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規制緩和の荒波はね返せ 

 全港湾 規制緩和、ガイドライン反対

中央総決起集会開く


 港湾では、規制緩和の先取りである大手企業への港湾事業新免許付与などによって、中小企業・労働者が港から放り出される攻撃がかけられている。また、新ガイドライン問題は直接、港湾が米軍に使用される危険をかかえている。規制緩和攻撃が強まるなかで、これに反対する闘いは重要であり、とりわけ労働組合の闘いが問われている。全港湾の取り組みを紹介する。


 全日本港湾労組は十月九日、東京・全日通ビルで全国九地本・五十三支部の代表など三百五十人が参加して中央総決起集会を開催した。
 参加者全員がハチマキと規制緩和、ガイドライン反対のゼッケンをつけて、闘う意思を示した。
 河本委員長が主催者を代表して全港湾を取りまく状況と闘う決意をこめた開会あいさつを行った。
 交運労協などの来ひんは、規制緩和に反対し連携して闘うあいさつを行った(別掲)。また、英国のリバプール港闘争団代表も参加していることが紹介された。
 続いて、全国の現地闘争の報告が行われた。大手企業の港湾事業への新規参入問題を闘う日本海地本、本州四国架橋によって雇用不安にさらされている四国地本、新ガイドライン、米空母インディペンデンスの小樽港入港反対を闘った北海道地本などから現地闘争報告と決意表明が行われた。
 その後、運輸省前で、規制緩和反対、ガイドライン反対などのシュプレヒコールを行い、省庁交渉に向かう代表団を激励する行動を行った。
 最後に交渉団報告の後、「具体的回答を引き出せなかったが、闘いを今日一日だけに終わらせることなく、職場、地域で団結と連帯を強化して闘い抜く」との決議を採択した。

河本末吉委員長あいさつ

 すでに物流分野での規制緩和によってトラック関係は大きな打撃を受けてきた。海運、港湾においても、行革・規制緩和攻撃にさらされている。それによって大手の新規参入が許されるなら、現在港湾を担っている中小はつぶされてしまう。さらに米国によって、港湾の事前協議制に攻撃がかけられている。
 こうした攻撃に対し、全港湾は組織をあげて、全国港湾と力を合わせ産別としても闘う。さらに規制緩和にさらされている多くの仲間と手を組んで、大きな反撃のうねりをつくりだしていかなければならない。
 ガイドライン問題だが、港湾労働者は真っ先に米軍の荷役にかりだされる。新ガイドラインによる戦争協力と有事法制に強く反対していく。
 本州四国架橋問題は、一九七一年に政府が全国総合開発計画によって、四国と本州に橋を三本かけると決まった。全港湾としては、港湾労働者の雇用を守るために闘いを強め、政府と政労協定を結び雇用対策を確認した。
 ところが来年四月には明石海峡大橋が完成するというのに、政府は一人の雇用も発表していない。われわれは港湾労働者の雇用を守るために最後まで闘っていくものである。 最後まで団結してがんばろう。


新免反対闘争−−アリでもゾウに勝てる

山本・日本海地本委員長

 大手への新免付与は、過当競争をあおるもので、規制緩和の先取り以外の何ものでもない。昨年末、新潟で上組に新免が許可され、富山、舞鶴でも新免が予定されている。そして王子製紙が出てこようとしている。
 新免付与は、港湾の中小企業を労働者を根こそぎ放り出すものだ。座して死を待つわけにはいかない。断固として闘い抜かなければならない。
 アリであってもゾウに勝てる。それは産別闘争にかかっている。王子が出てくるなら、実力で止める。生活を守るために、職場を守るために、そして全港湾の旗を守るために産別闘争が組めれば、全港湾は勝利できると確信している。
 本四架橋にともなう雇用保障協定は、離職させない対策と離職せざる得ない場合には、雇用対策を行うというものであった。

本四架橋闘争−−魂を入れた闘いを組む

元木・四国地本委員長

 来年四月に完成する明石海峡大橋一本で、港湾・船員が仕事がなくなる。そして辞めていかざるを得ない。旅客船のほうは、八百八十人の雇用の受け皿ができている。しかし、政府は雇用協定を無視しており、港湾労働者の雇用の受け皿は、ゼロである。こんなバカなことがあるのか。
 四国地本は、港湾労働者の雇用をかけて、魂をいれた闘いを行う時だと考えている。最後の追い込みをかけて、まさに命をかけて闘う決意である。

ガイドライン−−連携して反対の闘いを

森岡・北海道地本書記次長

 小樽港へ米空母インディペンデンスとモービルベイが入港した。連合北海道、平和運動センターが反対闘争に立ち上がった。全港湾は北海道港湾と共同して知事や小樽市長などに入港を拒否するように申し入れた。
 実際に入港した五日間、一般船舶は入港できず仕事にならなかった。またフェリーのトラックも交通渋滞によって、港で身動きできないありさまだった。港湾が米軍に使用されれば、まさに職場が奪われてしまう。
 今後は組織をあげ、連合北海道、平和運動センターとの連携を強めながら反対していく。

連帯のあいさつ

坂野・全国港湾議長

 リバプールの闘いに連帯し二、三月にストライキで闘い、今後もストライキで闘うことを確認した。規制緩和に反対する闘いについては、傘下組織でしっかりと議論してもらい、闘い抜く意思を確立していく。

島田・交運労協事務局長

 交運労協は10月8日に総会を開催し、規制緩和・行財政改革攻撃に陸海空の労働者を総結集して闘う。総会でも確認したが、規制緩和の荒波を職場・地域ではね返す運動をつくろう。

徳住・労働弁護団幹事長

 リバプールでの規制緩和と同様の攻撃は、日本でもかけられている。労働法制の規制緩和は、雇用を破壊し、労働者を破壊し、賃金を破壊し、そして労働組合を破壊するものだ。それは米国での格差拡大、ニュージーランドでの例でも明らかだ。労働者の権利が守られる、公正な社会をめざして労働弁護団もがんばりたい。 


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