980215


大幅賃上げ、週40時間労働の完全実施

実力行使も辞さない

中小共闘センター

格差是正フォーラム開催


 連合の中小共闘センターは一月二十六日、格差是正フォーラムと中小労組の集いを開催した。中小は大手を百とすれば、賃金が七十二、一時金が四十七、退職金がわずか三十五という実態にある。しかも大企業は絶えず、中小・下請企業にコストダウン要求を続けている。また労働者の七八%が中小企業で働いているという実態からしても、中小共闘センターが格差是正を求め、闘いを強化しようとすることは重要な意義がある。


本文 九八春季生活闘争「格差是正フォーラム」が一月二十六日、東京で開催された。主催は連合・中小共闘センター(三十一組織)で、ゼンキン連合、金属機械、ゼンセン同盟などの組合員が参加した。

 中小共闘センターの服部光朗代表(ゼンキン連合会長)は、経営側が雇用を理由に賃上げを拒否していることに対し、「要求提出前に雇用問題などを交渉し、その後格差是正の取り組みを企業に確約させる取り組みを行う」と述べた。さらに「これまで連合は調整機能はあったが、要求実現では取り組みが弱かった。九八春季生活闘争は丸腰ではなく、実力行使も辞さない」とし、ストライキ権を確立し、行使できる体制づくりを強調した。

 続いて格差是正の取り組みを行っている労組や地域連合から報告が行われた。

 ゼンキン連合・ゼクセル労組の三浦幸雄書記長から「地域関連企業の取り組み」が報告された。ゼクセルには約二十五の下請・関連労組があり、ゼクセル関連労組協議会をつくり、格差是正のために取り組み、大手賃金比で約九割まで格差を縮めたことが報告された。

 電機連合・本多通信工業労組の大沢茂委員長は、内部格差の是正、賃金中だるみの是正、職種別賃金の格差是正、賃金制度の改革と労組の取り組みを報告した。その上で、平均賃上げでは格差是正は不可能、個別賃金を調査し是正に取り組む個別賃上げ方式への移行を主張した。

 連合埼玉の鈴木雄一事務局長からは、地域ミニマム(最低賃金)運動の報告が行われた。過去三年間の実態調査から中小企業の賃金実態を説明し、最低賃金制度確立と引き上げの考え方を示した。そして駅頭などでの宣伝など社会的にアピールすることで未組織労働者への接近や連合運動全体のなかで産別での格差是正のために連携することなどを強調した。

 全国一般・東京一般労組の大森直史書記長からは「労働相談を通じた格差是正の取り組み」として、インターネット上にホームページ「お助けネット」を開設し労働相談に応じていることが報告された。昨年四月から十一月末までに七百件を超える相談があり、メールのやり取りを通じて残業割増し賃金が支払われていないなど、さまざまな違法行為の実態が明らかになったことなどが報告された。

 金属機械の小山正樹書記長からは「下請取引の第二次調査報告(九七年実施)―取引関係の実態と改善に向けて」が報告された。報告では、取引先からコストダウンがあったところが約八割にものぼっていること、そのほとんどがコストダウン要求によるもので、第一次調査(九六年)に比べても何ら改善していないこと、そしてコストダウン要求に約半数の企業で対応しきれないことなどが報告され、大企業による中小下請けへの犠牲の押しつけが具体的な数字で示された。

 参加者による討論では、清家篤(慶応大学教授)氏が記念講演で、およそ大企業による下請けへのコストダウン要求など存在しないかのように「市場メカニズムの活用」で格差是正が可能だと発言したことに対し、「中小のコストは市場が決めるのではない。親会社・大企業が決めてくる」と当然にも激しい批判が出された。

 最後にアピールが採択された。


力と行動で要求実現を

格差是正実現アピール

 98春季生活闘争は、2月いっぱいで要求提出を終え、3月月内解決をめざしていよいよ闘争の火ぶたを切る。

 中小企業をとりまく経済環境はきわめて厳しく、そこで働く労働者はいま、寒風吹きすさぶ北風のまっただ中に立たされている。9兆円にのぼる国民負担増や金融システム不安で、働く者の多くは実質消費を切りつめ、企業倒産・失業というすぐそこにある危機におびえている。

 日本発世界恐慌を未然に防止し、わが国経済を上昇過程に乗せるためには、これまでのデフレ政策を大胆に転換しなければならない。GDPの6割を占める個人消費の拡大、すなわち所得の増大をはかること、きのう・きょう・あしたを含めて生活不安をなくし、誰もが明るい希望の持てる社会を作ることがきわめて重要である。

 連合は、「力と行動」で、ゆとり・豊かさが実感でき、公正・公平な社会の実現をめざし運動を推進している。とくに中小・零細企業労働者の賃金・労働時間など労働諸条件の格差是正は最重要課題である。きょう開催した「格差是正フォーラム」では、格差の是正・改善にむけた具体的な取り組みについて経験交流と意見を交換し、さらにその取り組みの重要性を再確認した。

 労働条件の格差是正は、一朝一夕にできるものではない。賃上げでの額要求、個別賃金方式への転換、地域ミニマム運動を通じた最低基準の設定とその獲得など課題は多い。だが、実現にむけて果敢に挑戦しよう。わが国経済社会の浮沈は、中小企業で働くわれわれの双肩にかかっている。われわれが元気を出さなければ、98春季生活闘争の勝利はない。

 賃金引き上げ、格差の是正、雇用の確保、労働法制の改悪阻止、モノづくり基本法の制定などなど、多くの要求実現にむけて最後までがんばる決意をお互いに確認しよう。


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