990315


全自交労連、私鉄総連

怒り込め「規制緩和ノー」
ハイタク労働者が危機打開集会


 タクシー運転手を組織する全自交労連と私鉄総連は三月十日、「生活危機打開 安全・信頼タクシー実現中央総決起集会」を東京・日比谷野外音楽堂で行った。全国から四千人のハイタク労働者が結集した。また、この日都内ではタクシーに「神風タクシーはイヤ! だから規制緩和反対」「安全・信頼のタクシー実現」と書かれたステッカーが貼られた。

 タクシー業界では、長引く不況で乗客が減っているのに加え、需給調整規制の緩和による増車で過当競争が激化している。集会に集まったハイタク労働者は、低賃金、長時間労働など、日頃の怒りを爆発させた。

 集会では、ハイタク労働者は他産業の労働者と比べ、年収で百七十万円少なく、労働時間では年間二百時間長いなどの実情が訴えられた。

 また地方から参加した組合員の決意表明では、賃金水準が生活保護ライン以下になっていることや、地域の最低賃金よりも低くなっているなど、生活の厳しさが怒りとともに訴えられた。

 集会後、参加者全員は運輸省へ要請行動を行い、規制緩和の中止などを求める署名簿を提出した。また、労働省、警察庁への要請行動もあわせて行われた。


「状況は悪くなる一方だ」
決起集会参加のタクシー労働者に聞く

規制緩和の先には地獄(長崎)

 長崎ではほとんどが40台前後の中小会社で、規模が大きいところで300台くらい。

 われわれの賃金は、固定給と歩合給の割合は7対3ぐらいで、固定給だけでだいたい18万円前後。利用者が減って、歩合給が下がり、賃金がものすごく下がってきて、今は手取りで16万円ぐらいで、非常に厳しい。

 そういう中で規制緩和が進んできている。われわれには死活問題なんですよ。すでに駅前ではタクシーが行列で客を待っているが、そういう地獄のようなことが規制緩和の先に待っている。長崎では思案橋などの繁華街でも、まったく客がいない。タクシーが2キロも3キロも並んでいて、1時間半かかってやっとお客さんを乗せても1メーター(最低料金区間)だけとか…。状況はどんどん悪くなる一方だ。

もうおしまいだね(東京・多摩地区)

 1日に200キロ走って、客を乗せているのは90キロぐらいかな。やっぱり実車率(客を乗せている割合)が50%超えないとだめだよね。営業収入が減ってるんだから、当然手取りの賃金なんてしれたもの。5年前ぐらいまではまだよかったよね。極端に変わってきたのは今年。去年まではまだ1日の売上げが5、6万円できたが、今年に入ってから4万円台に突入した。俺は独身だから給料が20万円そこそこでもどうにかなるけど、家族持ちは大変だね。

 一番の原因は不況だと思う。2年前に、20年も勤めてもらった退職金が20万円だって泣いてる客がいたよ。これだけ長引いてると、景気回復にも時間がかかるし、全体がよくなっても、タクシーの景気がよくなるまでにはタイムラグがある。もうおしまいだね、タクシーの状況は。

寿命を縮めて働く(東京)

 運転手になって30年。最近、大手企業のリストラで何千万円も退職金もらったような人が入社してきた。そいつに「給料が少ない」って言われると、けっ飛ばしてやりたくなる。現役の俺らはどうなるんだ。会社がつぶれたり、解雇されたりした人なら話は違うが…。

 東京では求人広告に「運転手45万円」なんて書いてあるけど、あれは業界が提携してそうしているから。実際とは20万円ぐらいのギャップがある。1カ月の売上げが45万円ぐらいなのにさ。これは20年前ぐらいの水準だよ。

 電気代、ガス代、家賃、払うものは変わらないけど給料は減って、家に帰ればかあちゃんに「給料少ない」ってけっ飛ばされる。

 客は酔ってわがままいってどなりつけて、携帯電話で会社に苦情を言う。そうすると始末書書かされて、ボーナスカット。

 今日は朝4時頃まで仕事で、3時間だけ寝て集会にきたけど、集会やっても、よい方に向かわないで悪い方に向かっている。組合費だけとってなにやってんだ。労働時間が週40時間制になったが、それでも食べていければいいが、逆に給料は下がってる。

 仕事は1日おきで、ハンドル時間15時間、休憩3時間が決められた労働時間だけど、それじゃ食べていけないから、実際はハンドル時間18時間で休憩なし。朝6時から次の朝6時まで乗ってることもある。タクシーは他の労働者より寿命が5年短いって。時間も食事も不規則、睡眠もない、寿命を縮めてるようなもの。


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