断固たる闘いにこそ展望が
全日空乗員組合 賃金破壊に抗し、無期限スト
会社しだいでは無期限で闘う
全日空乗員組合・田中洋一副書記長
今回のストライキは、会社側が新賃金体系の導入を強行したことで始まっている。組合は(1)強行をやめること、(2)一昨年の新賃金体系強行による六十五時間手当の未払い分を清算すること、(3)会社は解決の道筋が見える判断をすること、(4)労資正常化は、会社が協定破棄を反省することから始めるの四点を求めている。
今回の賃金体系の問題点は、まず第一に、六十五時間保障手当は賃金の下限としての固定賃金だったが、それをいっさいカットするということだ。これまでの賃金と新賃金を比較すると約二〇%の引き下げになる。
また、新賃金体系は労基法違反の内容となっている。現在は所定労働時間も時間外労働協定もないという労基法違反の状態にある。まず所定時間をきちんとし、勤務のなかで残業に当たる部分については、残業手当を支払う。深夜労働になるものについては、深夜金手当を支払うよう、要求している。
今回、会社側が新賃金体系導入を強行した。これまで強行しないというのが、労資間の確認だったので、労資関係が著しく悪化している。そこで会社側に強行したことを率直に反省し、謝罪せよ。そして将来に向けてしっかりとした賃金体系をつくろうと提案している。
現在、会社側に団体交渉を毎日求めている。会社側は団交の窓口は開けてはいるが、会社側は「組合が主張やスタンスを変えなければ、いっさい団交には応じない」と、実際には組合の団交を拒否している。われわれは交渉の糸口が見つかるまでは、無期限で闘うことを確認している。
今回の会社側の攻撃の背景には、航空業界の規制緩和があると思う。
執行委員会では、航空業界の規制緩和については、議論になっている。これは主に米国の流れを受けて、日本でも規制緩和の流れが始まっている。しかし米国の航空業界の規制緩和の結果、いったいどうなったのか、そのことを冷静に見なくてはならない。最近の米国の動向をみると、逆に規制が必要ではないかという議論が始まっている。現実の航空運賃も一時期は安くなったが、現在は逆に高くなったところもある。こうした実際を冷静にみることが大事だと思っている。
Copyright(C) The Workers' Press 1996, 1997,1998