福岡　自治労、県職労など　麻生県政による　医療行政の放棄許さず、県庁包囲

労働新聞　2002年９月25日号労働運動

福岡　

自治労、県職労など
麻生県政による　
医療行政の放棄許さず、県庁包囲

自治労中央、
「全国的課題」と位置づけ支援
高まる決意と連帯示す

県庁包囲し、怒りのシュプレヒコール（９月１８日、福岡市）

怒りの声で包囲された県庁
九州はじめ全国から支援

　９月１８日、福岡県庁は秋晴れの空に突き出された赤旗と「県立病院を廃止するな」の怒りのシュプレヒコールに包囲された。
　この日、自治労福岡県本部、県職労、県立病院の存続を求める会が主催する「県民医療の切り捨てに反対し、県立５病院の存続と公的医療の確立を求める総決起集会」が開催された。午前、県行政改革審議会が発表した最終答申は県立５病院（遠賀、嘉穂、太宰府、朝倉、柳川）について、「大宰府病院は公設民営、他の４病院は民間委譲」というもの。昼のニュースでそれを知った県職労各支部の組合員は、怒りに満ちて１時間前から会場の東公園に終結。県内の自治労各支部も続々と集まり、県教組、高教組など地公労の仲間も駆けつける。大分、佐賀をはじめ自治労九州地連の各県本部、県職共闘の仲間もバスで駆けつけ、2300人を超える労働者、市民が参加する集会となった。
　主催者を代表して定宗自治労福岡県本部委員長があいさつ。続いて激励に駆けつけた自治労中央本部、自治労協力議員団、県議会県政クラブ議員団が来賓あいさつ。いずれも最終答申を「コスト偏重論」で貫かれ、「地域医療に対する公的責任を放棄するもの」と批判、「県立病院の存続と公的医療の確立をめざす」闘いを断固支持して闘うと決意を述べた。

がんばれ！　
病院職場、県職労、自治労の仲間たち
麻生知事は
これ以上県民に犠牲を押しつけるな

日本労働党福岡県委員会

全国の仲間と県民が注目している
　皆さんの闘いは、いま、全国の仲間と県民の注目を集めています。１つに、麻生県政の「県立病院の実質的全廃」は、身分を保障されている公務員の「生首飛ばし」という全国に類のない暴挙です。この攻撃は、小泉政権が進める公務員制度改革の狙い��労働基本権は棚上げにしたまま市場原理を導入し、身分保障もなくし、人員を削減、賃下げをして「安上がりの小さな政府」をつくる��を先取りする悪らつな攻撃にほかなりません。
　皆さんの闘いは、その意味で全国の公務員労働者の権利を守る最前線の闘いとして注目されています。
　もう一つは、「財政再建」の名の下に麻生県政が進めている県民生活の危機に追い打ちをかける悪政を転換する闘いとしても最前線に位置する闘いです。
　いま、失業者は１８万人にのぼり全国ワースト４位、未来を担う高校新卒者に職はなく、倒産�廃業が相次ぎ、県民の生活は戦後最大の危機にひんしています。
　しかし、麻生県政は新福岡空港などのムダな大型プロジェクトにだけは惜しみなく県財政を注ぎ込み、県民生活の危機には何の手も打たないばかりか、県立高校をつぶし、県立病院をつぶすなど県民生活の危機に追い打ちをかける県政運営を行っています。ですから、皆さんの闘いは、ひとり自分たちの身分を守る闘いにとどまらず、こうした悪政を改め、県民の生活と福祉を守る大義のある闘いなのです。
　労働党は、皆さんが皆さんの闘いが持つ大きな意味を職場で討議し、確信をもって闘われるよう期待します。

闘いを堅持すれば勝利できる
　麻生県政の攻撃をなんとしても打ち破らなければなりません。
　その力の源泉は、第１に皆さんの職場を基礎にした団結と闘う力です。これを強めるのに全力をあげましょう。大衆行動抜きに、どんな交渉も成功しません。
　第２の力の源泉は、新福岡空港建設反対の闘い、外形標準課税に反対する中小業者の闘い、有明漁民の闘いなど県民の中に広がっている麻生県政に対する闘いです。
　「県立病院の存続」について県民の理解を広げるだけでなく、県民の中に大胆に入り県民の闘いと連携を強め、麻生県政を包囲する戦線を築くことができるかどうかです。
　道にかなえば助け多し。情勢は決して不利ではありません。
　勝利するまでがんばりましょう！

　自治労中央本部を代表してあいさつした岡部副委員長は、「福岡での県立病院全廃と800人の『生首飛ばし』は、国の『公務員制度改革』の先取り的攻撃であり、全国の自治体労働者、自治労に対する重大な挑戦だ」と批判、自治労中央本部として８月の山口大会後、最初の中央執行委員会で「全国的課題」として支援することを決定したと報告。それを裏付けるかのように、宮城、岩手、石川、広島など全国の自治労各県本部から檄電・檄布が病院職場の仲間に手渡される。とりわけ、九州地連の自治労の仲間は、沖縄からの９名の代表を含め全県から激励に駆けつけ、九地連代表・出口鹿児島県本部委員長があいさつ、最後まで行動を共にした。
　当該の病院職場を抱える県職労を代表して砂川委員長が「情勢と今後の取り組み」について報告、「はじめから移譲ありき」の県の姿勢を批判し、組織の総力をあげ断固として闘い抜く決意を表明して、支援を訴えた。

県民無視の県政を厳しく批判
県民の命守るため闘う

　この闘いは、単に県職員の身分と労働条件を守る闘いではない。県民の命を守る闘いだ。県立嘉穂病院の存続を求める会の代表は連帯のあいさつに立ち、「県立病院の存続は、地域住民にとって健康と命を守れるかどうかの重大事だ。自分たちは病院内でも『いつでも、誰でも、公平に』受けられる医療をと患者同士で語り合ってきた。そうした思いで存続を求める署名を集め、２４万5000余人県民の請願を６月県議会に行った。自分たちの住む市町村長も議会も存続を求めている。なのに、審議会答申はこれを踏みにじった」と激しく非難、最後まで共に闘うと決意を表明した。
　闘う決意が１つになるなか、集会決議が採択され、代表団によって副知事に届けられた。他方、参加者は怒りの県庁包囲デモに繰り出す。「県民医療の切り捨て反対」「県民無視の県立病院の廃止反対」「職員の身分と労働条件を守れ」のシュプレヒコールがとどろいた。
　今回の総決起集会は、行革審の最終答申を受け、９月県議会を前に開催された。６月県議会を前に1000人が決起したのに続くもので、２倍を超える参加者数と県庁包囲デモは、県職労をはじめとする組合の闘う決意の高まりと県内外への連帯の広がりを示すものとなった。
　なお、労働党福岡県委員会は、集会参加者にビラ（別掲）を配布し、激励した。