20020515

全国一般大村合同支部松下分会の闘い

退職金確保へ闘い抜く


 厳しい経済状況の中、全国各地で中小企業が倒産している。工業用ミシン針を製造していた大村松下(長崎・大村市)も民事再生法適用、破産決定という状況に直面している。その中で、労働債権である退職金の確保を求めて全国一般長崎地本大村合同支部松下分会と支援する全国一般長崎地本は闘いを続けている。この闘いについて佐竹明彦・全国一般長崎地本書記長に聞いた。


全国に例が残る闘いを

全国一般長崎地本 佐竹 明彦書記長

 松下は、大阪本社、松浦松下、大村松下の3社が民事再生法を申請したが、大村松下だけが「自主再建は難しい」と破産の方に切り替わった。そのときに労働債権(主として退職金)の確保が重要な問題となった。現在、大村松下は退職金の1部を銀行に預けているが、その額は全体必要額の「3〜3割5分」でしかなく、残りは会社が支払うことになる。しかし、大村松下は会社に債権と呼べるものがない。とすれば、現行法では労働事業団が会社に代わって「立て替え払い」するしかない。だが、それも全額ではない。
 退職金としては足らないわけだから、その後どうするかの交渉をやってきた。
 民事再生法が2年前にできて、今回のように民事再生から破産という形が私たちにとっても初めてのケースだったので、そこをどう乗り切るか知恵を使った。
 いま、管財人とも交渉しながら、いまある機械がいくらで売れるかということで債権減額の交渉をやりつつ、確保した債権についても退職金に回すよう交渉をやっている。
 とにかく破産というのをずっと隠してやってきたから、行政とも交渉できなかったので、これから行政との交渉を行っていくつもりだ。とくに大村市の企業誘致の第1号という意味からも行政にも強く働きかけたい。とにかく1銭も労働債権が残らないような形にしないためがんばっていきたい。
 民事再生から闘うというのが初めてのケースで、全国に例が残るような闘いをやりたいと思っている。
 とにかく幾度も団体交渉を迫りながら、大村地区労の中で地域共闘という形でも取り組んでいる。

闘いの経過
●1978年6月 従業員48人中47人で組合結成。2年後、職制含む25人が脱退。第二組合結成。
●1982〜87年 組合差別、団交拒否などで行政訴訟など紛争激化。87年5月和解成立
●1994年6月 再び労使紛争。1年余りの紛争は、全国一般地本・大村地区労などの支援で地労委の場で和解成立
●1999年2〜9月 希望退職などの合理化攻撃
●2001年11月 大阪本社、九州松下、大村松下の3社、民事再生法適用を大阪地裁に申し立て。
●2002年1月21日 会社側、大阪地裁での「再建案」提出は「無理」との判断で、長崎地裁大村支部に破産の申し立てを提出。 2月19日 会社側、従業員全員に「3月20日」をもって解雇する、との「解雇予告通知書」を交付。全国一般組合員は、「認められない」として団交席上で付き返す。 3月29日破産決定が下る。