国労新橋支部　国会周辺で１カ月間の座り込み

990215

国労新橋支部

国会周辺で１カ月間の座り込み

予想以上の参加に自信

国鉄労働組合新橋支部　篠崎信一委員長に聞く

　国労新橋支部は、一月二十日から二月十七日まで土・日曜、祝日を除く二十日間、国会周辺での座り込み闘争に突入した。あわせて、東京地裁前、労働省などでの宣伝行動も展開し、①千四十七人の地元ＪＲ採用、②安全輸送、③反リストラ、反失業などを求めている。二月九日には運輸省に対して国労組合員の昇進・昇格差別問題での申し入れも行った。初日の一月二十日には運輸省前に組合員など三百五十人が結集、連日百五十人近い組合員が座り込み、団結を深めている。二月一日から衆議院第二議員会館前に場所を移して座り込みを続ける国労新橋支部委員長の篠崎信一氏を訪ね、今回の取り組みについて聞いた。現場組合員と共に考え、話し合い、行動する姿勢に感銘を受けた。

　この座りこみを取り組んだ理由は、昨年の五・二八東京地裁の不当判決。われわれは、勝てると思ってきたし、勝つために運動を進めてきた。しかし結局負けてしまい、国家権力の本質を見せつけられた。そこで、なぜ負けたのかという総括運動を六月から九月まで続けた。新橋支部には八十二分会あるが、分会集会で率直に議論した。そこで出された言葉は、「俺たちは本当に闘いをしてきたのか、自分の問題として受けとめていたのか」、だった。

　ここ一、二年、集会の動員にも出ていかない組合員が五割近くいる、署名にしても集まっていない、いろいろやってきたが、全体の運動になっていないんじゃないか、という総括になった。さらにもう一点、闘いが弱い、強めるにはどうしたらいいか、という議論がだいぶ出された。

　国鉄闘争が組合員のものになっていないというのはどういうことなのか。考えてみると、採用差別問題のかげに国労敵視があり、十二年間、昇進・昇格差別で試験にまったく受からない状況がある。この問題をもっと前面に立てて、採用差別問題とセットに運動を展開しようとなった。

　それにしても、一日や二日間の行動でいいのか。全組合員が参加して自分たちの問題として受けとめて闘うには、少し長期に構えて運動したほうがいいと、支部の戦術委員会に今回の一カ月間の座りこみを提起した。

　当初、正直言って難しいという議論になったが、一人ひとりの組合員の問題にしていくには、座り込んでいろいろな交流をするのは大事だ、やってみよう、という結論になった。

　そこで十月二十二日の分会長会議で提起して、討論、意思疎通をはかった。

　今回の闘争では五つの目標を出した。一つは、国鉄闘争の原点からもう一回つくり直そう。二つめに昇進・昇格差別問題は自分たちの闘いだということ。三つめが特に採用差別の問題の解決をはかっていこう。四つめが貨物経営問題。五つめに周辺事態法、盗聴法などの政治状況と失業問題。これらを国鉄闘争を軸にして訴えてみようということで、職場集会で議論に入った。

　組合員から「この寒いのになんで二十日間もやるんだ、なに考えてんだ」などと言われた。「うちの分会では三日の力量しかないから三日にしろ」とかの意見も出されたが、俺たちは負けたことに学んで、勝つために体制を作らなければならないと、けんかもしたし、議論もした。

　そういう議論を通して今回の闘争に踏み込んだ。

組合員は交流の場を求めている

　支部では一日四十人が座り込もうときめた。力量がそのぐらいだと思っていた。十二月暮れの段階では動員の名前があがらず、心配だった。ところが一月十五日過ぎからどんどん、各地区七人とか五人と決めた以上の人数の名前があがってきた。

　実際、一日目は三百五十人集まったし、その後も連日百人以上集まっている。多いときには百五十人を超える。高崎、千葉、水戸、それから長野地本からも参加がある。さらに動員でなくても勤務を終えた組合員が、たとえ一時間でもと、わざわざ来る。正直、まさかここまでできるとは思ってなかった。だから、なんでこんなに集まるんだろうというのが率直な感想だ。

　地区の役員で前半の総括会議をやった。そこでもなぜこんなに組合員が集まるんだろうという感想が出された。ある役員が「組合員はこういう運動を求めているのでは」と言っていたが、「俺の分会はこういう問題が起きているからみんなで考えて欲しい」と思ってもそういう場がなかったんじゃないか。座り込みに来れば、マイクを持って話して交流できる。話の内容は同じでも、初めて参加して初めて聞いた人もいる。組合員が言うには、「はじめは寒くて行きたくなかったが、座り込んでいろいろな話が聞けておもしろい。だからまた来るよ」という雰囲気がある。

大衆運動なくして勝利なし

　支部でいちばん考えてきたのは、大衆運動がなくては勝てないということ。議論だけでは勝利的和解はかち取れない。だからこの運動をここで終わらせるのではなくて、次にどのように広げるかが重要だ。

　国鉄闘争だけしか見ないのではなく、解雇問題、人権と民主主義の問題は、日本全体で起きている問題。だから失業問題を本気で考えようということも含めて、この座りこみは単に国鉄闘争だけの座りこみじゃない、四％を超える失業者とも連帯しながら運動を広げようとやってきた。

　首切りや解雇問題を抱えて支援に来てくれた人には、そういう話をしてもらっている。座っている組合員も、なぜこの時期に新ガイドラインなのか、なぜ反失業なのか、改めて考えられる。あるいはこの座り込みが十二年の総括にもつながっている。

　東京の各支部から支援が来ており、そういう意味では次につなげる運動ができはじめたなと思う。

　三月四日には総行動を千人規模で考えており、この座り込みの雰囲気を広げていこうと思っている。

　また、八王子支部は三月三十一日から四月中、ハンガーストライキを組む。上野支部では三月六日に統一行動を組む。そこへは俺たちも支援に行こうと思っている。

　なりふり構わず闘うしかないというのが俺らの考え方なんだ。

参加した組合員の声

新橋支部・車掌区

　今日は夜勤明けで来た。運輸省前とあわせて６回目。

　分割民営化から１２年たって、国労の勢いも力もなくなってきているといわれているが、まだまだこれだけの力があったんだなと思った。これだけの運動ができるということをみんな再認識したんじゃないか。一部の人が何度も参加するのではなく、みんなが１回でも来て、なにか感じとっていけば、それが大きな運動につながると思う。

　貨物部門ではボーナスなど、他部門に比べて格差が広がっている。同じ国鉄で働いていてたまたま貨物に行った人が、本人が仕事をしないとかそういうことじゃなく、格差がついているということに憤りを感じる。

　座り込みをしているとけっこう反応がある。国会前だから歩いているのはどこかの偉いさんが多いと思うけど、一見、「組合」って聞けば眉をひそめそうな人が、頑張ってなんて声をかけてくれることもある。

渋谷分会・改札

　今日は渋谷駅から１１人で参加した。本当は組合の執行委員会だったが、急きょこっちへみんなで来た。私は今日で２回目の参加だが、予想以上に集まっていると思う。

　山手線の運行にＡＴＯＳというシステムが導入されたが、このシステムはダイヤの乱れを正常に戻すのに時間がかかってしまい、電車が遅れる原因になっている。

　会社は非常時を考えないで人員配置しているから、現場は電車が止まると最悪。毎朝職場では「昨日はちゃんと動いていた？」という会話から始まる。精神的にきつい。

　会社はもうけを追求してて、駅長も「売上げが落ちている」としか言わない。安全要員には人件費をかけない。ホームの係を減らしてうどん屋さんにしたり、そういう姿勢がそもそも間違っている。

高崎地本

　今日初めて参加した。分会では順番に、毎日５人ぐらいずつ、来るようにしている。

　通りかかりの人の反応がけっこうある。興味を示してくれる人がいるし、やるだけのことはあると思う。