980415


断固たる闘いにこそ展望が

全日空乗員組合 賃金破壊に抗し、無期限スト

会社しだいでは無期限で闘う

全日空乗員組合・田中洋一副書記長


 全日空のパイロットなどで組織する全日空乗員組合は四月六日から、新賃金体系の導入強行に反対し、無期限ストライキに突入した。日本航空の乗員組合も九日、ベースアップ凍結に抗議しストライキに入った。沖縄と本土を結ぶ日本トランスオーシャン航空の乗員組合も三月二十八日から、会社が導入した賃金体系の撤回を求め無期限ストで闘っている。また全国港湾労働組合協議会(全国港湾・約五万人)は、米国の要求する日曜・休日出勤、共同配船による雇用喪失などに反対し、三月二十九日から日曜・夜間就労拒否で闘ってきた。そして九日には、全国二十数港でストライキに突入した。これらの闘いは、直接は賃金・労働条件の改悪に反対するものだが、同時に労働者に犠牲を押しつける規制緩和に反対するものである。その点で、規制緩和に反対する中小業者などを激励するものとなろう。航空業界、港運業界とも米国や財界が要求する規制緩和によって、し烈な競争が行われ、文字通り弱肉強食の世界になっている。これらの断固たる闘いに対して、日本労働党は全国主要港で支援・激励行動を行った。全日空乗員組合の田中洋一副書記長に今後の闘いなどについて聞いた。


 今回のストライキは、会社側が新賃金体系の導入を強行したことで始まっている。組合は(1)強行をやめること、(2)一昨年の新賃金体系強行による六十五時間手当の未払い分を清算すること、(3)会社は解決の道筋が見える判断をすること、(4)労資正常化は、会社が協定破棄を反省することから始めるの四点を求めている。

 今回の賃金体系の問題点は、まず第一に、六十五時間保障手当は賃金の下限としての固定賃金だったが、それをいっさいカットするということだ。これまでの賃金と新賃金を比較すると約二〇%の引き下げになる。

 また、新賃金体系は労基法違反の内容となっている。現在は所定労働時間も時間外労働協定もないという労基法違反の状態にある。まず所定時間をきちんとし、勤務のなかで残業に当たる部分については、残業手当を支払う。深夜労働になるものについては、深夜金手当を支払うよう、要求している。

今回、会社側が新賃金体系導入を強行した。これまで強行しないというのが、労資間の確認だったので、労資関係が著しく悪化している。そこで会社側に強行したことを率直に反省し、謝罪せよ。そして将来に向けてしっかりとした賃金体系をつくろうと提案している。

現在、会社側に団体交渉を毎日求めている。会社側は団交の窓口は開けてはいるが、会社側は「組合が主張やスタンスを変えなければ、いっさい団交には応じない」と、実際には組合の団交を拒否している。われわれは交渉の糸口が見つかるまでは、無期限で闘うことを確認している。

 今回の会社側の攻撃の背景には、航空業界の規制緩和があると思う。

 執行委員会では、航空業界の規制緩和については、議論になっている。これは主に米国の流れを受けて、日本でも規制緩和の流れが始まっている。しかし米国の航空業界の規制緩和の結果、いったいどうなったのか、そのことを冷静に見なくてはならない。最近の米国の動向をみると、逆に規制が必要ではないかという議論が始まっている。現実の航空運賃も一時期は安くなったが、現在は逆に高くなったところもある。こうした実際を冷静にみることが大事だと思っている。


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