政府の行革会議が郵政事業の民営化など省庁再編案を含む中間報告をまとめた。省庁再編、民営化などによって、国民生活や国土保全を支える国営事業を切り捨て、大企業の食い物にしようとする政府の「行政改革」を許してはならない。郵政、林野、印刷、造幣の四国営企業で働く三十万人を組織する労組と連合は「国民が必要とする公共サービス」を保障しようという立場から、民営化などに反対する闘いに立ち上がった。
政府の行政改革会議(会長・橋本首相)は九月三日、現在の二十二省庁を一府十二省庁に再編することや内閣機能の強化などを柱とする中間報告をまとめた。政府は、十一月までに最終報告をまとめ、来年の通常国会に再編の基本法案を提出する計画である。
省庁再編案に直接関係する連合官公国営企業部会は中間報告に先立つ八月二十六日、高頭進全逓委員長を本部長とする行革対策闘争本部を設置した。国営企業部会は、全逓、全郵政、全林野、全印刷、日林労、全造幣の六組合で構成されている。
行革会議の中間報告に対して、連合国営企業部会は三日、東京・総評会館で中間報告に抗議する緊急集会を開いた。集会では、高頭行革対策本部長が主催者を代表してあいさつを行い、全郵政、全林野などの各単産が決意表明を行った。特に郵政事業では、世論調査で現行の経営形態支持の意見が七〇%くあり、全国三千近くの自治体が現行形態を支持する決議を上げていることから、郵政労組の意気込みは高い。
連合からは、町田副事務局長、野村官公部門事務局長(公務員共闘事務局長)が激励のあいさつを行った。さらに、宮入対策本部事務局長(公労協事務局長)が経過と今後の取り組みを報告。集会は最後に、郵政三事業や印刷・造幣事業、国有林野の国家経営形態の維持を求め、「国民無視と働く者の存在を忘れた議論に抗議し、撤回を求める」と中間報告を非難する緊急アピール(別掲)を採択し、「団結ガンバロー」で気勢をあげた。
同部会は四日、集会アピールを持って行革会議、政党に要請行動を展開した。今後、同部会は行革会議最終報告とりまとめの時期に向けて、取り組みを強化する。
○郵政三事業は、全国津々浦々で郵便、貯金、保険を含めたユニバーサルサービスを提供し、ライフラインの役割を果たしている。三千を超す地方世論調査を見ても、国民の多数が現行経営形態を支持している。税の投入がなく、国家財政を圧迫せず、国民利益にかなった現行経営形態を維持するべきである。
○国有林は国が責任を持って所有し、環境と森林林野事業と一元的に実施する必要がある。森林管理及び国有林野事業は市場経済になじまず、かつ自然災害、山地崩壊の防止に役立っており、公益性を基本とした行政組織で担うべきである。
○印刷・造幣事業は、紙幣・貨幣の製造など国家の信用を担い、国民生活を支える重要な業務を担っている。行政が責任を持つ事業とし、国営形態のもとで運営すべきである。私たちは、行革会議に対して、国営企業現場に働く私たちの意見を踏まえた公正な論議が行われることを強く要請する。
私たちは、四現業が国民に開かれた、より質の高い公共サーピスを遂行するため、引き続き国営企業としてその役割を果たすべきことを基本に、真の行政改革の国民的合意をめざし、聞争を開始することをここに宜言する。
一九九七年九月三日
連合官公部門国営企業部会 緊急抗議集会
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