20020725

私鉄総連 組合員基礎に運動進める
ナショナルセンター 総がかりで春闘再構築を

設楽 利夫 書記長に聞く


 私鉄総連(山野俊次委員長、14万5000人)は7月10日から3日間、定期大会を開催、2002春闘や有事法制反対の取り組みなどで活発な討論が行われた。また連合に対し、来春闘での賃金の統一要求基準の設定を求めることなどを盛り込んだ2002年度運動方針を採択した。設楽利夫・書記長に聞いた。

公共交通担うにふさわしい賃金を
 2002春闘の特徴は、経営側が本格的な賃下げ攻撃をかけてきたことだ。
 大手、中小問わず、私鉄各社とも米国標準の時価会計・連結決算への移行が春闘に響いた。それに2月に乗合バスの規制緩和が加わり、特に中小バス会社では経営に対する先行き不安が強調された。
 私鉄は、「1人平均ベア方式」である。この要求の趣旨は、私鉄は定昇がないので、少なくとも経営側の責任として、定昇相当分は確保せよ、ということだ。具体的には定昇相当分を率(2.2%)、ベア額は1500円を産別統一要求として掲げた。
 全体としては、輸送人員の減少や連結決算による各社の業績差が際だった結果となった。また、私鉄に先立つJC各産別、自動車や造船がそろってベアゼロだったことも影響した。
 私鉄各社とも経営が厳しいことは事実であるが、やはり公共交通を担っている労働者にふさわしい賃金水準が必要だ。早朝・深夜勤務もあり、厳しい労働条件の中で、公共交通を担っている。少なくとも地場の平均的な賃金は確保する必要がある。安全運行責任もあり、地方の鉄道・バスへの国も含めた補助のいっそうの拡充が必要になってくる。

組合員のエネルギーに依拠した取り組みを
 2002春闘は、確かに厳しい結果ではあったが、それだけに、労働組合の側も総がかりで春闘の再構築をめざさねばならない。
 毎年、春闘や賃金闘争、労働条件のところはキチッと闘うことが大事だ。こうした闘いがなければ、労働組合そのものが弱くなってしまうし、1人ひとりの労働者が鍛えられない。
 毎年、私鉄総連では青年女性集会や、うたごえ、沖縄交流などの組織活動を活発に行っている。平和闘争も一生懸命闘う。そういう気風が私鉄総連の長い歴史の中で養われている。今後も組合員のエネルギーを、総連をはじめ地連、単組の方針や運動にいっそう反映させるような取り組みが必要だ。いざストライキという時に、組織の力が大きく問われる。
 組合活動の基礎として、地連、単組が組織拡大や宣伝・学習活動など多くの課題について、しっかりそれぞれが取り組む必要がある。方針を立てて皆がその理解に立って、運動を進める。
 私鉄総連は、これまで困難な時であっても企業や業種の枠を超えて、統一した運動を進めてきた。こうした中で1人ひとりの組合員にウエイトを置いた運動をして連帯感を強めてきた。大きな組合であれ小さな組合であれそれは同じであり、組合員1人ひとりが持っている力を低下させないことがこれからも肝心だ。
 「小さな団結」というか、1人ひとりを大切にした団結づくりが求められている。 ナショナルセンター全体で統一的な要求基準設定を  ここ数年、地方の中小組合を中心に「賃上げ要求して、結果は賃下げ」の構図が強まっている。また取引銀行との関係で要求書の提出そのものも断念せざるを得ない状況もある。こうした環境に置かれている組合員からは「自分たちも産別統一闘争に参加できる幅広い要求を検討してほしい」との要望が数多く出ている。
 今回、大会で連合に来春闘でも賃金の統一要求基準の設定を求めたが、それは連合にいっそう役割を果たして欲しいという応援の意味だ。それがないと、連合自体が役割を果たせなくなってしまう。連合が旗を立てて、一丸となって春闘に取り組むということを求めている。
 年功序列型賃金の見直しが進む中、社会的な相場水準が形成されなければ、春闘での労使交渉の意味合いがなくなってしまう。
 全体の闘いを組織する上でも、ナショナルセンターとして統一的な要求基準の設定は欠かせない。