980325


中小春闘はこれから本番 大幅賃上げ・格差是正を

物分かりのよい運動はやめよう

関根 甫・ゼンキン連合書記長に聞く


 ゼンキン連合には約千百の組合があり、組合員数の九〇数%が中小企業の組合で、自動車、電機などの下請けや関連企業などが多い。

 ゼンキン連合は賃上げ回答指定日を十九、二十日とし、すでに四十八組合で回答があった。今後、自動車、電機などの部品や関連組合が続くが、下請けでない組合が先行しがんばっている。

九八春闘の傾向としては、自動車、電機などが最低の賃上げとなっている。特に電機が分裂回答で先行きが見えなくなっている。

 われわれが春季生活闘争に望む基本姿勢は、「メーカーがどうだから、関連がどうだから」ということに埋没しないということだ。もちろんメーカーなり親企業が一つの上限になるのも事実で、親企業での賃金を一〇〇とすれば、下請けでは八〇なり九〇だという現実は見逃せない。だが親企業の壁をぶち破っていかなければ、これからの中小企業での労働運動の活性化もないのではないか。

 ただし、金属労協(JC)共闘のあり方については見直しが必要だと感じている。とりわけ大手は個別賃金方式が今後、ますます導入されるだろう。だが中小のところでは、まだ平均賃金要求をしていかなければならない。もちろん中小でも中堅は中堅で、小企業は小企業なりに個別賃金要求方式を導入する努力をしていかなければならない。そのためには賃金体系をまずきちんとすることがある。同時に個別賃金要求に取り組める態勢をつくらなければならない。このように賃金の根本から押さえなければ格差是正は進まない。

 九八春闘では次の三つを柱にしている。

 第一に、ゼンキン連合ミニマムをつくっている。これは平均賃金の七五%以下はなくすというものだ。このことは今年だけでできるものではないし、賃金が改善されればまた七五%以下が出てくるので、また取り組むことになる。こうして平均賃金を上げ、格差是正を進めていく。

 そのためには自分のところの賃金が世間相場や親企業に比べて低いという実態をまず労資に把握してもらう必要がある。

 第二に、モノづくり基本法成立への努力を強めている。そうでないと日本の製造業は衰退の一途をたどるだけであり、われわれの雇用にも直接ひびいてくる。

 三点めはそうしたこととあわせて政策制度要求を実現させていく運動を強めることだ。

 当面の闘いだが、これまでは地方や地場産業などでは賃上げ妥結が六月末までずれ込むこともあったが、これはよくない。まずは三月末回答を実現させていくために努力する。これは昨年に比べれば増えているし、増えるだろう。従来だと三月末決着前に四月の方針も立てていたが、今年は三月末決着しか方針を立てておらず、四月にずれ込むところは昨年実績以上としている。

 そのためには、物分かりのよい労働組合ではだめだ。労資関係は一定の緊張関係を持っていくべきだ。これまで「生産に協力、賃金で解決」でやってきてストライキがなくなってしまった。場合によっては地方の幹部がストライキの打ち方を知らなくなっている。ストライキがすべてを解決するわけではないが、こうした状況を変えていかなければならない。あまりにも物分かりの悪い経営者には対決していかなければならない。そのことが労資とも切磋琢磨(せっさたくま)することになる。健全な労資関係の構築には有益だと考えている。資本にものは言うし、必要ならストライキも打つということが重要だと考えている。


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