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スチュワーデスがシンポジウム

契約制導入の3年を検証

規制緩和反対の闘い前進


 各航空会社労組の横断組織である航空労組連絡会と客室乗務員連絡会は三月二十六日、「契約制スチュワーデス三年後の検証―労働法制改定は何をもたらすか、有期雇用と今後の雇用を考える」と題したシンポジウムを東京で開いた。会場には二百人を超える労働者やマスコミ関係者が集まり、活発な議論が行われた。

 基調報告に立った内田妙子・航空連副議長は「契約制導入で正社員も含め労働条件が大幅に切り下げられた。日本エアシステム(JAS)では五三%が契約社員になった。私たちは『正社員化、格差是正』を要求して運動を続け、『三年後の正社員化』をかちとった。契約スチュワーデスに組合加入を働きかけ、JASでは全員が正社員と同じ労組に加入している」と、闘いの力強い前進を報告した。

 また、「航空の規制緩和によってコスト削減、リストラが進み、パイロットや整備士は過酷な労働が強いられ、エンジントラブルなどが続出している。公共性、安全性、利便性が脅かされている。人間らしく働く雇用形態はどうあるべきなのか考えてみたい」と訴えた。

 パネルディスカッションでは、契約スチュワーデスの藤原真弓氏が初めて公然と壇上に並んだ。藤原氏は、「飛べば飛ぶほど正社員との格差を感じ、仕事にも魅力を感じなくなった。体調が悪くても休めないし、つらいというグチもこぼせない。結婚も出産もままならず将来設計がたてられないなかで、同期の半数近くが退職。私にとって労働組合に入れたことが良かった。先輩たちが築いてきた労働条件を守っていくのが私たちの課題。これからも頑張っていきたい」と決意を述べた。

 会場からは「スチュワーデスになるという私たちの夢は安く買われてしまった」「パイロットも労働環境の破壊がすすみ、十一時間のフライトでも一分の休憩もない。安全がなければどんな低運賃でも意味がない」「契約社員ではローンも組めない」など鋭い告発が相ついだ。

 閉会あいさつに立った芝佳宏・航空連議長は、「脱退した組合員の三倍が新たに組合に加入した。この三年間の闘いは着実に前進している。契約制を導入して運賃が下がっただろうか。航空規制緩和が進んでいるが、米国を検証すればその問題点は明らか。大資本を擁護する規制緩和が進んでおり、日本ではアメリカより辛らつなものになるだろう。これとは闘うしかない」と訴え、集会を締めくくった。


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