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男も女も仕事と家庭両立できる環境を

ゼンセン同盟中央執行委員 秋元 かおる氏に聞く


 ゼンセン同盟は、女性が組合員の四四%を占めている。以前は、繊維企業の労働者を中心とした組合だったが、最近は流通・サービス産業で働く人たちが多くなっていて、日本の産業構造の変化が、組織としても現れている。

 また女性組合員の要求も多様化しており、歴史のある組合は、制度面では充実しているが、働き方という面で男女の区別がまだ残っていたりする。新しい産業では働き方や賃金で男女の区別や差がなくても、制度面では整っていないこともある。

 女性の権利問題については、比較的古くから取り組んできた。七四年に「女のたたかい」として育児休業獲得などの統一闘争を行い、制度化を図ってきた。

 一昨年から、男女雇用機会均等法の見直しの論議が婦人少年問題審議会(婦少審)で始まり、私たちは連合として対応してきた。そこで訴えてきたことは均等法は男女平等の法律としてしっかりつくるべきだということ、あわせて女子保護規定の撤廃問題は、撤廃ありきと先行してはならない、男女共通といっても男性の働き方に合わせるのが平等ではない、男女とも、仕事も家庭も両立できる条件にしなくてはならないということで、女子保護規定の撤廃と男女共通の法規制の同時実施を訴えてきた。

 しかし昨年十二月に報告された中央労働基準審議会の結果は、私たちの訴えてきたものにはなっていない。労基法の改正が、労働者を辞めさせる方便になったり、安く使いたいといって悪用する経営者がいないとは限らない。一番心配していることが起きないようにしていかねばならない。

 今後は労働省が作成する法案要綱に対し、連合として毅然とした態度で臨んでいかなければならない。また国会の議論に私たちの主張ももりこんでいかなければならない。

 また、組合役員に女性の参加がまだまだ少ないので、さまざまな機会に呼びかけている。九六年に労働組合役員に女性の参加を進めるための行動計画をつくった。連合は女性執行委員を一五%、当面八%にしていこうと決めているが、私たちの場合には業種がさまざまで、半分が女性という職場もあるし、一割しかいないところもあるので、一律規定はなじまないので、組織の比率にあった女性役員を育てていこうと計画している。

 例年五月を強化月間として、女性の組合参加のきっかけにしようと活動している。この二年は「男女とも仕事も家庭も両立できる環境整備を」というテーマでポスター、川柳を募集したり、セクシャル・ハラスメントのアンケートを実施し、組合員に参加してもらった。

男女とも労働、家庭を両立できるように

 九八年賃金闘争では、制度・運用上の「男女別賃金表」や「男女別賃上げ配分」があれば是正することを方針にしている。二月の中央委員会で「男女平等推進行動シリーズ」を決め、それに基づく取り組みを決定する。

 第一次行動としては、賃闘での賃金の男女格差の是正と母性保障の取り組みがある。九八年に施行される「妊娠中・出産後の健康管理に関する措置」などをゼンセン同盟の基準へ到達させることを求めていく。

 第二次は、九九年の改正男女雇用機会均等法に対応し、それ以前にチェック活動を行い、募集から退職まで問題がないか見直していく。

 第三次行動は、時間外、休日、深夜労働について具体的に行動していく。それとセクシャル・ハラスメントなどについても取り組んでいく。また介護休業も取り組んでいく。

 男女共通の法規制を目指していくためには、未組織の人を含めて運動をどう広めていくのかが課題である。ゼンセン同盟の臨時・パート組合員は九万人を超えているが、さらにパートタイマーを含めた組織化を図る準備も始めている。未組織のところに組合をつくるのは非常にたいへんだが、がんばりたい。

 また長時間労働の男性の働き方も課題だ。男性が休みを増やしてゆっくり過ごせる環境や意識になっていない。まだ、「会社人間」が多いと感じている。

 いずれにしても、均等法・労基法改正を自分の問題としてとらえることを重視して運動を進めたい。ブロックごとにリーダー研修会と五月には「私からのメッセージ」として労働と家庭の調和についてのメッセージを募集し、多くの組合員に参加してもらえる活動にしていきたい。

 セクシャル・ハラスメントに対応するためにアンケート調査を行ったが、それをもとに学習会資料を準備している。アンケートの実施がきっかけになり、男性も学習しようという動きが出てきている。

 九八年は男女両方の取り組みが前進しているが、男女ともに仕事と家庭が両立できる環境整備に向けて、いっそう前へ進めるためにがんばりたい。


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