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労働新聞 2018年2月15日号・4面 労働運動

卑劣な組合攻撃への反撃誓う

 関西を中心に闘う労働組合に対する攻撃が相次いでいる。エム・ケイ運輸(奈良・大和郡山市)では、全日本建設運輸連帯労組が組織する分会に対する攻撃が激化、分会長が襲撃される事件が起きた。また、この事件について昨年十二月発売の「週刊文春」は組合の闘いをねじ曲げるとともに、事件の調査に入った福島みずほ参議院議員を誹謗・中傷する報道を行った。軌を一にするように、連帯労組関生支部などが中小企業の団結のため協力してつくった大阪広域生コン協同組合の一部執行部は、関生支部の闘いに対して「威力業務妨害・組織犯罪撲滅本部」なるものを設置、対策費として十億円も計上、警察や検察などの権力と一体となった攻撃を宣言した。同協組はこれに飽きたらず、外国人排斥などを叫ぶ排外主義グループとの結託を公言、今年一月二十二日には官許の下、このグループが関生支部の事務所を襲撃した。これら一連の攻撃は関西を中心に業界団体をまとめ上げ、労働者の権利を次々と獲得してきた関生支部の前進を恐れた安倍政権・権力一体のものであることは疑いの余地はない。労働運動に対する一切の弾圧を許すな。こうしたなか、二月九日、東京で「卑劣な組合攻撃を許さない緊急報告集会」が行われた。


当該から闘いの決意
一部労組の裏切り許すな
 集会には二百人を超える人びとがつめかけ、当初予定していた会場からよりスペースの広い会場に場所を移して行われた。
 まず主催者あいさつに立った菊池進・全日建連帯労組委員長は「『文春』の報道は会社のさまざまな違法行為や、昨年十一月の分会長への襲撃事件に対して一切触れずに組合員の闘争に対する一部の出来事だけを切り取り、新たな事件をでっち上げようとするものだ」と述べ、闘争に敵対する動きを厳しく批判した。
 続けて、「大阪生コン協組の一部執行部が昨年十二月の輸送ゼネストを『威力業務妨害』と誹謗・中傷し、十億円ものお金をつぎ込んで『対策本部』を設置した。そして、人種差別・排外主義の団体を雇い、私たち組合への妨害を続けている」と関生支部への攻撃の状況を報告した。その上で「中小企業と労働組合との大同団結、産業の民主化政策など破壊する行為、労働組合つぶしに対し、満身の怒りをもって闘う決意だ」と力強く訴えた。
 次に「エム・ケイ闘争運輸事件」についての動画が会場に映し出された。
 この動画では暴行を受け、いまだに後遺症に悩む分会長が事件を告発。また、長距離運送の勤務で労働者が帰宅できるのは週三日程度という長時間労働がまかり通っている職場であることを示し、労働者の危機感と怒りが爆発、労組が結成されたことなどが紹介された。また、組合員に対する配車差別、「会社顧問」を名乗る元暴力団員による脅迫が行われ、運転手の過労死事件を起こすなど実態は何も変わらないことなどを次々と暴露した。
 この動画を受け、全日建近畿地区トラック支部の代表が発言に立ち、「仲間がこういう目に遭ったことに本当に悔しい思いだ。約一年間、ストを打ち抜いてきたが、会社側の現状もまだまったく直っていない。われわれは怒りをもって闘っている」と訴えた。
 続いて当該二人の当該分会員からそれぞれ、「(事件を受けて)奥さんが『これがウチの人でよかった。他の組合の方でなくてよかった』と言ったその言葉を今でも思い出す。その言葉を聞いたときの悔しさ、そして会社に対する怒りの涙を止めることはできない」「これからも誰一人欠けることなく一日でも早く、皆さんにいい報告ができるようがんばる」と闘いへの思いと決意が訴えられた。
 次に全日建関西地区生コン支部からの報告に移った。
 「この間、労働組合と多くの中小零細企業と協力して生コン産業の民主化、健全化ということを行ってきた。その結果、百六十四社もの生コン工場を網羅する日本最大の協同組合となった。市場占有率についても関西では一〇〇%。やっと長年の悲願である産業別労働条件、賃金を享受できるところまできた」「発注するゼネコン、その原材料を供給するセメント会社、どちらも独占大資本だ。その狭間にあるのがわれわれが働いている生コン会社、セメント輸送会社。中小零細業者が労働組合としっかり団結することによって、ゼネコン、セメント会社に対する要求を達成することで、労働者の賃金・労働条件を向上することができる」とこれまでの業界再建・民主化闘争の成果を強調した。続けて、「しかし、今の大阪広域協組は一部の執行部が利益誘導型の運営を行っている。彼らにとって、労働組合は非常に邪魔な存在、分断させようと画策してきた」と指摘、この結果、共産党系の建交労などの一部労組がこの分断工作に乗り、この間つくられてきた生コン産業関連労組の共闘体制が崩されていることに対し、「業界再建の要である輸送運賃の値上げを履行させる取り組みから敵前逃亡を図った。これは、全国の労働者に対する裏切り行為だ」と糾弾した。そして、「大阪で今、何が起こっているのか観てほしい」と述べ、排外主義グループと結託する広域生コン協組の様子が動画で上映された。
 そのなかでは、排外主義グループが罵詈雑言を叫びながら、組合事務所を襲撃する様子などが映し出され、集会参加者は怒りをもって、この動画に見入った。 

相次ぐ連帯アピール
でっち上げ弾圧許すな
 一連の闘争報告の後、各界からの連帯あいさつ・発言が行われた。
 藤本泰成・平和フォーラム共同代表は「日本の貧困と格差拡大のなかで、社会に分断が持ち込まれている」とし、安倍政権を強く批判、「分断しながら支配するのが安倍政権のやり方だ」とし、闘争支援、安倍政権打倒の闘いを強めていく決意を述べた。
 ジャーナリストの安田浩一氏は「協同組合は本来、互助の精神で中小企業と労働者を守るという理念に基づくのが本来の姿」と前置きした上で、取材活動を通じて実際には名ばかりの協同組合が数多く存在することを紹介、とりわけ外国人実習生を資本の道具としてただ消費させるような実態に多くの協同組合が深く関わっていることを明らかにした。そして、「最大に許せないのはネオナチを使っていることだ」と厳しく指摘、背景資本の企業コンプライアンス(法令順守)の問題を提起した。また、沖縄における反基地闘争に対するデマ攻撃にも触れ、「外国人、障がい者、性的マイノリティなどへの差別は地続き。差別が人を殺すということは関東大震災における朝鮮人虐殺、ナチスの行為でも明らかだ」と力を込めた。
 元日本労働弁護団会長の宮里邦雄氏は新たな刑事弾圧の可能性を指摘した。
 「文春」報道で攻撃を受けた福島みずほ参議院議員は反対勢力を弾圧する安倍政権の姿勢を批判した。
 松本耕三・全港湾委員長は「労働組合の課題というのは、一つの会社、事業所だけでは問題は解決しない。産業、業種をまとめることで、要求を実現しないといけない」と産別闘争の意義を強調、「業界が独占資本に対してキチンと対等になれるようになった環境を、協組の権力をさん奪して組合弾圧に向かう。こんなことされたら、労働組合の基本、産別運動が揺らいでしまう。絶対に許してはならない。皆さんと力を合わせて、全力で跳ね返していきたい」と訴えた。
 鈴木剛・全国ユニオン会長も「断固として連帯する。こんな差別と分断に打ち勝っていこう」と訴えた上で、「(攻撃に)萎縮しない。そして、広範な連帯をつくろうと呼びかけた。
 また、平賀雄次郎・全国一般全国協委員長、金澤壽・全労協議長からも連帯あいさつが行われた。
 閉会あいさつを行った小谷野毅・全日建書記長は「(一連の攻撃の)背景にうごめいているのは警察権力だ。早晩事件をでっち上げるだろう」と新たな弾圧への警鐘を鳴らすとともに、関生支部発足以来の数々の弾圧事件に触れながら、「いっしょに闘ってほしい」と呼びかけた。



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