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1999年 闘い強め 前進の年に


反失業が最大の課題

全国一般 田島 恵一 書記長


 現在の不況の特徴は、中小企業と労働者への犠牲転嫁がかつてなく進んでいることだ。全国一般では不況型倒産が多く、自己破産と人員整理が起きている。貸し渋り問題で、年末一時金の切り下げ、希望退職、あるいは指名解雇もあり、雇用合理化が急速に進んでいる。

 このような状況に、歯止めをかけなければならない。企業内だけをみていれば、「困難な状況でやむを得ない」となってしまう。だから、労働者全体の雇用を守る立場で、いかに抵抗し雇用を守るかという闘いを組織することが最大の課題だと思う。

 連合は反失業を掲げているが、それは雇用創出運動でしかない。まず、どのようにして雇用を守るか、闘う仲間を支えるかが大事で、そのような運動が、労働者全体の雇用を守ることにつながる。

 大企業は自らの企業利益だけを考えている。北九州のアサノ生コンが典型だが、親会社の日本セメント(現太平洋セメント)がもっと収益を上げようと、賃金の三五%カット、一時金五〇%カットを出してきた。反対すると工場閉鎖、全員解雇の攻撃をかけてきた。大企業はさらなる収益を上げるために平気で会社をつぶしてくる。このようなことは絶対に許せないと闘っている。

 大企業の攻撃の背景には、グローバル化という国際的な大競争がある。政府は、大競争を勝ち抜く大企業を育てるために、規制緩和を進めている。あるいは分社化で乗り切ろうとしている。どちらも企業を肥大化していく道でしかない。

 規制緩和によって、中小企業や労働者はこれまで通りにやっていては生きていけない。例えば運輸では、過積載、スピード違反は当り前になっている。全国一般のある中小運輸では、「高速に乗ったら採算が取れないので、一般国道を使ってくれ」と要求され、長時間労働化が始まっている。規制緩和に対し、反対を基礎にした運動が求められている。

 最近、東京一般がインターネットを使って組合を組織する「サイバーユニオン」を立ち上げた。これまでホームページ「お助けネット」で労働相談をしてきたが、サイバーユニオンでは初日に千七百人のアクセスがあるなど、社会的関心をよんでいる。

 全国一般では全体で積極的に、未組織の仲間に労働相談を行っていく。これは、組合の組織化につながるからということではなく、組織労働者を含めた労働者全体の権利を守るためだ。

 反失業闘争は、倒産した職場では労働債権確保が重要になる。しかし、中小では破産した場合でも法的処理ができず、労働債権の認定もむずかしい。そうした問題も含めて中小労働者が泣きを見ないようにしていきたい。

 九九春闘では、平均賃上げによって、全体の労働者の賃金を引き上げていく精神をいかし、個別賃金表示と平均賃上げ表示の両方をしていきたい。また、労働者や中小企業を犠牲にして企業だけが太る社会ではなく、正常な社会に戻すために社会正義の旗を掲げながら取り組んでいく。


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