20010915

自治労大会に参加して
現場に依拠した労働組合を

望むのは闘う方針確立

F県代議員


 労働組合の大会が引き続いている中、失業率は五%、経済成長率がマイナスになるなど、労働者の雇用と生活を守る闘いがますます重要になっている。しかも、痛みを伴う「小泉改革」は、公務員に対しても公務員制度改革、市町村合併などによる合理化攻撃をかけている。小泉改革は、多国籍化した大企業が国際的な大競争に生き残るために、犠牲のしわ寄せを労働者、中小商工業者など国民各層に押しつけるというものである。それに反対するには、とりわけ労働組合の闘争が重要である。八月二十八日から三十一日まで、北海道で自治労第七十一回大会が開催された。連合内で最大の組織である自治労の動向は、労働運動にも大きく影響するものであり、自治労は政策提言でなく大衆闘争で闘うことが求められている。大会に参加した代議員の通信と大会での発言を紹介する。

 今回の自治労大会には、単組で活動している者として、現場で苦労しながら闘っている経験に学びたい、運動の方向を巡って活発に論戦すべきだ、と大いに期待して参加した。なぜかと言えば、今年に入って公務員制度改革、市町村合併など自治体労働者にとって、これまでと時期を画する大攻撃がかけられ、現場ではどう闘うか、切実な課題となっているからだ。大会が終われば、小泉改革がいよいよ本格化し、自分たちの職場でもどうすべきか問われる。
 そんな思いで、遠い北海道旭川まで勇んで出かけた。しかし、論議の低調さにはがっかりしたというか、裏切られたというのが率直な感想だ。
 もれ聞くところによると、本部執行部派と社民党支持の十三県本部との間で、参院選総括問題や役員人事を巡って、舞台裏で「妥協」が図られ、そのことが論戦を低調にした要因だという。仮にそうだとしたら、それこそ本末転倒だ。労働組合は一部の幹部役員や党派のものではない。百万余の組合員のものであって、その利害が深刻に問われているときだからこそ、舞台裏などでなく大会の場で堂々と議論を闘わせるべきで、そうしてこそ全体として知恵も出て正しい方針を確立し、団結も深まったはずだ。その点で、はなはだ不満が残る大会であった。
 とはいえ代議員の発言の中には、現場の経験、闘い方について貴重な意見が出ていた。自分の率直な感想も含めて報告してみたい。

反対を明確に、現場のエネルギーに依拠して闘争体制の確立を

 まず、公務員制度改革や市町村合併問題。
 本部提案の運動方針案は、「改革に反対」の立場をとらず、「私たちの側の改革提言の実現をめざす」と、あたかも政府側が「交渉」で譲歩するようになっている。
 これに対して前回ほどでないが、反対を明確にすべきだという意見が相ついだ。「いまこそ反対の立場を明確に闘う方針を提起してほしい」(宮城)、「一週間連日の中央行動を配置し、全単組からの参加による闘争体制の確立を」(山形)など。
 それは当然で、本部提案は公務員制度改革にありもしない幻想を抱いているとしか思えない。そもそも今回の公務員制度改革や市町村合併は、多国籍化した大企業が国際的な大競争に勝ち残るためにコスト削減する必要さから提起されたものである。電機大手の人員削減攻撃と同じように、その成否に大企業の死活がかかっている以上、決して「交渉」で譲歩することなどありえない性格の攻撃だ。
 この攻撃は、自治労の総力を挙げた断固たる闘争、ストライキを含む大衆闘争なしに、うち破ることはできない。本部からは十一月に一万人の中央集会が提起されたが、その程度の取り組みでうち破れるのか。もっと職場の怒りを掘り起こすことを基礎に単組レベル、県レベルでの闘う体制を築いて全国的な統一闘争を展開すべきではないだろうか。
 このことと関連して考えさせられたことがある。榎本委員長はあいさつの中で参院選比例区の朝日票が組合員の五人に一人しか入っていないことにふれ、「『職場に労働組合を』という原点に立ち返って、しっかり自らを点検、検証、反省して組合員と息の通った活動と組織運営を心がけたい」と反省の弁を述べた。
 だが本当に反省するなら、なぜそうなったかを突っ込んで考えるべきだ。私は、九〇年代に入ってからの自治労運動は、年々、執行部による労使協議・「交渉」重視、対案提示の提言型に変質し、現場の組合員のエネルギーを結集して大衆闘争として闘うという労働組合本来の闘い方を後退させてきたからだと思う。 どう見ても電機、自動車などの大企業組合の労使協議制依存、参加型の路線に引っ張られているとしか思えない。幹部請け負いの参加型労働運動が組合員とのかい離を生むのは当然で、そのしっぺ返しが図らずも選挙結果に表れたのではないか。広島の代議員が「自治労二十一世紀宣言」にふれて、「日本型経営参加」ではないかと警告したのには、まったく同感した。
 本部が自らを反省し、「組合員と息の通った」活動をやろうというのなら、提言型、参加型の運動路線を転換し、現場の怒りとエネルギーを結集する闘い方、原点に立ち返るべきではないだろうか。
 本部がそういう方向で闘うなら、全国の組合員の中には力があると思う。大会でも、一年に及ぶ兵庫県三木市の学校給食パート調理員首切り撤回・民間委託反対の闘いが報告され、大きな拍手を浴びた。また、山形県長井市職労のように六%もの賃金カット攻撃に、職場からストライキ、座り込みなどで闘った例もある。要は、指導部が組合員を信じるかどうかである。

民主党支持をやめるべき

 参議院選挙総括も大いに論戦すべきであった。
 今回の民主党の態度には、限りなく不信感を持たざるをえなかったからだ。榎本委員長もさすがに、「小泉改革への政策の対抗軸が終始揺れ動いた」と民主党を批判した。
  だが、「揺れ動いた」というのは、甘すぎるのではないか。今回の選挙の最大の争点は、もっともストレートに多国籍大企業のコスト削減要求にこたえる小泉「構造改革」にどんな態度をとるかであった。この問題で民主党は後半「揺れた」が、最初に示した「改革を競う」というのが民主党の本音のところだ。昨年も「課税最低限の引き下げ」を提起して労働者の不信をかったが、今回の対応は民主党が連合を支持基盤にしながら、多国籍大企業のための政治を支えるもう一つの財界の党であることをはっきりと自己暴露した。失業やリストラに苦しむ労働者の中に民主党不信が広がったのは当然で、それが選挙結果にも現れている。
 だから、もはや「民主党に期待する」というのは欺まんだ。自治体労働者、五千万労働者の利害に忠実なら、「民主党基軸」の政治方針をはずすべきではないか。これは、労働運動の前進にとっても、政治の根本的転換にとっても、避けて通れない課題となったと思う。
 大会論議は活発でなかったが、代議員の発言には敵の攻撃を前に切実に闘いを求める気持ちが込められていた。彼らに学びながら、自分の持ち場で組合員と一体になって闘う体制をつくり、自治労運動全体の前進の一翼をになわねばと強く思った。


本部は各地の声にこたえよ

秋田 組合員間に差別と分断をもたらし、労働組合の団結を破壊する能力主義人事評価制度の導入には反対の立場で臨むことを訴える。
広島 自治労二十一世紀宣言は、犠牲を強いられている労働者の実態把握不足だ。大衆闘争で資本と闘う構えが薄い。要求実現の方向性を、労使協議制を基本とする「日本型経営参加」に求めるのではないか、危ぐしている。労働者の要求実現は、労使対等の原則で団体交渉をはじめ、労働三権の確立、有効行使することではかることだ。
鹿児島 地方分権は税財源が移譲されず、市町村合併も時限立法として具体的実践段階に入ろうとしている。これは地方債務に関し、能力実績主義に基づいた総人件費抑制を基調にしたもので、組織存亡を問われる闘いだ。産別として最大級の闘いを。

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