970905


自治労大会に参加して

闘う方針の確立を

「参加型」で職場を守れるのか

岩田 滋(自治労組合員)



 自治労第六十七回定期大会が八月二十六日から四日間、金沢市で代議員、傍聴者など七千五百人が参加して開かれた。今大会のスローガンは「参加・改革・連帯の運動が明日の扉を開く。地方分権・自治体改革を進め、二十一世紀の地域公共サービスを築き上げよう」というものだった。

 大会の焦点は、来年の参議院選挙に向けた政治方針と地方行革問題に絞られた。

行革に反撃の方針を

 焦点の一つ地方行革問題は、すでに各地で大々的に進められ、賃金抑制、人員削減攻撃がかけられている。九四年に自治省が地方行革大綱を出すように自治体に求めた。そして九五年、九六年と具体化が進められている。

 そうしたもとで、代議員からは「これだけ行革が進めらているが、本部がいう『参加・改革・連帯』ではとても闘えない。地方自治体はバックに政府・自治省がおり、行革攻撃は決してやむことはない。『参加』では抗しきれない」(茨城)「行革攻撃のターゲットは清掃など現業だ。自治労として産別闘争を組むべきだ」という闘いを求める声が強かった。

 例えば東京都の清掃部門は来年から各区に分割されるが、そうなれば組合が二十三分割されるわけで、組合弱体化は疑う余地がない。都は九七年四月に準備が整わなくても強行するといわれており、それに対し東京清掃労組はストで闘うとしている。

 自治労本部はまず実態を知るべきである。今大会で強調された「参加型」運動でどのように人員削減や賃金凍結、住民サービス低下を阻止するのか、闘う方針が確立していない。

民主党一本化に批判続出

 政治方針について、本部は十号議案として「第十八回参議院選挙の闘争方針」を出してきた。それは、一言でいうと民主党を軸にするというものだった。しかも十号議案は、大会当日に提案したもので、新潟、青森、秋田、岩手、宮城、山形、福島の各県本部が猛烈に反対し、自治労東北地連が修正案を準備した。

 十号議案のやりとりでは、宮城県本部が「民主党の候補者は三日前までは自民党で、二日前に新進党に移り、翌日民主党になった。これが本当に民主リベラルなのか」「本部が中に向かって社民党、民主党を軸にといいながら、外に向かっては民主党中心といっている。二枚舌を使っている」とまで批判した。

「ガイドライン」で断固闘うべき

 また、沖縄県本部も「沖縄県議会では与党の最大会派は社民党で民主党は一人もいない。民主党を軸では沖縄闘争は闘えない」と反発した。多くの県本部が「これまで社民党、民主党を軸として下部討議もしてきたのに、なぜ大会にそういう方針案が出て来るのか」などと批判した。

 結局、十号議案は下部討議案に変更された。従来の「選挙方針」がよいわけではないが、方針案撤回は当然である。

 社民党が本当に闘うわけではないが、沖縄のように地方では反戦・平和運動を含めて旧来の社会党の流れを基盤にしている所もある。だから地方にとっては運動基盤を残そうとする抵抗でもある。

 そして大会ではあまり議論にはならなかったが、重大なのは政策協議について、「労組の求める要求、政策実現のために、協力政党以外でも政策実現に責任を持つ政党との政策協議を進める」と自民党との協議にも含みをもたせた提案である。これは自民党へのすり寄りで、自民党の労組を闘わないようにする政策に取り込まれてしまうだろう。

 また反戦・平和の課題では各地では奮闘している。沖縄県本部はもちろんだが、山口県からもすばらしい報告があった。沖縄の普天間基地の一部が岩国基地に移転されるが、反対闘争で一万六千人の座り込み闘争や四千人を動員した集会を行っている。

 日米防衛協力の指針(ガイドライン)の見直し問題で、運動方針では見直し反対になっているが、闘い方が不鮮明である。ガイドライン見直しは、わが国の民間空港、港湾をはじめ日本中が米軍に協力させられるもので、わが国の進路が問われるものである。またわれわれ自治体労働者も、それにさまざまな形で動員されるのである。

 この問題に日々直面する沖縄県本部は「ガイドライン見直しの反対運動が弱い。中央行動など方針があるのか」と闘い強化を訴えていた。基地をかかえる神奈川、石川からなどからもガイドライン問題、基地撤去などが強調されていた。

現場は闘いを希求

 総括的にいえば、政府・自治省は、着々と行革攻撃など進めているが、自治労が掲げる「参加・改革・連帯」というスローガンでは闘えない。今大会で「参加型」が強調されていたが、現場からすれば具体的な要求で闘わなければ職場は守れない実態がある。

 香川県の代議員は、「行政改革に名を借りた合理化攻撃について、香川県本部はこの一年間で民間依託攻撃、一方的定数改正など数々の合理化攻撃がめじろ押しにやってきた。また四国地連や各評議会でも合理化攻撃が報告されている。自治労の仲間が攻撃されていることに中央本部として、各県本部でどう闘うのか示してほしい」と闘う方針を求めていた。

 こうして全国の闘いを直接聞けば、現場では闘いを求めており、方針さえ提起されれば現場に力はあることが分かる。

 自治労は、これからも現場を基礎に、労働者だけでなく広範な人びととの連携を強めてガイドラインなど国の進路にかかわる課題、橋本政権が進める行革攻撃などで国民の先頭で闘い、広範な国民運動を発展させる任務がある。


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