20020715

自治労島根 県内各自治体へ要請行動
自転車で有事法制反対訴える

吉田 智幸・副委員長 に聞く


 自治労島根県本部(近藤勝委員長)は7月1日から3日間かけて自転車キャラバンで、県内を駆けめぐり、各自治体に対して有事法制関連法案の廃案を求める意見書提出を求めた。全行程に参加した吉田智幸・自治労島根県本部副委員長に聞いた。


 有事法制関連法案が国会に上程されたときに、県本部として、5月に機関会議を開いて、まず組合員に「有事法制に反対です」とのハガキ行動を各単組に要請することを決めた。この議論の中で、「組合員の意識を高めることも必要だけれども、やはり自治体住民にも有事法制のもつ問題点を強く訴えなければいけないのでは」という意見が各単組から出た。こうした声も受けて、県本部としても自治体の住民に訴える行動をしなければいけない、という結論になった。そして「何ができるか」と議論した中で、「これまでのような街頭宣伝をやるだけではあまりインパクトがないのでは」ということで自転車をこいでキャラバン隊で県内自治体首長に対して住民の生命と安全、財産を守る立場から首長に有事法制の廃案を求める意見書の提出をお願いすることとなった。有事法制関連法案について、「首長としてどう考えているか」と問い、「反対」だという意思表明をしてもらおうと取り組んだ。
 国会の会期は延長された中で、早めに取り組もうと、7月1日から3日間かけて回った。各単組についても役場の周り2〜3キロをいっしょに回って街頭宣伝してもらった。
 「有事法制反対」「戦争を許すな」と書いたゼッケンを身につけ訴えた。県内全部で60単組あって山間部など行けないところについてはそれぞれ各単組が県本部委員長と単組委員長の連名で意見書を出した。
 島根県は朝鮮半島とも近く、空港が3つ(隠岐、出雲、石見)あって、有事となれば即座に米軍・自衛隊の基地として使われることは明白だ。周辺住民が戦争に巻き込まれるおそれが十分ある。
 自治体の中では「廃案を」とまでいかないが「慎重審議を」と議会で議決したところがいくつかある。全国市長会などがすでに「慎重審議」を要請する決議をあげているといっていることも追い風になっている。有事関連法案の中身が自治体首長の権限を侵す危険性があることも各首長にとっては心配なのではないか。
 私たちとしては「慎重審議を」でなくハッキリ「反対」ということを強く訴えている。有事法制の問題は平和憲法にも著しく抵触し、基本的人権にもかかわりがあることだ。「平和なくして労働運動はない」という強い意志と願いを込めて取り組んだ。
 実際、自転車で回って感じたことだが、地方なので高齢化も進んでおり、戦争を体験した人も多いということで「ご苦労様です」「がんばってください」との声援も受けた。ただ今後の運動を考えるとき、若い世代にどれだけこの問題を訴えて浸透させることができるのかがカギになると思う。今後も平和フォーラムや他団体・組織などと連携しながら運動を継続させていきたい。