970205


97春闘

中小労組が「元気派」宣言

中央討論集会で決意固める


 九七春闘の「中小労組中央討論集会」(主催・連合)が一月三十一日、東京で開かれた。

 最初に、服部光朗・中小共闘センター代表(ゼンキン連合会長)が「中小共闘センターの闘いの進め方」について方針を提起した。

服部代表は「この二年間、日本は政治も経済も閉塞感があるが、労働運動も閉塞感がある。春闘、労働組合への期待感が薄れている。この状態を打開しなければならない」と、まず労働運動の現状に危機感を表した。

 「ここ数年の春闘を総括すると、ともすると経営者団体からの先制攻撃に抗しえなかった。どちらかというと守りの闘いだったのではないか。したがって今年は攻めの闘いに転じたい。攻めに徹しようではないか。

 しかも連合の運動、春闘は、未組織の労働者も含め社会的な責任を持ったものである。未組織での賃金に最も反映する世間相場は、最低賃金制度だ。そんな意味で春闘の『三月末決着』の意味は、未組織含めた最賃の改定と連動する。

 そこで中小は二月二十一日までに要求を提出し、どんなに遅くとも全てが二月中に提出すること。特に前段交渉の重視が必要で、集中回答日により良い回答を出すためには、その前段における闘いは大事である。これなくして格差是正などありえない。

 センターへの参加は、一昨年二十六、昨年二十八、今年は三十と増加している。構成単産の取り組みや期待感は、徐々に高まってきている。地方のブロック集会などやっても、年毎に地域の連合運動が高まっている。構成組合の意識の違いがだんだんなくなってきている。中小センターの取り組みが連合の中心的な運動になるという理解が高まってきていると思う」と、「攻め」の春闘と取り組み方、中小センターの前進について意気高く述べた。

 続いて、同センター傘下の三単産から、中小企業を取り巻く課題について報告がなされた。「中小企業の空洞化問題」(全国一般)では、空洞化のいくつかの事例が紹介され、同意約款(やっかん)などによる雇用確保の必要性が強調された。金属機械の代表は、「下請け単価問題」の実態について四百五十社のアンケート調査を集計中であり、親企業による不公正取り引きの是正に向けた方向模索を報告した。「熟練・技能問題」については、ゼンキン連合から技能伝承の危機と組合の取り組みについて報告がなされた。

 特別報告として、松井センター委員(全国一般委員長)からは「週四十時間労働制完全実施をめぐる闘い」について、中央労働基準審議会などでの経営側との激しい議論などの実情が述べられた。

 集会は最後に、次のような「中小労組の『元気派』宣言」(要旨)を採択して、参加者は春闘勝利の決意を固め合った――「私たちは格差是正の取り組みの強化と週四十時間労働制の完全実施、『雇用創出』・『景気回復』の実現を最重点の課題として確認し、取り組みの強化を進めている。労働条件に関する社会的規制の撤廃・緩和の流れが強まっている。しかし、中小企業で働く者の賃金、労働時間、退職金、職場環境、福利厚生、住宅など労働条件、労働福祉面の格差は縮小されず、大きな社会的不公正が依然として存在している。規制の緩和が大手と中小の格差や社会的不公正の拡大とならないよう共に闘わなければならない。格差是正の闘いは、大手と中小が連携を密にして前進しようではありませんか」。

 討論集会の後、「『元気派宣言』の集い」が開かれ、芦田甚之助・連合会長あいさつや民間大手、官公労代表の激励あいさつが行われた。


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