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ビデオ紹介

韓国「解雇者」(日本語版)

次々と不屈の闘い


 本作品は、金大中政権による整理解雇制導入に先立つ韓国労働運動を記録したドキュメンタリーである。

 軍事政権であった盧泰愚政権当時、軍需工場で働く労働者は、兵役を免除されていた。しかし、政府による労働運動への弾圧を契機に、労働者はその特例を奪われ、職場も追われる。軍政末期、韓国全体で五千人以上の労働者が職場を追われることとなった。

 九三年、金泳三政権が成立したが、逮捕された労働運動幹部は釈放されず、解雇者が職場に復帰することはできなかった。こうした事態に対し、解雇された労働者は「全国拘束・手配・解雇労働者現状回復闘争委員会(全解闘)」を結成、処分撤回を求め、ろう城・断食などの激しい闘いを繰り広げる。「解雇者の復職なき文民政権は欺まんだ」と叫ぶ労働者の声は、時代を超えた切実さを感じる。

 闘いは、必然的に、闘争を弾圧する暴力警官隊や御用労組幹部との激突を生む。「どうせ一度死ぬ人生なら、労働運動で堂々と死んでやろう。そう闘える自分自身が誇らしい」と胸を張る青年労働者。しかし、元大宇精密労働者のチョ・スウォンは、政府の妥協案に絶望し、自ら死を選ぶ。

 スウォンの遺志を継いだ全解闘は闘いを継続し、いくつかの職場で復帰をかち取ることができた。スウォンのかつての同志たちは、墓前に集い、「二度と俺たちのような解雇者が出ないようにがんばる」と誓う。

 最後の場面では「去れ、資本世界! 労働解放かち取ろう!」とこぶしを挙げる仲間たちの横で、四年以上拘留され釈放された労組活動家が、「もう一度、闘いの前線に立ちます」と決意を語る。彼の笑顔はさわやかだ。

 本作品で描かれているのは、まさに労働者の決死の闘いである。整理解雇制と闘う現在の韓国も、また日本も、労働者の断固とした闘いこそが敵を追いつめ、勝利をかち取る保証だ。そのことを改めて教えてくれる必見の作品だ。 (O)

 VHS九十分 五千円

 小川町シネクラブ 〇三(三八一八)二三二八


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