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1999年 闘い強め 前進の年に


中小労働運動の確立を

ゼンキン連合 関根 甫 書記長


 ゼンキン連合に加盟している職場での雇用調整、倒産、企業閉鎖、条件引き下げなどの件数については、十二月半ばまでに報告されているもので、二百二十件を超えている。九七年秋以降、雇用調整は急激に増えており、九八年七―九月期は八十七件にのぼった。九七年の七―九月期五件、十―十二月期十六件と比べると、数倍となっている。

 また、十月から十二月は報告されているだけでも五十三件で、倒産・企業閉鎖が一件、希望退職が二十件、一時休業が二十一件、出向・転籍が三件、労働条件引き下げが八件となっている。

 さらに、不況に便乗した解雇や労働条件引き下げを出してくる経営者もいる。指名解雇を提案する経営者まであり、そういうのは撤回させて、絶対に許さないようにしなければならない。

 そこで年末年始は、局長以上の携帯電話番号を全部地方に教えて、「何かあったらすぐに電話しろ」という臨戦態勢を敷いている。

 ゼンキン連合では企業の経営チェックを厳しく行い、労資協議を重視している。経営に問題点があれば提言し、不幸にも倒産してしまった場合は、労働債権を確保していく。

 雇用調整の背景には、仕事自体が減っていることや、金融機関の貸し渋りがある。貸し渋りには徹底的にメスをあてていかないと、中小企業はどんどんつぶれてしまう。政府が、日本の産業を支えてきた中小企業をどのように支えていくか政策を持たなければ、日本の産業全体がだめになってしまう。

ものづくり基盤を守る基本法制定へ

 中小企業は技術がなければつぶされてしまう。技術・技能を高度化させ、優れたものを提供できるようにしていかないと、いずれは淘汰される。技術高度化のために、「ものづくり基盤技術振興基本法」を成立させたい。

 基本法の内容は、一つは技能労働者の社会的な地位を高めること。それによって、製造業に若い人が魅力を持つ。二つめに、中小企業を活性化させる。さらに、日本の教育体系の中で、ものづくりをきちんと位置づける。

 中小企業には、優秀な技術者・技能者が必要なのだが、高度熟練技能を持っている高年齢者が、人件費抑制ということでリストラされている。これでは技術・技能の高度化はできない。だからわれわれはものづくりという面からも反リストラを経営者に訴えている。

 やはり日本の産業は、中小企業が支えてきた部分が非常に大きい。部品を供給する中小企業が埋没すれば、当然メーカーだって今の状況があるわけではない。だからお互いにすみ分けをして、共存共栄を図っていかないと、日本からものづくりの基盤がなくなってしまう。

 ものづくり基本法は今年一月の通常国会に提出される予定だ。超党派で成立させていきたい。

公正取引慣行の樹立を

 「中小企業」「大企業」といった表現は間違っていると思う。そうではなくて、メーカーに対するサプライヤー(供給者)というとらえ方が必要。たとえ一万人の規模があってもサプライヤーであることに違いはないわけで、メーカに対する立場は弱い。このようなメーカーありきで、サプライヤーに犠牲を強いることは断じて許せない。しかし、一企業がいくら必死になっても、解決できる問題ではない。

 JAM連合会が発足すれば、軸受の生産ではほぼ一〇〇%、工作機械、農業・建設機械などの生産の大半をカバーすることができる。そうすると公正取引を全面に出してメーカーに要求していくことができる。

JAM発足で中小運動の強化

 今年九月九日に、金属機械とゼンキン連合が統合し、JAM連合会を発足する。それにより、五十万人の産別になる。

 JAM連合の発足で、連合の中に中小労働運動を根付かせていくことと、二つの組合が一緒になることで、より求心力を持たせ、未組織労働者に「あそこに入れば俺たちも救われる」という産別にしていきたい。

 さらには、産別の枠を超えた業種共闘組織を包含していきたい。

 また、連合労働運動は、目線を中小にあわせる必要があると思う。それによって、連合の中に中小労働運動が確立されてくるし、連合が中小労働運動を大切にしているという姿勢が、未組織の労働者から見えれば、組織率も高まってくると思う。


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