20020525

米軍横田基地

昨年来、強まる労働強化
抗議行動を準備

河津 勝則・全駐労東京地区本部委員長 に聞く


 米軍当局は、横田基地(東京都福生市)に勤務する日本人労働者に対して昨年夏から突然、深夜に洗車を命じられたり勤務時間帯に一方的な変更などを行っている。全駐留軍労働組合(全駐労)東京地区本部は、防衛施設庁を通じて、改善を要求しているが、今のところ改善の兆しは見えない。全駐労では座り込みなど抗議行動も考えている。河津勝則・全駐労東京地区本部中央執行委員長に話を聞いた。


 問題となっている職場は、司令官や客人などを運ぶモータープール車両運行課だ。24時間対応で、日本人、米国人がそれぞれ約50人という職場だ。昨年までは大体勤務の中心は昼間だった。
 ことの発端は去年11月に、3つある勤務時間帯のうち朝7時半出勤だったのを、6時出勤にすると言い出した。それに対して現場では「とんでもない」という話になった。結局強行され、その結果玉突きになって、午後2時出勤11時半までが12時までとなった。これまで11時半終わりであれば終電にも間に合ったのだが。今年2月から逆に今まで日本人がやっていなかった夜勤にも日本人を割り振るようになった。
 これを組合の反対を無視して強行した。しかし、夜中だから実際の仕事はない。とにかく、洗車とワックスがけを朝までやらされる。みんなは身体がクタクタで疲れ果ててしまっている。そこで、組合内部から意見も出て、固定した人だけではなく、こちら側からも人を出そうということになって、3月からはローテンションを組んだ。
 なぜそういうふうにシフトの変更をしなければならないのか。これが去年6月に就任した監督官(米曹長)の思いつきで全部やられているのか、あるいは「この職場はうるさいからいじめてやれ」という思いからなのか。いずれにしてもみんな反発している。例えばちょっと休んでいる労働者に「タバコを吸うな」「とにかく車を磨いていろ」と始終車を磨くことを要求している。とにかく体を休めることができない。昨年六月から約1年にわたってこういう状況が続いている。
 昨年9月の米同時テロ翌日は、課従業員全員に出勤命令が出て、約30台の洗車を命じられた。
 組合ではビラをまいたり、勤務形態をもとに戻せと要求しているが、なかなか返事がこないのが現状だ。
 日米地位協定に基づく雇用契約で、日本人従業員は日本政府が雇用し、米軍側は使用主となっているため、組合としては直接基地側と交渉できない。われわれは防衛施設庁を通じて交渉している形になるが、どの程度防衛施設庁側が、米国に要求を伝えているかは分からない。
 一般の人には私たちの職場の状況はなかなか見えないと思う。監督官は米軍人で、逆らったら「職務命令違反だ」とくる。非組合員で泣く泣く辞めていく人も多い。
 いち早くこういう状況をなくそうと座り込みなど抗議行動も考えている。
 基地と仕事との関係だが、共通認識としてあるのは「基地がいつまであるか分からない」ということだ。安保条約に基づく米軍基地も世界情勢の変化によっては変動せざるをえなくなる。その意味で基地は不安定な職場だ。いつまでもあると思うのはまちがいだと思っている。