20010805

北海道教組 「日の丸・君が代」に抗議
これに道教委が大量処分

弾圧には徹底して闘う

北海道教職員組合 住友 肇書記長に聞く


 北海道教育委員会は七月二十七日、今春の卒業式などで、日の丸掲揚・君が代斉唱実施に抗議行動を行った教職員など九十五人を処分した。これに対し、北海道教組は、ただちに抗議声明を発し、処分撤回の闘いを開始した。また、広島県教組と広島県高教組の組合員七十七人は七月二日、「日の丸・君が代」に抗議し処分されたことで、人事委員会に処分撤回を求め不服申し立てを行った。日の丸・君が代について、国旗国歌法制定時に政府は教育現場に強制はしないとしていたが、今回の処分によって何が何でも「日の丸・君が代」を強制しようとする政府の姿勢が明らかになった。また、政府は「新しい歴史教科書をつくる会」教科書を検定に合格させるなど、歴史教育をゆがめる策動を強めている。こうした教育の反動化は、さらに教育基本法、憲法改悪を狙っている。北海道教職員組合の住友肇書記長に聞いた。

 北海道教育委員会は七月二十七日、今春の卒業式、入学式で日の丸・君が代の強制に抗議する行動に対し、処分を決定した。具体的には、後志支部組合員については「国歌演奏を中断させた」、小樽市の組合員には「国旗を引き下ろした」「日の丸・君が代の強制に反対するビラを配布した」などとしている。
 特に小樽市では八十五人が処分されたが、そのうち十八人は管理者である。これは、これまで小樽市では、日の丸・君が代を拒否してきた歴史があり、明らかな狙い打ちである。しかも、人物を特定できないために、分会長だけを処分したところもある。
 また、管理職の処分は、管理職がきちんと日の丸・君が代を強制しないとだめだということである。どちらも「見せしめ」としての処分である。
 しかも、抗議声明にも出したが、道教委でまず処分を決定してから、各地教委に処分させようとしてる。つまり、訓告処分は道教委にはその権限がないので、各市町村の教育委員会に処分させようとしている。ここまで来れば、北教組を弾圧するための処分でしかないのは明らかだ。
 根拠のあいまいな処分で、「日の丸・君が代」を強制しようとする道教委の狙いは、自民党・文部科学省に追随し、物言わぬ教職員づくりである。そして、それは「日の丸・君が代」だけでなく、「つくる会」教科書の採択、教育基本法の改悪、改憲へとつながる攻撃である。だからこそ、北教組は全力で闘う。
 今後の闘いだが、この問題を教職員だけの問題にしてはならない。つまり、「つくる会」教科書の採択問題などともつながっており、地域住民とともに運動をすすめるようにしたい。
 そのためには、支部、分会での意思一致をはかることを前提にして、地域にさらに入っていく運動をすすめる。
 また、八月下旬には全道集会など大規模な抗議行動も計画している。


抗議声明(要旨)

 道教委は本日、今春の卒業式・入学式における「日の丸・君が代」の強制に反対した教職員に対して処分と処分方針を強行した。
 「日の丸・君が代」を処分によって強制することは、教育の自由や子ども・教職員の思想・良心の自由を踏みにじり、教育の自主性・主体性、分権・自治を否定し、民主教育を破壊するものである。
 北教組は処分は絶対に許されるものではなく、道教委の処分方針に対して、すべての組合員が強く抗議するとともに、この撤回を求める道教委交渉を申し入れた。
 また、この処分の背景は、道議会自民党の追及と文部科学省の圧力に追随したものであり、また、手続きについても、(1)道教委が処分方針を決定し、これを地教委に押しつけ、地教委の権限を侵すものであること。(2)信用失墜行為などを適用して訓告処分とする基準が不明確であることなど、きわめて問題があるものである。
 これらの不当処分方針は、子どもの教育を無視し、処分を行ってでも「日の丸・君が代」を強制するものであり、「日の丸・君が代」強制に反対する者に対する「見せしめ」として精神的な圧力をかけ、教職員の職場での協力関係などを分断し、物言わない教職員づくり、国・行政・校長に従順な教職員づくりを狙うものである。
 私たちは、子どもを主人公とした心あたたまる卒業式・入学式を子どもと教職員がいっしょになって、創造的につくりあげてきた。しかし、このような取り組みの中に、何が何でも「日の丸・君が代」を導入しようとしているのは、自民党・文部科学省とこれに追随する教育行政・校長であることは明らかである。また、これは、史実を踏みにじる「つくる会」の教科書を政治的な圧力で採択させようとする動きとも一体のものである。学校に歴史教育をゆがめる教科書を導入し、「日の丸・君が代」を強制し、道徳教育を徹底して、強いものが独り勝ちする経済・軍事大国をすすめる国づくりを邪魔しない、国家に従順で都合のよい人づくりを徹底するものである。そして、究極には、憲法・教育基本法の改悪をもくろんでいる。
 私たちはこれらの攻撃に屈することなく、「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンのもと、組織の結束をかため総力をあげて、不当処分に抗議するとともに、地教委での処分をさせない取り組みをねばり強くすすめる決意を表明する。

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