980101


国民犠牲の行革攻撃反対

国家公務員労組総連合会

全農林労働組合     委員長 志摩 龍雄氏に聞く


 まず行政改革をどうみるかだが、行革会議の最終答申は、われわれの求めるものとは違った。行革によって、経済や社会によい変化を生むのかというと、そういう方向ではない。むしろ最初に中央省庁再編ありき、数あわせに過ぎない。われわれは弱い者を切り捨てるような行革はだめだと主張してきた。ところが結果は、弱い者が切り捨てられていく危ぐが強くなるばかりだ。

 行革の一つの特徴は、官邸機能の強化だ。相当なスタッフを集めているし、内閣府もつくる。しかもそれを補佐する総務庁は、国家公務員の半分を集めるものになる。へたをすれば昔の内務官僚的なファッショ政権につながる可能性も強い。

 財政構造会議でも聖域抜きでカットするというが、財政赤字の原因は明らかにされず、責任が問われていない。そのため年金や福祉にしわ寄せが行われている。

また規制緩和問題も労働法制にみられるように、最低の労働条件さえ規制緩和ということで奪われようとしている。本来は守るべきものさえ犠牲にされる。これだけ経済が大変な状況のときこそ、雇用を守らなくてはならないのに経営者の都合のよいようにしようとしている。守るべきところ、強化すべきところをきちんとしないと国民や労働者を守れない。

 地方分権も財政上から分権ができるのか。人事院勧告で国は指定職が一年間賃上げが凍結されたが、地方自治体でも賃上げが越年したところ、凍結されたところもある。財政上の措置がなく分権ができるのか。自治体が受けきれないと結局手抜きになる。

 これらは「小さな政府」などといい、国民には自立自前でやれということだ。消費税引き上げ、医療費負担増など国民に犠牲を押しつけるもので問題だらけだ。

 九八年は政治、経済をみれば円安・金融危機も続いており、求人倍率も下がっている。いつ首を切られるか分からない雇用不安がある。まず雇用対策が最大の課題だ。そのために経済の活性化、雇用対策が重要で、経営側や政府に責任を持たせる必要がある。

 行革の流れについては、国民のためになるのかどうかを労働者の立場から国民に訴えていく。行革基本法や各省設置法が改正される。これらが国のあり方や国民生活に及ぼす影響などをしっかり把握し、われわれの要求を盛り込ませるなど対策を進めていかなくてはならない。

 また公務員制度のあり方については、まず一般公務員には団体交渉権や協約権など基本的な権利がない。国民サービスを向上させるためにも対等なシステムが必要だ。そのためにがんばりたい。


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