20010615

仏労組 日仏労働者交流連帯

闘いの中で組織拡大


 小泉政権が登場し、すでに決定している郵政公社化の動きが、郵政三事業の民営化の方向に進められようとしている。そうした中、全労協はフランスで郵政民営化や国鉄の民営化などに反対して闘っている、連帯・統一・民主労組(SUD)の電信電話労組(PTT)のL・アン・ヘレン執行委員と鉄道部門労組(Rail)のジェル・ピエル執行委員を招き、連帯・交流を六月八日から行っている。六月十二日には、東京で日仏労働者交流集会が行われた。

 集会では、矢沢東京都労連委員長が「石原都知事は強敵だが、われわれは決して屈服しない。フランスの労働者が新しい組合をつくり、闘っていることは、大変力強い。連帯して闘っていこう」と歓迎あいさつを述べた。
 続いて、次のようなフランスの労働組合の現状がL・アン・ヘレン氏とジェル・ピエル氏から報告された。
 フランスのナショナルセンターは、共産党系のフランス労働総同盟(CGT)、社会党系のフランス民主労組連合(CFDT)があり、その後、反共的な労働者の力(FO)が結成されている。
 また、フランスの労組の組織率は一〇%を切り、先進工業国では最低である。
 それは、オイルショック後の七八年以降、資本の攻撃に有効に対抗できず、支持を失った。特に、八一年に社会党のミッテラン大統領と社共の連合政権の登場した。そして、緊縮財政を打ち出しが、CFDTは「自主管理社会主義」という立場を放棄し、労使協調路線を打ち出す。同時にFENも同じ労使協調を取る。
 CGTは、民間基幹産業(石炭、造船、鉄鋼など)を中心に組織していたが、重厚長大から軽薄短小へという経済構造の激変によって、組織人員は減少を続ける。
 そして、 次のようなSUDが結成されたいきさつが報告された。
 鉄道、郵便、通信、水道などが民営化攻撃を受けたが、CFDTは郵便局とフランス・テレコムの民営化に同意してしまう。
 一九八八年には民営化に反対した千人の労働者が、加盟していたCFDTから除名され、(SUD・PTT)を結成した。
 その後、SUD・PTTは一万二千人に組織を拡大した。
 とりわけ仏テレコムでは、CGTに次ぐ組織率となり、CFDTやFOを追い越した。
 また、この動きに連動してSUD参加が引き続いている。
 政府の赤字ローカル線の廃止攻撃に対して国鉄でも、一九九六年にはストライキに消極的なCFDTから脱退した労働者が、SUDの鉄道部門労組(Rail)を結成した。
 そして、民営化に反対しストライキで闘う。SUD・Railは四年間で国鉄第三位の組合に成長する。
 さらに看護婦など医療職場や教員でも、闘いを求める労働者がSUDに参加する労働組合を結成している。
 SUDの前進は、幹部請負主義でなく、徹底した組合民主主義と女性問題やホームレス・失業、反ナチなど社会問題にも積極的に参加した結果といわれている。とりわけ反失業ヨーロッパ大行進を積極的に支えるなどしている。

◇    ◇

 こうした運動は、労組の力量が低下した日本の労働運動にとっても学ぶべきものが多くある。
 とりわけ小泉「改革」による郵政民営化、公務員制度改革などを考えれば、全逓などは真剣にSUDの経験に学ぶ必要があるだろう。

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