20010625

全国一般石川 
ジャージー乳業で廃業・解雇攻撃
解雇撤回を要求

俺たちは虫けらじゃない


 リストラ攻撃の嵐の中で、毎日多くの労働者が職場から追い出されている。石川県金沢市にあるジャージー高木乳業では、牛乳の異臭事件を契機に一方的な廃業・解雇の攻撃がかけられた。全国一般石川地本のジャージー乳業分会(十二人)は、この不当な攻撃に対し、闘争を開始した。リストラ攻撃に対する労組の抵抗が弱まり、リストラが当たり前のような風潮の中、ジャージ分会は、徹底的に経営者の責任を追及し闘っている。全国一般石川地方本部の高原壮夫委員長に聞いた。

 石川県金沢市で四月二十七日、ジャージー乳業の学校給食用の牛乳に異臭が発生し、小中学生四百人以上が吐き気や腹痛を訴えるという事件が起きた。事件直後から、保健所や警察による調査が行われ、ほとんどの組合員が長時間の事情聴取を受けたが、組合としても原因究明に協力してきた。
 しかし、金沢市は五月二十一日、「牛乳に洗浄剤が混入したかどうかは特定できない」として、原因不明のまま、幕引きが行われた。
 事態の推移が定まらない中、会社は五月三日にパート社員に解雇通告し、五月十七日には突然株主総会を開き、「廃業」を決定した。そして、全従業員を解雇するとの通告を一方的に行った。
 組合は五月二十一日の団体交渉で(1)一切の協議・交渉を行わず「廃業・解雇」の通告は容認できず、撤回を要求する、(2)被害を受けた児童・生徒に対し組合としてお見舞い申し上げるが、原因究明や補償問題を不問にした廃業は無責任極まりない。会社として原因と責任の所在について見解を求める、(3)廃業を決めた理由を明らかにすること、(4)労使合意に至るまで解雇を強行しないこと、(5)会社の決算書、財務諸表を組合に提出すること、などを要求した。
 こうした追及に対して、社長は原因究明は保健所や警察がやっているから、会社としては何もしない、と平然と語る始末である。しかも、製造部長の責任を追及すれば、「刑事追訴の恐れがあるからしない」などと答弁している。企業の社会的道義的責任を放棄したものである。
 解雇については、「パートは必要ないから解雇した」と平然と開き直り、組合員の解雇についても「会社を継続しないのだから、解雇は当然」「組合と協議する必要はない」などと、労働者の生き死にがどうなろうと関係ないと、許しがたい答弁を繰り返した。


リストラに泣き寝入りはしない
全国一般石川地本 高原 壮夫委員長

 全国一般石川地本は、こうした会社の不当な攻撃に地本を上げて闘いを開始している。また、決起集会には、連合石川なども参加し、幅広い共闘をつくり出し始めている。
 会社が解雇予告を郵送で送ってきたので、組合としては、それを一括して社長に返却し、会社も受理した。ところが五月十七日になって、解雇だといってきた。
 組合は会社とも合意して五月二十日に団交を予定していた。だが、会社は「従業員でなくなったので団交義務はない」などと言い出した。また、組合として損害賠償請求の訴訟を準備しているが、これについても「損害賠償というのは一種の脅迫であり、脅迫を準備している者と交渉はできない」などとの暴論を振りかざしている。争議団が団体交渉を行うのは当然のことであり、これを拒否することは許されない。
 事件そのものについては、会社の犯罪だと思う。その上、事件を契機に労働者を解雇するという悪質な攻撃だ。この点で、しっかり追及していきたい。
 しかも、会社は任意解散である。多額の資産が残っているが、それも会社のものだと主張している。その資産を被害にあった方々の補償に使うわけでもない。だから、資産はあるのに、解雇など許されず、損害賠償請求はやらなくてはならない。
 社長は「会社に三億五千万円ほどを貸している。貸した金は返してもらうのが当然だ。その半分は受け取るべき役員報酬をもらってこなかった。それを貸付金としてきたのだから、請求するのが当然だ」と言っている。
 われわれは、それを放棄せよ、労働者にわずかばかりの金だけで職場から放り出すのは許されない、と主張している。
 この闘争の意義だが、いまリストラで全国で何十万人、何百万人もの労働者が職場から放り出されている。その場合に労組の抵抗も少ない。それどころか、リストラが当然という雰囲気がつくられ、希望退職ならまだよいと殺到するように労働者の意識さえ変質させられている状態だ。だから、ジャージーの闘いは、多くのリストラに会って、泣き寝入りしている労働者を激励することにもなる。
 われわれとしては、この闘いを広めていきたい。組合員はいまも毎日、会社に出て、仕事はないけれども組合員の団結を固めている。先日の決起集会にも連合石川や社民党なども参加した。そして社長の自宅にも行って、抗議した。これからは、広く会社の不当攻撃を訴え、支援共闘会議のようなもをつくっていきたい。

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