20020415

中小の02春闘

ストライキ突入し闘う


 2002春闘では、中小労組が困難な状況の中、闘いを続けている。そうした中、東陽バス労働組合(組合員数約200人、私鉄総連沖縄準加盟、那覇市)は約40年ぶりに4月7日と11日に24時間ストライキを打った。また金剛バス労働組合(組合員数45人、私鉄総連加盟、大阪・富田林市)も3月27日と4月4日に同じく24時間ストライキで闘った。ストライキは労働者にとって最大の武器であり、両労組の闘いは全国の労働運動にとっても大きな刺激となるものである。東陽バス労組・与那嶺真範書記長と金剛バス労組・辻捷也委員長に聞いた。


沖縄 東陽バス労組
4月7日・11日スト 基本給15%カットに怒り

与那嶺 真範 書記長

 沖縄は全国でも1番賃金が低い。その中でもバス業界はさらに賃金が低い。加えてバス会社の統廃合問題や、昨年のテロ事件の余波による観光客の激減などで厳しい状況にある。
 沖縄で路線と観光両部門もっている会社は4社あって、平均賃金は19万1000円だ。私たちの会社は住宅手当、家族手当はなく、ボーナスの12%カット、今年には退職金1000万円の頭打ち、それ以前には残業給の割増率まで落とされた。その上、基本給を15%カットするというのは許されない。組合員の生活を守るためやむなくストを行った。
 昨年、会社側は労組と月1回労使交渉を行うと協定を結んだ。にもかかわらず、その協定を破り、2月にはとうとう1回も労使交渉に応じなかった。
 そこで3月13、14日にスト権を確立し、16日に今春闘の第一回交渉をもった。われわれとしては(1)待遇の改善、(2)定期昇給の実施、(3)基本給の2.2%のアップ、(4)夏季2カ月、冬季3カ月の一時金支払い、などを求めた。しかし、その後何回も交渉を要求したが、会社側はなかなか応じなかった。
 こうした状態なので、組合として26日には県知事と県地労委に対してスト権確立の報告と確認を行った。その後、会社側は28日に団交に応じ、改めて組合として要求内容の説明を行った。
 だが、会社側は回答をまったく示さず、4月1日には、ボーナスはゼロ、基本給15%カットを打ち出してきた。4日の交渉でもまったく進展がなかった。スト前日の6日も朝から会社と団交を行ったが、会社側は「午後3時で交渉をうち切る」と言い、一方的に引き上げた。
 組合としてはとりあえず(1)会社提案の白紙撤回、(2)20日まで冷却期間をおくことを求めた。これに対し会社側は「白紙撤回する」と言いつつ「白紙撤回はするが、20日過ぎれば同様の提案を行う」と言ってきた。これはただの時間かせぎだ。これで話がまた決裂した。
 県民に影響が少ない日曜日の7日、ストライキに入った。スト当日も、交渉の進展しだいでは午後からバスを動かすつもりだったが、社長にまったく連絡がつかず終日ストとなった。翌8日にも文書で交渉を申し入れ、9日に団交を行った。
 しかし、その席上でも会社側は態度をまったく変えず、10日も団交を行ったが、観光バスの振り替えを理由に交渉時間を制限してきた。
 こうしたかたくなな会社側の姿勢に対し地労委にあっせんを申し出た。今までの経緯からみて会社側は、ズルズル先延ばしをして組合をつぶすことを狙っている。団交の席で会社側は「本当は基本給を15%どころか20%カットしたい」とも言っている。われわれとしては「去年並みでもよい」と言ったが、それさえも会社側はのまない。ここで一歩でも引いたら組合はバラバラになるわけで、ストに突入した。
 会社は「ストに入れば会社は倒れる」と言うが、このままでは生活はできない。だから最後まで闘おうと思っている。またこういう状況を放置してきた労基署、国の責任も大きい。
 他のバス会社も春闘真っ最中で、今年の場合、個別交渉ではあるが、私鉄沖縄の委員長に相談に乗ってもらったりしている。
 「無茶じゃないか」と言う人もいる。「会社あっての労働者」という雰囲気もあるがそれは違う。われわれがいて始めて会社が動くのだ。


大阪・金剛バス労組
賃金体系変更攻撃に抗して  3月27日・4月4日スト 闘う気構えが大事

辻 捷也 委員長

 われわれはこの春闘で、一時金について昨年実績の3.7カ月分を求めたが、会社側と折り合いがつかなかった。そればかりか、変型労働時間の導入と臨時給与の切り下げ、新たな賃金体系の導入まで提案してきた。
 また会社側は「大枠は会社が決める」と言うので、それではいけない、やっぱり労資で決めていくということを主張してストを行った。しかし、いまもって会社側はまったく譲歩する姿勢を示していない。
 やっぱり闘う精神というのは必要だ。だから組合員には「ここががんばり時や、がんばろう」と訴えてきた。
 新しい賃金体系の導入をめぐっては、結局は会社に押し切られた形にはなったが。組合員の団結を考慮し、苦渋の決断をせざるを得なかった。
 こうした賃金体系を導入すれば退職者が多く出るのではないか。組合としては会社の決算書を見せろとも主張している。組合は経営状況の細かいところについては知らされていない。結局、会社側の求めていた新しい賃金体系を導入することになってしまったが、ストをやったからこそ会社側は臨時給与を出すと言ってきた。
 委員長になって4年目だが、就任1年目で24時間ストをやって、昨年も半日ストを闘った。だから「闘う姿勢」を示したことは良かった。結果として「負け」でも、闘って負けるのと闘わずに負けるのは大きく違う。
 闘いの中で地域の組合などから激文をいただいた。これからはいっそう組織の団結が大事だと思っている。

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