20011025

報復戦争、自衛隊の参戦反対
民間機の軍事利用許さない

労組は闘いの先頭に

村中 哲也・日乗連副議長に聞く


 小泉政権が対米追従の自衛隊参戦を狙うテロ関連法案が十月十八日、衆院を通過し、米軍のアフガン侵略戦争と日本の参戦を許さない闘いは正念場を迎えている。民間航空機のパイロットらでつくる日本乗員組合連絡協議会(日乗連)は、この問題で声明発表、政府への申し入れ、国会前座り込みなど闘いを強めている。国民運動の発展にとって労働運動の闘いが重要な意義をもっている。日乗連は二十四日、「国民の安全と命を守る共同行動」に取り組む。村中哲也・日乗連副議長に聞いた。

 われわれの声明では、テロはどんな動機があっても許されないということと、ただしそれに対する報復には賛成しないということを基本にしている。報復は次のテロを招くことになる。また航空機の保安強化を求めた。そして、この事態に乗じた有事法制の研究など絶対反対ということを盛り込んだ。

座り込み・集会に2000人参加

 いま政府が進めている方向は、われわれのような民間航空機の安全にとって、きわめて危険だと思っている。
 パキスタンへの自衛隊機の派遣などは、米国の戦争に対する全面支援は惜しまない、という首相の表明を具体化したものだ。自衛隊が派遣されてその上、民間機が物資や兵士を運べばテロの標的にされるのは明らかだ。
 テロ関連三法案について衆院での審議もわずか十一日間、十六日には採決というやり方は国連平和維持活動(PKO)法の時よりずっと早い。かつて、自衛隊の制服組が「三矢作戦」と称して有事発生、臨時国会召集、冒頭処理、二週間で採決というシナリオを秘密裏につくっていたことを思い出す。
 今回の小泉政権の姿勢に対して不安が増し、反対というのは国民の中でかなりの数になっていると思う。こうした事態に対し私たちは、首相に対して要請を行った。
 また、急きょ、国会前で座り込みをやろうと、呼びかけ、集会とあわせて約二千人が参加した。
 これからは参院段階だが、今後は航空三団体と臨時の合同三役会議を開いて基本的な方針を決めたい。十月二十四日には「いのちを守る共同行動」を行う。そこにも「テロ反対、報復戦争反対、自衛隊参戦反対」のスローガンを掲げている。
 今後、有事法制制定ということになれば、緊急に陸海空・港湾の二十団体の連絡会を動かして、ガイドライン法反対闘争を上回る闘いをやるつもりだ。
 今回の事態の背景には、中東における原油権益確保を狙いとした米国の経済支配のためにひもつき政権をつくり、それに反対する国々を排除するというやりかたがある。これが多くの人びとの反発を買っているということだ。
 小泉政権のように米国に従い、くっついていくというのは民間航空の安全を脅かすということで絶対反対だ。第二次大戦の経験で民間航空機を軍事には利用してはならないという教訓が生まれた。そういう点で、今後も闘いを強めていきたい。

世界が平和でこそ空が安全

 米軍のアフガン攻撃で、職場は非常に緊張している。ハッキリ言っておびえている。「操縦士の武装」ということも議論されているが、われわれは絶対反対だ。凶器が持ち込まれないような、そういう努力の積み重ねがないといけない。こういった事件が起こらないような国際環境をつくることこそが先決だ。
 軍事による武力制裁というのはかならず新たな報復を招く。その標的に民間航空機が狙われることは明白だ。アフガンに米国は攻撃を続けているが、現場の不安を取り除くためにも平和解決を強く求めたい。
 このことを基本にどれだけ労働者が連帯できるかが問われている。国民的要求があるときはその要求の実現で一致して行動する、ということを大事に運動を広げたい。
 また雇用不安が現実の問題になっている。国際線は平均して四割減、米国線は半分を切った。とくに外資系の航空企業は、解雇、一時帰休ということをどんどんやっている。
 私たちは企業の経営を救おうとすれば、経営者自身が政府の武力報復の支持・支援に対して反対の声をあげるべきと考えている。そうでなければ日本の航空機の安全は保てないし乗客である国民の命も守れない。
 そこで、航空関係の経営者団体にも申し入れを計画している。航空産業は平和な環境でなければ発展しない。

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