990225


99春闘がんばろう!

「会社は苦しいかもしれないが
俺たちの生活はもっと苦しいんだ」


 主要企業の労組が賃上げ要求を提出し、春闘は本番に入った。資本の側はリストラ攻撃を強めながら、「雇用か賃上げか」と、賃金抑制攻撃を強めている。さらに諸手当、福利厚生費の削減など総人件費抑制を強めている。そうした中、職場では攻撃をはね返し、春闘を闘おうとする気分が高まっている。職場の声を紹介する。


職場会で会社のまやかしを暴露 自動車工場労働者

 親会社の労組の春闘要求は賃金も一時金も昨年より下がった。当然、下請けの各会社の労組では、それ以上の要求はできないので、親会社の労組の要求率にそって賃上げ要求をした。形の上では横並びだが、二%を少し超える程度の要求だ。定期昇給が二%だから、賃上げはないに等しい。しかも親会社との格差は依然として大きいのに、同率要求では格差は縮まらないばかりか、広がるだけだ。

 うちの労組役員は、この低額要求を職場に提案したが、その理由を「会社の経営状況がたいへんだ。国内の消費低迷で売り上げが伸びていない」とし、さらに「会社に強く当たると雇用が不安定になる」と言ってきた。

 だが、私たちの職場ではこの提案に反対した。職場会は時間をかけて議論した。その中で「組合は会社の経営状況を心配しているが、俺たちのことは心配しないのか。どっちを向いて仕事しているんだ」「会社は苦しいかもしれないが、俺たちの生活はもっと苦しいんだ」との批判がたくさんでた。

また、組合は会社の経常利益だけから会社の苦しさを言うが、職場会では「会社には親会社から出向してきた人間がたくさんいる。つまり、彼らを養うだけの余裕があるということだ」「この間、もうけた時には国内だけでなく海外にも進出した。つまりそれだけ資産がある。それらを処分しないで、俺たちだけにしわ寄せをするのか」との声もあがった。

このように突っ込んだ議論が大事で、もっと会社の不況宣伝やそれに同調する組合の提案をきちんと議論をすれば、会社や組合のまやかしにはだまされないだろう。

 私たちの職場では日頃から年休取得でもめても、みんなで議論し、おかしければ課長に抗議している。これは弾圧を恐れずなどというものではないが、組合がおかしなことでも見て見ぬふりをするので、仲間がいっしょになって行動しないと何も守れず、できないことを感じているからだ。事実、下っ端の職制の中にも「よく言ってくれた。俺ももっと言いたいこともある」と陰で言う人もいる。

 だが、一つの職場会だけ元気でも会社も組合も変えられないので、これからはもっと多くの仲間をつくりたい。


査定幅拡大は撤回させた さあ春闘本番へ 全国一般分会役員

 九九春闘では全国一般の方針である一万二千円を軸に要求を行っていく。

 最近の特徴だが、会社側はすでに一時金の配分問題で査定幅について五〇%程度拡大したいといってきた。これは一時金の総原資は増やさずに、考課査定の幅を広げ、格差を拡大しようというものだ。

 この狙いは、賃金抑制の前に労働者の分断をはかっていくことである。これがやられれば、賃金抑制は簡単にやられてしまう。

 また、これまで会社は毎年三月に決算賞与というものを出していた。これは夏、冬のボーナスとは別に出してきたが、もともとボーナスが少ないので、これまでの組合運動で勝ち取ってきたものだ。

 しかし、会社はこれについていまだに、「出さない」とは言っていないが、「出す」とも言っていない。何の話もないので出さないつもりだろう。

 この決算賞与を出さず、一時金での格差、これらが総人件費抑制の攻撃だと理解している。だから、賃上げ要求の回答額は昨年をさらに下回るのではないか。

 だが、組合には闘う伝統があり、組合員には闘うのは当り前という気分がある。だから組合員は春闘決起集会などへの参加も積極的である。その点で、組合への期待や信頼も一定程度あると思う。

一時金の査定幅拡大は交渉で撤回させたが、これからが春闘本番であり、組合員一人ひとりに春闘の意義などをよく説明し、組合員の団結を重視しながら、地本の他組合、地域の組合などとも連携を強めながらがんばりたい。


手当削減を撤回させた厳しいががんばるぞ 全国一般分会役員

 春闘前にすでに皆勤手当、役付き手当削減の攻撃がかかってきた。また、賃金の査定幅の拡大についても言ってきた。これらについても交渉で「われわれは賃上げが二万円も三万円もあるなら考えてもよいが、二、三千円くらいの賃上げでいったい査定幅をどうやって増やすんだ」と主張したら、すぐに撤回した。手当削減も交渉を積み重ねる中で会社側が撤回した。

 春闘での賃上げ要求は全国一般の方針である一万二千円だ。しかし、中小企業だから、赤字があることと四月以降の仕事量が減ることが明らかであり、なかなか気分としては重いものがあるのも事実だ。しかし生活が厳しくなっており、なんとかもっと賃上げをという希望も強い。みんな状況は厳しいが、がんばろうという気分になっている。

 これから職場ごとの集会を積み重ね、全体の意思一致をはかりながら、本番に向かっていこうとしているところだ。

 また地本の労働講座では、賃上げ、労基法改悪―派遣法、反戦・平和、未組織の組織化などをテーマにしているが、分会からの参加は多い。こうした学習会も多いに「利用」しながら組合員の意識を高めながら、春闘本番に向けてがんばろうと思っている。


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