971205


 各労働団体の反対行動続く

労働法制改悪を許すな


 労働時間や裁量労働制など、労働法制の規制緩和問題に関して、中央労働基準審議会(労相の諮問機関)の報告などが十二月四日前後に出されるのを目前に控え、連合、全労協など各労働団体の反対行動があいついで展開されている。連合は、十一月の三万人集会に続いて十二月二日に集会を開催するなど、各団体のもとで労働者の闘争が強化されている。長期の不況のもとでのリストラ攻撃に続いて、橋本政権によって労働条件がさらに改悪されることに対し、怒りは増大するばかりである。いっそうの大衆的闘いの強化が求められている。


3千人が結集

異議あり労基法改悪集会

 「異議あり労働基準法改悪!労働法の規制緩和・行政改革反対―すべての労働者の権利確立を求める全国集会」が十一月二十七日、東京の日比谷野外音楽堂で開かれた。
主催は「有期雇用労働者権利ネットワーク」「派遣労働ネットワーク」などの実行委員会で、協賛は日本労働弁護団。集会には、全港湾、国労、自治労、全水道などの多くの労働組合員など約三千人が参加した。
 主催者あいさつとして、有期雇用労働者権利ネットワーク代表の宮里邦雄氏(日本労働弁護団副団長)が「労働基準法は、最低限の基準を定めたもので、政府はそれさえ改悪しようとしている。これは、使用者が労働者を解雇しやすくし、都合のよい時間だけ働かせる。あるいは裁量労働制によって際限のないサービス残業をさせるものだ」と改悪の狙いを指摘した。
 現場からの訴えとして多くの代表が訴えた。全労働省労組の代表は「われわれは労働基準監督署や職業安定所などで働く者の労組で、毎日労働者と向かい合っている。改悪は、労働時間という概念をなくし、労働基準監督行政が過労死を規制できなくするものだ。さらに労働法違反の罰則さえなくそうとしている」と訴えた。
 パート研究会の代表は「私たちの職場は東京都の女性会館だが、職員・非常勤職員・派遣労働者が三分の一ずつで占められている。非常勤、派遣は、労働時間は職員の七ー八割だが賃金は三分の一で、しかも一年契約だから昇給も退職金もない。現在のパート法で守られていない私たちは、当り前のこととして自立して生活できる労働条件をかち取るためにがんばりたい」と述べた。
 派遣労働ネットワークの代表は「派遣労働の一番の問題は、実際の使用者には私たちの使用責任がないことだ。だから労働条件をよくしていくことも非常に難しい。その上、法改悪が行われれば、さらに派遣社員が増えていくことになる。労働者の権利、生活を守るために運動を進めていきたい」と決意を語った。
連帯のあいさつを日本労働弁護団、連合、全労連、全労協がそれぞれ行った。三つの「ナショナルセンター」は労働法制改悪に強く反対することを表明した。
 また集会には、英国リバプール港で解雇され闘い続ける労働者と韓国民主労働組合総連盟から連帯のメッセージが寄せられた。


連合中央集会

4千5百人が立ち上がる

 「二兆円減税・景気回復の実現、権利拡充の労働法制実現・基準緩和の阻止」を掲げて連合の緊急行動が十二月二日夕、開催された。集会には約四千五百人が結集し、中でもゼンセン同盟組合員は「男女共通規制を実現しよう」「労働者の権利を守ろう」などと書いたゼッケンを付けて参加した。
 連合はすでに十月下旬、減税要求や労働法制改悪に反対し、国民のための行革を要求する「緊急闘争本部」を設置。要求実現へ向けて、十一月五日から約三百人による労働省前座りこみ、十一月八日の三万人中央集会、各地でのキャラバン宣伝など、これまでになく大衆行動を展開してきた。
 集会で笹森清・連合事務局長は、「われわれは、力と行動というスローガンのもとに連合八百万の総意を結集し、六千万雇用労働者すべての気持ちを込めて、要求が実現できるように固い決意を誓い合いたい」と決意を述べた。
 さらに当日、四十二地方連合約七百人が省庁へ要請行動を行ったが、それを代表して木村智佑・連合関東ブロック事務局長が次のような決意を表明した。
 「連合は最近も、組織拡大の全国会議を開き、組織拡大の努力を懸命に行ってきた。しかし、このように地道に努力しても、働く者の憲法ともいうべき労働基準法はじめとする労働法制が改悪・骨抜きされれば、職場の権利も労働条件も決してよくならない。もちろんわれわれは倒産、解雇などについて一生懸命労働相談にのるが、本来的には会社が倒産せず、解雇もない安心した社会をつくる方が、さらに大事である。今日の中央集会の空気を地方連合に持ち込んで明日からさらに努力しよう」。
 集会は、「生活と経済が大きな困難に直面しているにもかかわらず、橋本内閣は、財政構造改革と規制緩和を金科玉条にして、積極的な対策を講じようとはしていない。逆に、規制緩和に名を借りて、労働基準法の改悪さえもくろんでいる。行動は、私たちの生活と社会に希望を取り戻す行動にほかならない」とのアピールを採択して意気込みを示した。


労働時間の共通規制を強く要求

均等法の定着と男女共通規制の確立めざし

男女共同参画シンポジウム

JAM連合(ゼンキン連合・金属機械労組)が主催

 改正雇用均等法の定着と時間外労働時間などの男女共通規制を求める「男女共同参画シンポジウム」が十一月二十九日、東京で開かれた。主催は、ゼンキン連合と金属機械労組の連合体であるJAM連合で、約百数十人が参加した。
 冒頭、相馬末一・JAM連合副会長が、「労働法制見直しに関して、みなさんの努力で築き上げられてきたことが、規制緩和の名のもとに大がかりに規制緩和されようとしている。この問題に、連合あるいは広い意味で労働界あげて立ち向かっている。この課題は、二十一世紀へ向けてわれわれの働き方や生き方も問う問題だ。さらに九九年九月には、ゼンキン連合、金属機械の統一体・JAMを結成するので、両組織が生活の問題でも共通の広場を広げていく機会としたい」と開会あいさつを行った。
 ついで北裏昌興・JAM連合会長代行(金属機械委員長)が、十年前にスウェーデン金属労組との交流で、同国の男女共同参画社会を視察した報告を中心に、主催者あいさつを行った。
 続いて弁護士の林陽子氏(連合要求実現応援団の一員)が、「均等法、労働基準法の改正とこれからの課題」と題して、改定均等法の内容と世界に比べても非常にたち遅れたわが国の労働法制について解説した。
 大山勝也・JAM事務局長が委員として参加している中央労働基準審議会の審議状況を報告した。例えば、労働時間については、「年間時間外労働の上限三百六十時間の規制」はきちんと明文化されず、労働省も行政指導しようとはしない実情、「裁量労働制」もすべてのホワイトカラーへの適用拡大もねらっているという。そのため、労働側委員は「最低限、拙速な結論は避ける」ことを求めており、「こうしたものが法案とされるならば、われわれは国会での廃案をめざすべきではないか」と提起した。
 最後のパネル討論は、高島順子・連合女性局長、小柳忠久・ゼンキン連合副書記長、小山正樹・金属機械書記長によって行われた。高島局長は、先の均等法改定によって、採用・配置・昇進・教育などの点で男女差別に対する規定が厳しくなり、差別撤廃に向けていくらか有利になったことを指摘。労組としては、三六協定締結問題などで、必ず女性組合員を参画させ、共同して取り組むべきことを強調した。
 ゼンキン連合、金属機械の報告では、女性が組織の約一五〜二〇%をしめる実情や職場における差別の実態調査が述べられ、差別問題打開のために組合員の意識変革にそうとう努力する必要があることが力説された。
 このシンポジウムはJAM連合発足後、初めての取り組みとなり、男女差別撤廃へ向けて認識を新たにするものとなった。 


Copyright(C) The Workers' Press 1996, 1997