20020825

米空母の入港・母港化に抗議
労働者が闘いの先頭に


 安保破棄・米軍基地撤去など国の進路をめぐる闘いに労働組合の果たすべき役割は重要だ。先の有事法制反対の闘いでも多くの労働組合が中心となって集会やデモを組織した。米国によるイラク攻撃が取りざたされ、いっそう米国への追従を進めるわが国小泉政権を打ち破る闘いが強く求められている。この間、米軍基地を抱えている神奈川・横須賀、長崎・佐世保では地区労と傘下の労働組合によって闘いが取り組まれた。横須賀では8月12日に米空母母港化反対集会が、佐世保においては16日に米空母リンカーンの入港反対闘争が取り組まれた。闘いの様子や今後の取り組みなどについて谷村和親・佐世保地区労事務局長、矢納直彦・横須賀地区労議長に聞いた。


闘って組合員に自信がついた
佐世保地区労 谷村和親事務局長

 入港当日は、抗議の横断幕を掲げた17隻の漁船でリンカーンに肉迫して、シュプレヒコールをあげ、抗議行動を行った。
 また、陸上でも入港してくるのを待ちかまえて、約200人で抗議集会をやった。この日は座り込み行動も取り組み、翌日には全国集会を行った。全国集会には2000人が参加した。座り込みもやりながら、出航の日は「2度と来るな追い出し集会」を150人規模で行った。
 全国集会では、全九州から労働者が集まり、特別報告では北海道、横須賀、沖縄の米軍基地を抱える各地域から代表が参加し、それぞれ闘いの報告があった。
 また、市民に訴える活動も行い、繁華街に「入港反対」の立て看板を立てたり、街頭宣伝やチラシ配布も1週間かけて行った。

米国の覇権主義示す今回の入港
 今回の入港は、8月の原水禁大会が終わったばかりだった。6日の広島、9日の長崎、15日には敗戦記念集会を取り組んだ。まさに8月というのは、私たちの平和への思いが強い時期だ。そういう時期の入港に対しては許せない。
 こういう時期に入港してくるところに米国の覇権主義、1国主義を固持するという姿勢が見られる。また、今回の入港は日本政府に対する圧力というか、メッセージだ。アフガンから今度はイラクに向かう、それを印象づけ、日本政府に対して「自衛隊の支援を」というのがその狙いだ。
 佐世保は、50年に平和宣言を行った。ところが、この年に朝鮮戦争が始まって、やはり佐世保が前線基地になった。
 有事法制がつくられ、いざ戦争という事態になれば、ここも戦場になりかねない。こうしたことを許さないためにも有事法制には絶対に反対しなければならない。
 昨年の同時テロ、そして米軍によるアフガン攻撃という事態を受けて、11月には自衛隊艦船3隻が佐世保から出航している。まさに佐世保は米軍と自衛隊の出撃基地になっている。こうしたことと平行して、原潜が入港しても公表もしないなどの情報遮断も行われている。有事になった時にということではなく、平時の時から情報の国家統制がやられている。
 いま、全国的に地区労がなくなっているが、今回、佐世保地区労では、過去最高の17隻の船を出して抗議行動をしたことは、皆の自信になった。有事法制問題では秋の国会が正念場となるが、この自信を基礎にして闘っていきたい。


来年母港化30周年  反基地闘争の新たな構築を
横須賀地区労 矢納直彦議長

 今回の集会は73年に空母ミッドウェーが横須賀を母港化して以来毎年開催している。この30年の間にミッドウェー、インディペンデンス、キティホークの空母3隻の母港化が強行されている。2008年には米海軍は保有する通常型の空母から、すべて原子力空母へ移行する計画をもっている。
 ここでもう1度この30年の闘いなどを総括しながら、原子力空母の母港化に対して反対の隊列を今一度しっかり構築していく必要性について集会で確認した。
 また、昨年の同時テロと米軍のアフガン攻撃以降、テロ特措法の強行成立、自衛隊の海外派兵問題や有事法制の動きが示しているように、日本の米国への追随と軍事大国化、安保体制強化がこの1年間で相当進んできた。有事法制は先の国会で成立せず継続審議となっているが、完全に廃案に追い込まなければならない。
 今後の闘いとしては、今秋の国会に向けて、小さい単位でも何でも、反対の声をあげていく。各種集会とか、学習会もどんどん設定していかなければならないと思う。かつては、地区労に対して、加盟する単産から、「どういう運動をやるんだ」という問題提起がかなり出され、そういう中で横須賀の運動がつくられた経過がある。
有事法制問題ではこれまで地区労が主体的に2、300人の学習会レベルの集会をやってきた。
 どれだけの集会が持てるかはあるにしても、情勢も見ながら、山場に向けて一定の集会なりデモなりを設定しなければと思っている。
 有事法制反対の運動は、戦後労働運動の存在意義が問われるものだ、という声も組合員の中に多くある。こうした組合員の問題意識と、地区労組織の今後も考えながら効果的な闘いを設定したい。
 ミッドウェー入港以来の30年間の闘いについては、県の平和運動センターも含めて改めて総括を行いたい。  そうした総括を21世紀に入っての新たな基地撤去の運動をどう構築していくかするかというところにきちっとフィードバックして、新しい運動をきちっとやろうじゃないかと意思統一している。