATO軍の空爆糾弾」の横断幕も目立った。


会場インタビュー参加者の声

産別は真剣に組織化を(ゼンセン同盟本部専従・男性)

 春闘はきびしい結果でしたが、ゼンセンは統一闘争で闘い、スト権を確立して交渉に臨んだ組合もあり、加盟組合もせいいっぱいやったと思います。交渉に入る前から連合など労働側も、「厳しい厳しい」と言いすぎて、今年は賃上げなんかなくても当たり前だみたいな雰囲気が先にできてしまった。組合の方から「厳しい」と強調する必要はなかったと思います。

 今日は組合員が来たときに、「組合は元気よくやっているな」と感じてもらおうと、アドバルーンを上げました。労働組合運動は楽しく、元気よくないと誰もついて来ませんから。

 今の日本は組合がつくりやすい環境にあるのに、どうして毎年組織率が下がるのか。産別によっては、大手は組織化されていても関連の子会社には組織がない。リストラの波は下請けなどが受けるわけで、そういうところに目を向け、産別が真剣にとりくめば、組織化はいくらでもできるはずです。連合も産別も、労働者の相談を積極的に受け入れる姿勢をとらなければいけないし、もっとPRして、「組合をつくることは正しいことなんだ」という認識が広がるようにしなければならない。


リストラ、とても不安だ(ゼンセン同盟一般組合員・男性)

 動員で来ました。メーデーがなんの日か、よく知りません。春闘賃上げは2%くらいかな。まだ、いくらなのかわからない。今までは自分は25歳で、手取り16万くらい。メーデーに来たのは2度目。以前とまわりの置かれている状況も変わってきているし、労働者の大きな力で押し返さないといけないということを、みんな考えているということがここへくると分かりますね。リストラとか、自分にもふりかかるのではないかという不安はあります。


景気回復で仕事が増えないと(金属機械支部執行委員・男性)

 組合員22人ぐらいの支部。メーデーは一般組合員は連休にしようと、執行部だけ参加している。春闘は賃上げはあったけれども昨年並みというわけにはいかなかった。それでも2%は確保した。

 仕事はステンレス関係の仕事で、客はビール会社だとか○○フィルムとか大手の会社。不況で、たとえばビールの消費が伸びなければ、仕事量にも影響がある。今日は暑いし、消費を拡大しようとビール飲みながら(笑)。仕事は職人の「少数精鋭」だから、リストラとかはまだない。技術優先の会社だから、仕事があればリストラにはあわないだろう。やっぱり景気を回復して、消費拡大しないと仕事は増えてこないよね。うちよりもっと小さい会社では仕事は少なくなっているよね。


仕事は月2回の開催日だけ(大井競組一般組合員・女性)

 私たちは大井競馬場で働く者の組合。この仕事を始めて40年近くになる。昔はチケットは手売りだったけど、最近は自動化、機械化されて人はだいぶ少なくなった。私の仕事は売上げの管理をしている。扱いはパートではなくて正社員なんだけど、競馬の開催は1カ月に2回くらいで、開催日だけが仕事になる。働いている人は主婦が多いからちょうどいいのかも知れないけど。他の競争場に「応援」に出る人も多くいますよ。


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