過労死110番に相談殺到

980625

過労死110番に相談殺到

相つぐ労働者の自殺・過労死

企業は労働者を殺すな！

　不況が深刻さを増し、失業率が最悪を更新するなか、合理化、リストラで労働強化が行われ、過労・ストレスによって自殺する労働者が増えている。また過労によって、脳・心臓疾患による死亡も増え続けている。大企業は大競争時代を生き抜き、大もうけするために、労働者をこき使い、多くの労働者を死に追いつめている。大企業の横暴を許さず、労働者の権利を守る闘いがますます重要になっている。過労死弁護団全国連絡会議が開設した「自殺・過労死一一〇番」によせられた相談などを紹介する。

　過労死弁護団全国連絡会議は六月二十日、東京など全国三十八都道府県四十六カ所で「自殺・過労死一一〇番」を開設した。同弁護団は相談活動を始めて十年になるが、十年間で相談件数は約四千六百件、自殺・過労死などの死亡相談は約二千件に達している。

　今回の「一一〇番」相談内容は、①業務上の過労・ストレスが原因と思われる自殺（過労自殺）の労災補償に関する相談、②脳・心臓疾患などの過労死についての労災補償に関する相談などである。

　相談件数は、全国で二百六十五件。そのうち労災補償については百五十四件で、死亡は九十八件、自殺五十八件となった。そのほか、働き過ぎ、過労死予防相談が五十九件、その他五十二件となっている。この数字から、いかに労働者が苛酷な労働を強いられているかがみて取れる。

　地域別では、東京九十一件、大阪六十件、愛知十六件、福岡十二件、神奈川十件などとなっている。

相談は午前十時から午後三時までの五時間であったが、東京、大阪では電話が鳴りっぱなしになり、東京の九十一件は、一日の相談としては過去最高である。

　ちなみに警察庁発表の統計では、自殺者は三年連続で増えており、九七年は二万四千人を超え、戦後最高の数字に近づいている。労働者の自殺は、九六年五千八百五十二人から九七年六千二百十二人に増えている。勤務問題に関連した自殺は九七年で千二百人台となっているが、実際には他の原因と分類されたものにも、相当数含まれているとみられている。また、自殺場所が「勤務先」となっているものが、九六年三百五十二人から九七年四百七十二人と大幅に増えている。警察庁の統計からも、労働者が過労、自殺に追い込まれていることが分かる。

同弁護団は、①全国各地に多数の電話が入り、改めて事態の深刻さを認識されられた、②今後とも、過労死、仕事の過労・ストレスから生じる自殺（過労自殺）について、被災者・遺族のための相談活動を続けたい。また、職場の改善や労働行政の改善へ向けて取り組みを強めたい、とのコメントを発表した。

過労自殺の事例

◎残業が多く、夜二、三時に帰宅する生活が続いていた。時間に追われて仕事をしていて、仕事が終わったら寝てばかりいた。（電気工事・二十歳代）

◎ＯＡ機器がどんどん新しくなり、それについていくための勉強が大変だった。配置転換の希望を出していたが、かなえられなかった。（国家公務員・四十歳代）

◎三交替制勤務で仕事がきつく、睡眠障害に悩まされていた。（サービス業・三十歳代）

◎売り上げを上げろと上司から言われ、会社を辞めたいと話していた。（製造業・五十歳代）

◎株や債券の販売を担当していたが、ノルマがつらかったらしい。夜十一時ごろまで残業していた。（証券会社・三十歳代）

◎単身赴任先で自殺。工場勤務から営業に変わり、頭痛などを訴えていた。（製造業・四十歳代）

◎うつ病の診断書を提示したが、交替勤務が変更されなかった。（製造業・三十歳代）

◎会社合併の影響で忙しく、夜遅くまで仕事をし、土日も出勤していた。あまり忙しいので、会社がホテルをとるようになっていた。「仕事が大変だった」との遺書あり。（金融・三十歳代）

◎職種が変わり、夜十一時頃まで残業を続けていた。（地方公務員・四十歳代）