980525


今こそ労働条件死守すべき

組織された大衆の力が世の中を変える

国際運輸労連東京事務所・中村 正彦所長


 「大競争時代」「リストラ」の名のもとに、首切り、賃金抑制、労働条件の悪化など、労働者への攻撃が強まっている。まさに労働運動の闘う真価を発揮すべき時である。こんにちの連合労働運動のあり方について、ゼンセン同盟常任中央執行委員(総務担当)の菅井義夫氏に聞いた。


 経済が低迷し、労働運動全体に元気がない。何をすべきか迷っているのかも知れない。そこで、連合の運動、労働運動の意欲健全たれという気持ちで話したい。

 景気が悪くなると企業別組合では、「自分の職場は大丈夫なのか」ということで、企業側に対して強く言えないという問題がある。産別組織やナショナルセンターがしっかりして、企業別単位組合のリーダーに対して、「あなた方を産業別組合がしっかり支えているんですよ。団交の時は、産別の立場に立ってしっかりやれよ」と励まし、指導する必要がある。最近ものわかりがよくなって、どうしても企業別に狭く閉じこもりがちになるが、単位組合を相互に激励、支援し合うのが産別組織の大きな役割だと思う。

 労働運動の力そのものが弱くなっているが、その背景として組織率の低下がある。連合もようやく未組織の組織化に本気になってきているが、実際は組合員数が減っているのではなく雇用労働者が増えているのだから、組合のない職場にはどんどん組合を作っていかないと、労働運動のパワーがでてこない。

 労働組合がつくられにくい理由はいくつかあるが、組合の形態が企業別組合だから、自分の職場に組合があれば他へいって組合をつくろうとしないということがあると思う。その他、就業形態の変化、高学歴化、生活水準の向上などの理由も考えられる。

 だから労働運動を強くするには、未組織の組織化というのが大前提で、それを進めるのが産別組織の重要な使命だ。

 経済が低迷し、労働運動全体に元気がない。何をすべきか迷っているのかも知れない。そこで、連合の運動、労働運動の意欲健全たれという気持ちで話したい。

 景気が悪くなると企業別組合では、「自分の職場は大丈夫なのか」ということで、企業側に対して強く言えないという問題がある。産別組織やナショナルセンターがしっかりして、企業別単位組合のリーダーに対して、「あなた方を産業別組合がしっかり支えているんですよ。団交の時は、産別の立場に立ってしっかりやれよ」と励まし、指導する必要がある。最近ものわかりがよくなって、どうしても企業別に狭く閉じこもりがちになるが、単位組合を相互に激励、支援し合うのが産別組織の大きな役割だと思う。

 労働運動の力そのものが弱くなっているが、その背景として組織率の低下がある。連合もようやく未組織の組織化に本気になってきているが、実際は組合員数が減っているのではなく雇用労働者が増えているのだから、組合のない職場にはどんどん組合を作っていかないと、労働運動のパワーがでてこない。

 労働組合がつくられにくい理由はいくつかあるが、組合の形態が企業別組合だから、自分の職場に組合があれば他へいって組合をつくろうとしないということがあると思う。その他、就業形態の変化、高学歴化、生活水準の向上などの理由も考えられる。

 だから労働運動を強くするには、未組織の組織化というのが大前提で、それを進めるのが産別組織の重要な使命だ。

労働条件はかち取ったもの

 労基法改悪など労働者に攻撃が仕掛けられている。戦後五十年かけて労働組合が薄皮を一枚一枚積み上げるようにしてかち取ってきた労働条件や労働者を守る法律が、「規制緩和」とか「大競争の時代」という言葉によって取り返されつつある。企業は、世界的な競争の中で人件費にかかるコストをできる限り薄くしていくことが生き延びる道だと思い込んでいる。そうした攻撃に対して「人間が豊かになるために、産業・企業があり、労働組合がある」と、押し返していくことができなければ、労働運動が役割をはたしていると言えない。

 労働組合の目的は、労働条件の維持・向上である。今までは経済発展が右肩上がりだったので、労働条件も「向上」にだけ目が向けられていたが、現在はそれが続かない状況になっている。これまでかち取ってきた労働条件を「どう維持していくか」ということが非常に重要だ。

 最近、組合幹部は「保守的」などといわれるとアタフタしてしまい、労働条件の「維持」という大事なものを守る役割を忘れてしまっているのではないか。

 女子の深夜業の禁止撤廃や休日出勤などの緩和問題(いわゆる労働の規制緩和)がある。この問題に、ゼンセン同盟は非常に慎重な態度をとってきた。ゼンセンでは女子の深夜業禁止のために、ストライキを含む十数年の闘いの歴史経過がある。ゼンセンだけでなく、どこの産別でも、労働条件は一つひとつ苦心さんたんしてかち取ってきたものだ。それを「大競争時代」などとはやりの言葉に迷わされてしまってはいけないと思う。

もっと現場に目を向けよう

 連合は労働の現場にもっと目を向けなければいけない。ナショナルセンターや産別の本部に現場経験の乏しい職業活動家が多くなり、現場との間に微妙なズレが生じている。さらに、政府関係審議会などへの代表参加が定着しているが、これは労働者の意見反映の場としてかち取ったものである。その審議と労働運動のパワーが結びつかないと機能しない。そこの委員の自己完結型の動きにも問題があり、見直す必要がある。

 労働運動の原点は職場、勤労大衆である。どんなに時代が変わっても労働組合は大衆組織だ。いつの世も、世の中を動かし変えていくのは、組織された大衆の力だ。連合はもっと積極的に、飛び出して、大衆に目を向け、その人たちの声を聞き、体温をじかに確かめあっていかないと、しっかりした運動にはならない。連合もそれを構成する産業別労働組合も、運動の内容を分かりやすくし、大衆参加を通して組織された労働者のパワーを引き出すことによって、政府・自民党や経営側の理不尽に対して、敢然と闘いを挑んでいくような運動を組織していくべきだ。

 労基法改悪など労働者に攻撃が仕掛けられている。戦後五十年かけて労働組合が薄皮を一枚一枚積み上げるようにしてかち取ってきた労働条件や労働者を守る法律が、「規制緩和」とか「大競争の時代」という言葉によって取り返されつつある。企業は、世界的な競争の中で人件費にかかるコストをできる限り薄くしていくことが生き延びる道だと思い込んでいる。そうした攻撃に対して「人間が豊かになるために、産業・企業があり、労働組合がある」と、押し返していくことができなければ、労働運動が役割をはたしていると言えない。

 労働組合の目的は、労働条件の維持・向上である。今までは経済発展が右肩上がりだったので、労働条件も「向上」にだけ目が向けられていたが、現在はそれが続かない状況になっている。これまでかち取ってきた労働条件を「どう維持していくか」ということが非常に重要だ。

 最近、組合幹部は「保守的」などといわれるとアタフタしてしまい、労働条件の「維持」という大事なものを守る役割を忘れてしまっているのではないか。

 女子の深夜業の禁止撤廃や休日出勤などの緩和問題(いわゆる労働の規制緩和)がある。この問題に、ゼンセン同盟は非常に慎重な態度をとってきた。ゼンセンでは女子の深夜業禁止のために、ストライキを含む十数年の闘いの歴史経過がある。ゼンセンだけでなく、どこの産別でも、労働条件は一つひとつ苦心さんたんしてかち取ってきたものだ。それを「大競争時代」などとはやりの言葉に迷わされてしまってはいけないと思う。

 連合は労働の現場にもっと目を向けなければいけない。ナショナルセンターや産別の本部に現場経験の乏しい職業活動家が多くなり、現場との間に微妙なズレが生じている。さらに、政府関係審議会などへの代表参加が定着しているが、これは労働者の意見反映の場としてかち取ったものである。その審議と労働運動のパワーが結びつかないと機能しない。そこの委員の自己完結型の動きにも問題があり、見直す必要がある。

 労働運動の原点は職場、勤労大衆である。どんなに時代が変わっても労働組合は大衆組織だ。いつの世も、世の中を動かし変えていくのは、組織された大衆の力だ。連合はもっと積極的に、飛び出して、大衆に目を向け、その人たちの声を聞き、体温をじかに確かめあっていかないと、しっかりした運動にはならない。連合もそれを構成する産業別労働組合も、運動の内容を分かりやすくし、大衆参加を通して組織された労働者のパワーを引き出すことによって、政府・自民党や経営側の理不尽に対して、敢然と闘いを挑んでいくような運動を組織していくべきだ。


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