980415


規制緩和による犠牲と闘う

スチュワーデスが労組結成

コンチネンタル・ミクロネシア航空


 世界の航空業界では規制緩和によって競争が激化し、コスト削減で犠牲は労働者に押しつけられている。コンチネンタル・ミクロネシア航空(本社・米国)では、日本人客室乗務員が犠牲強要に抗議し、労働組合を結成して闘い続けている。同労組の闘いは、当局の組合つぶし攻撃にも負けず、組合を認めさせ団体交渉に持ち込むところまで前進した。これはまた、全日空乗員組合のストライキなどと共に、航空業界の規制緩和とそのしわ寄せに反撃する重要な闘いでもある。


 コンチネンタル・ミクロネシア航空では日本人客室乗務員三十四人が早期退職か一年ごとの契約社員かを迫られたことに抗議し、三月二日、労働組合を結成した。コンチネンタル・ミクロネシア航空労働者激励集会が四月二日、東京で開かれた。主催は同労組が加盟する全労協・全国一般東京労働組合。

 始めに、交渉団を代表して、全国一般東京労組の野田氏が、次のように今回の闘争経過と闘いの到達点について報告を行った――

 正社員の身分を捨てるよう強要された三十四人のうち二十数人が、労働条件を守りたいと労働組合を結成した。三月九日、会社側の強制的な会合に抗議し、団体交渉を求めた。会社側は組合とは交渉しないとの姿勢を示し、反組合攻撃を始めた。

 三月十八日、強制的な業務命令による会合がグアムで開かれたが組合員はストライキを行って参加せず、組合の団結を示した。それに対し、会社側は全員の十八日以降の乗務スケジュールを破棄。組合はその段階で、直ちに裁判所に地位保全の仮処分を申し立てた。

 会社側は三月二十日ぐらいまでは、客室乗務員を組合から脱退させることを最大の目標としていたが、日本では国会議員や労働基準監督署が関係してきたため、組合との交渉を行うようになった。その背景にはミクロネシア航空は日本市場を失うわけにはいかない事情がある。四月一日の交渉では、組合が何を求めているのか、ただメモをとっていた。

 野田氏は「これまで、組合を認めさせる第一段階の闘いはほぼ勝利的に展開したと考えられる」と闘いの到達点を述べた。

 また、労働分野の規制緩和に関連し、「ミクロネシア航空には客室乗務員を正社員で維持したくないという狙いがある。すでに大阪には正社員の半分の賃金で働いている乗務員がおり、この問題は大阪で有期雇用の乗務員が導入されたときから始まっていた。私たちは日本の労働基準で反撃しているが、労基法が改悪されれば、そういう対抗の仕方はできなくなる」と労基法改悪に反対していく決意を述べた。

 コンチネンタル・ミクロネシア分会の千田正信委員長は今後の闘いについて「十八人の組合員で、雇用確保、労働条件の向上、航空の安全性向上をめざして闘いを継続していく。具体的には、顧客である旅行代理店への申し入れや、成田空港就労要求行動、アメリカ大使館、外務省、運輸省、労働省への申し入れ、またミクロネシア航空グアム本社へ直接の抗議行動も考えている。さらに組合つぶしの攻撃に対し、不当労働行為を主張し、争っていきたい」と闘う決意を述べた。

 その後、参加した労働組合から連帯あいさつが行われた。

 最後に、ミクロネシア航空分会の組合員十八人が壇上に上がり「最後まで負けないようにがんばっていきたい」「この問題は私たちだけでなく、他の人の問題でもあるということをエネルギーにしてがんばっていきたい。今まで対岸の火事としか見ていなかったリストラが自分の身に起きて、十六年間働いてきたのに裏切られた思いがした。スチュワーデスは保安要員として安全も担っている。これはパートではできない。一日も早い職場復帰をめざしてがんばっていきたい。企業本位の労基法改悪も許せるものではない」などと、力強く決意を表明した。


コンチネンタル・ミクロネシア航空

 コンチネンタル航空のアジアと太平洋路線を担当する子会社。日本人客室乗務員は、日本―グアム、ホノルル路線の日本人客への接客を主にしている。日米航空交渉が決着し、親会社のコンチネンタル航空が九八年秋からニューヨーク、ヒューストンから直行便として成田に就航予定。


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