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1999年 闘い強め 前進の年に


今年もストライキで闘う

全日本港湾労働組合 河本 末吉 委員長


 昨年は港湾の規制緩和に反対して、ストライキや座り込みなどでよく闘った。

 われわれは二十一世紀に向けた港湾の労働安定方策を打ち出しており、今年もその実現のために引き続き、粘り強く闘う。

 政府のいう規制緩和は、労働者や中小企業を無視したもので問題点が多い。たとえば、免許制度を許可制度にすればどうなるか。港湾の企業は八割が中小零細企業であり、大手が参入すればひとたまりもない。

 また、現在認可制の運送料金を届出制にするというが、すでに料金はダンピングされており、届出制になればさらに料金が下げられてしまう。運輸省は「規制緩和したトラック業界を参考にしよう」というが、トラック業界は自由競争になっており、中小零細企業がどうなっているのか。皆、苦しくなっているではないか。

 「企業基盤の強化」もいわれているが、それは協同組合化などによって企業の力を一・五倍にするということ。しかし、不況などで港湾の荷役そのものが減っているなかで、人員を五割増しするなど不可能だ。それを行えば、今ある港湾会社の三分の一はいらないことになる。三分の一の企業がつぶれれば、そこで働く労働者は職を失う。

 現在、港湾労働者は登録制になっているが、それを自由にしようとしている。そうなれば、昔のように暴力団が港を支配し、手配師がピンハネを行なうようになる。労働者の賃金や労働条件など、ムチャクチャにされてしまう。

 このような例でも分かるように、規制緩和が行われれば、労働者の雇用や権利も、中小零細企業の経営も守られず、港の秩序は破壊される。だからわれわれは港湾の安定方策を打ち出し、雇用と企業を守るために規制緩和に反対して闘っていく。

 国際化が進むなか、港湾は企業単位ではみられない。国際連帯が重要であり、重視したい。そのためには、労組と荷主、船主、自治体などで港湾の運営委員会を設立して、港湾全体の問題を協議しながら、港の安定化を図りたい。

 今年の決意としては、規制緩和問題は、全体の理解を求めるために、運輸政策審議会でも論議をもっと深めたい。しかし、要求が曲げられるようなら、昨年のようにストライキも含めて抗議行動を強めていく。

 港の安定化として、港湾労働者の登録制を守り、港湾年金基金を充実させることも課題だ。

 また、今年は新たな日米防衛協力の指針(新ガイドライン)にともなう周辺事態法案などが国会審議の山場をむかえる。自自連立のねらいは、改憲、安保強化だろう。産別、関連の労働組合との連携を強めながら、従来に増して闘いを強めたい。


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