20010915

韓国 雇用脅かす構造調整

民主労総は実力で反撃


 「日韓投資協定NO! 緊急キャンペーン」は九月八日、公開学習会「新自由主義と闘う韓国労働運動はいま」を東京で開いた。
 最初に主催者が、「韓国では、民主労総を中心とした労働運動に対してかつてないほどの弾圧が行われている。日本でも小泉政権が『聖域なき改革』を叫び、労働者に痛みを強要しようとしている。闘う韓国労働運動から学び、連帯しよう」とあいさつした。
 続いてビデオが上映された。ビデオでは、昨年から続いている大宇自動車労働者の闘いを中心にしたもので、警察によるテロやそれと実力で闘う労働者、その家族のようすなどがリアルに映し出され、見る者に深い共感を与えるものであった。
 続いて「韓国における新自由主義構造調整と労働運動の現状」と題して金元重氏(新潟産業大学教授)が講演を行った。
 金氏は「金大中政権発足直後の九八年、現代自動車整理解雇問題で政府は仲介役に立つなど、これまでの政権とは違った対応をとった。だが、それ以降は一転して、過酷な弾圧を労働者に行っている。これは財閥を中心とした経済界と一部マスコミの『不法ストは鎮圧しろ』という要求に政権が屈したからだ」と指摘した。
 そして韓国で吹き荒れている新自由主義的構造調整について触れ、「アジア通貨危機をきっかけに国際通貨基金(IMF)が韓国に対して財閥や金融の構造調整を求めてきた。それを受け金大中政権は、大企業における人員削減や整理解雇、公共部門の民営化を押し進めてきた。すでに金融部門では約七万人、公共部門の民営化によって十五万人の人員削減が行われた」「『労働市場の柔軟化』と称して派遣勤労制が導入され、非正規雇用の労働者が増大している。また年俸制も一部では導入され、就業の不安定化を生み出している」と述べた。
 続いて、「こうした構造調整に対して、民主労総を中心に闘いが続けられている。今年四月には金大中政権の退陣要求を決議し、六、七月には二度にわたって全国規模のストを行った。これに対し、金大中政権は労組活動家の拘束・指名手配を乱発し、今年に入り百六十四人を拘束している」「経営が破たんした大宇自動車を海外の自動車メーカーに売却する方針を韓国政府が決定し、整理解雇が発表された。労組は職場占拠闘争やストを展開している。戦闘警察が労働者にテロやリンチを加えたが、多くの国民から批判を受け、金大中政権は窮地に追い込まれた」と高揚する韓国労働運動について紹介した。
 わが国の失業率が五%にも達し、労働者を取りまく環境は厳しさ増し、「小泉改革」がそれに拍車をかけようとしている。
 こうした中、同様に犠牲を押しつけられている韓国労働者は大衆的実力行動によって闘っている。わが国でも雇用と生活を守るために、韓国労働運動の経験に学び、連帯することがますます重要になっている。

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