970205


港湾労働者が全国統一行動

欧米でも連帯ストライキ

規制緩和反対・スト闘う英国労働者に連帯


 全国港湾労働組合協議会(全国港湾)は一月二十日、規制緩和に反対するとともに、イギリス港湾労働者に連帯する全国統一行動を展開した。九七春闘の重要な一環であり、欧米や韓国での闘いに国際連帯するものとして位置づけられている。闘いも、一部組織だけでなく、港湾労働者全体の共同した取り組みへと発展している。さらに二月には中央行動が計画されている。

 全港湾、検定労連、全倉運などでつくる全国港湾労働組合協議会(全国港湾、坂野哲也議長、約五万人)の全国統一行動には、時限ストを含み北海道から沖縄までの全国各港が立ち上がった。

 イギリス・リバプール港では、規制緩和による大量解雇に反対して、港湾労働者が一年半もストライキで闘っている。この日は、アメリカ、欧州、オーストラリアの各港においても、最低一時間から二十四時間のストライキを打ち、イギリス港湾労働者の闘いに対して、世界的規模で連帯・支援の行動が取り組まれた。

 また、この集会に先立つ一月十日には、日本港運協会と全国港湾、港湾同盟との中央団交において、港湾への規制緩和に対して、労資一体となって反対していくことが確認されている。

 大阪港湾労働組合協議会(大港労協)も「統一決起集会」を行い、港湾労働者約二千人が参加した。

 主催者あいさつに立った佐野祥和議長は、次のような力強いあいさつを行った――
「九七年春闘では、規制緩和反対を全力をあげて闘っていこうというのが本日の集会の主旨の一つだ。港に働く労働者が港から放り出されようとしている。具体的には、港湾は港湾運送事業法に基づく事業者のみが港で業を営むことができ、港湾労働者のみが港で仕事をすることができる。これを誰でも港で仕事ができるような状況をつくり出そうというのが規制緩和だ」と。また、「規制緩和が進められると、アメリカでの現状を見ても分かる通り、労働者の賃金・労働条件が下がっていくのは明らかである。世界の『大競争』の中で日本も競争に勝たなければならないと、日本の政府は規制緩和を強行しようとしているが、この規制緩和や労働者に対する福祉の制限に対して、港湾労働者は世界的にストライキで闘っている。イギリスの港湾労働者は規制緩和に反対して一年有余にわたって闘っている。これらを国際連帯の力で跳ね返そうというのが、本日の集会のもう一つの主旨だ」と述べ、国際連帯を強調した。さらに、「韓国の労働者も労働法規の大改悪に反対して、年末から韓国史上始まって以来の大規模なストライキで闘っている。全国港湾に結集する皆さんと共に、港湾産別の運動の前進、さらに日本の労働運動の前進へと高めていこう。規制緩和に反対する運動と国際連帯を皆さんに強く訴えたい。共に頑張ろう」と決意を示した。

 続いて、友誼団体である港湾同盟の新谷委員長は、「規制緩和が進められると、事業法の形骸化、港湾労働法の廃止問題にも及ぶ。われわれ産別の協定そのものがなくなってしまう可能性が出てきた。港運同盟も大港労協の皆さんと共に闘わねばという気概を持っている。港は一つになるという観点から共に闘うことをお伝えして、国際連帯と規制緩和反対の今日の決起集会を成功させたい。共に頑張ろう」と連帯のあいさつを行った。

 海員組合の池田氏は、「本日は世界中の組合が自発的に日にちを一にして闘っている。われわれ海員組合も、これからますます皆さんと手を合わせて、船員、港湾一緒になった闘いを進めていきたい」とあいさつした。

 集会に参加している在日イギリス人労働者(ゼネラルユニオン)の紹介のあと、全港湾、全倉運輸、大港労組、検定労連、検数労連、全日通など加盟各単産の代表がそれぞれ、規制緩和をぜがひでも阻止していくとの決意表明を行った。集会は、「港湾運送事業の規制緩和に反対する決議」を採択し、団結ガンバローで閉会した。

 集会後、大港労協の幹事団は近畿運輸局に対して、規制緩和反対の申し入れ行動に取り組んだ。

 全国港湾は二月十四日、全国動員で政府に対する中央行動を予定している。


港湾運送事業の規制緩和に反対する決議(抜粋)

●運輸省は、港湾運送事業法の法意をゆがめ、物流・全事業分野に対する需給調整規制を廃止する方針を発表した。これによって、同法で新規参入規制となっている免許基準の需給要件が廃止される。

●需給調整規制の廃止は、公的な港湾運送事業への新規参入の自由化であり、港湾運送はコスト削減を至上とする競争原理によって、今以上に過当競争が激化し、荷主・メーカーによる自家荷役と下請作業化が起こり、既存事業者と港湾労働者の職域の排除、労働条件の低下と雇用破棄が進むことは燎原の火のごとしである。その結果、日本の港湾機能の低下と労働災害の多発、危険物荷役に対する事故増大を招き、日本の港湾の国際信用を失墜させるとともにわが国経済の貿易・移出入活動に重大な影響を及ぼすことは明らかである。


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