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港湾で24時間ストに決起

米の圧力 規制緩和に反撃

事前協議制度を守れ


 全国港湾労働組合協議会(全国港湾)と全日本港湾運輸労働組合同盟(港運同盟)は十一月二十一日、港湾の労資協定である事前協議制度への日米両国政府の介入抗議と港の規制緩和反対などを訴え、全国七十六港で二十四時間ストライキに突入した。米国連邦海事委員会(FMC)はこれまで事前協議制度が緩和されていないとして日本船舶の米国寄港に対し、一回一隻十万ドルの課徴金を課すという暴挙に出ていた。これに対し橋本政権は、米国の圧力に屈し、日本港運協会を通じないで個別に荷役会社と交渉できる新方式を打ち出し、十月二十八日、船主港湾協議会、外国船舶協会、日本港運協会と運輸省の四者で合意した。まさに米国屈服であり、米国のためにわが国港運事業を売り渡すものである。全国港湾、港運同盟のストライキは、港の公共性の維持と労働者の雇用を守る正当な闘いであり、橋本政権による「改革」に痛烈な反撃となった。なお、労働党は横浜港、川崎港、大阪港、博多港などで激励行動を行った。


横浜港

 横浜港では、関東運輸局前に約七百人の港湾労働者が集まり、ストライキ突入決起集会を開いた。
 全横浜港湾関係労働組合協議会の岸議長は、「秋年末闘争は、本来なら各組合ごとに一時金要求などを闘うものだが、本日のストライキは事前協議制度廃止、規制緩和攻撃に反対するものだ。FMCによる攻撃が続いていたが、政府運輸省が協議事項と協議方式に不当に介入してきた。FMCは昨年十一月から活発に規制緩和攻撃を加え、九月末日までに米国に入港した船舶四十隻に課徴金を課したが、解決しなかった。そこで急きょ日米政府間交渉が行われた。政府は、米国による日本船舶入港拒否を回避しようと、われわれの事前協議破棄に踏み込んできた。だが、FMCはまだ制裁を解こうとしていない。
 事前協議制度は九二年三月二十五日に運輸審議官の立会いのもとに調印されたもので、船舶が移動しても、港全体の調整で労働者の雇用を守るためのものだ。しかも民間労資協定であり、いかなる理由があろうとも運輸省は介入できないはずだ。日本港運協会とは昨年二回も事前協議を維持するとの確認書を取り交わしている。それなのにFMCはわれわれに襲いかかってきた。
 これからの規制緩和問題では、行政改革委員会の小委員会で月内から十二月に一定の結論が出る。だが、結論が出てからでは遅い。英国リバプール港にみられるように、港を日雇い労働者、パート労働者だけでまかなおうとするのは目に見えている。したがって、断固たる態度で闘っていく」とあいさつした。
 来ひんの河本・全国港湾副議長は「事前協議制度、規制緩和問題は、重大な局面、正念場にきている。米国の要求は、港は二十四時間三百六十五日仕事をしろ、米国が日本に拘束され自由に配船できないなどというのは容認できない、ということだ。したがってFMCと運輸省の合意は、さらにこうした米国の要求を実現しなければ解決しないだろう。だが、こうした政府による労資協定への介入は世界でも例がない。全国港湾としては、こうした介入を許すことはできない。
 規制緩和問題は、小委員会が港湾運送事業のあり方について十二月四日に発表するという。そして来年の運輸審議会でさらに具体的なものが出てくるだろう。今日の闘いは、まさに始まりである。来春闘は、二十四時間、四十八時間ストライキで闘い抜くことを決意している」と決意をこめたあいさつを行った。
 また決起集会には、全日本海員組合京浜支部も激励にかけつけた。同支部の河合支部長は「現在、港湾のみなさんとアジアの仲間と共に港湾、海運を守る大キャンペーンに参加し、船員の立場を守るために闘っている。運輸省は、米国の圧力に屈し、港湾運送事業、海運の規制緩和に取り組もうとしている。何でも規制緩和をすればよいというマスコミの報道も問題だ。港湾と海運の仲間は手を携えて規制緩和に反対していこう」と激励のあいさつを述べた。
 参加した労働者が「規制緩和反対」「港湾を守れ」などのシュプレヒコールを行うなか、岸議長などは抗議書を関東運輸局に提出した。

大阪港

 大阪港では、ストライキ開始からピケをはり午前十時より、大阪南港コンテナ埠頭で約二百人が参加して決起集会を開いた。
 佐野・大阪港湾労働組合協議会議長(全港湾労組関西地本委員長)は、「今朝、八時よりすべての港の荷役作業が止まっている。今回のストライキの目的は三つ。一つめは、アメリカの不当な要求に屈した政府の労資慣行への介入の糾弾、二つめは港湾事業への規制緩和政策の撤廃、三つめは秋年末闘争の勝利、である。
特に政府の規制緩和攻撃をやめさせるには、一日のストライキだけでなくもっと大きな闘いが必要だと感じている。いまのところ、自らの職場でストライキを構えて闘っているのは、われわれだけだが、規制緩和攻撃に反対するすべての労働者のためにも、断固闘っていきたい」とあいさつした。
 支援にかけつけた浦・連合大阪組織局長は、「今回の日米政府の労資慣行への介入はまったく不当で、断じて許せない。これまでの制度は、労働者が生活と命をかけてかちとってきたもの。連合大阪も六十万人の組織をあげて支援したい」と激励のあいさつを行った。そのほか海員組合、国労、大阪港運労組共闘会議なども激励に参加した。


福岡では、来ひんとして紹介

港湾労働者のストを激励

 神奈川、大阪、福岡の党委員会は11月21日に闘われた港湾労働者の24時間ストライキを激励する宣伝活動を行った。
 神奈川県委員会は横浜港と川崎港の決起集会にかけつけ、「ガンバレ港の労働者」と呼びかけるビラを、港湾労働者に手渡した。
 大阪府委員会は、スト前日に大阪港湾労組協議会に檄文を送り、当日は大阪南港のコンテナ埠頭での決起集会に参加し、宣伝活動を行った。
 福岡県委員会は博多港で港湾労働者を激励する宣伝を行った。総決起集会では、党代表が来ひんとして紹介された。


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