20010525

全国一般・山形自動車学校労組

高裁で勝利判決


 全国一般山形自動車学校労働組合は、昨年八月に結成された。それは七月に突然の解雇予告があり、それに対応するためのものであった。同労組は解雇撤回、賃金の仮払いを求めて、山形地裁で争っていた。(本紙二〇〇〇年十二月十五日号報道)だが、地裁は不当にも労組の主張を却下し、労組は直ちに仙台高裁に控訴していた。そして、今年四月二十七日、仙台高裁は労組の要求を認め、賃金の仮払い、解雇権の乱用との判決を下した。リストラ攻撃が強まる中、雇用と生活を守るために、労働組合を結成し、闘うことがますます重要になっている。山形自動車学校労働組合の柏木実委員長に聞いた。

不当解雇に泣き寝入りしない
山形自動車学校労組 柏木 実委員長

 仙台高裁の判決は組合の主張がほぼ認められた。
 解雇理由について、会社は突然、懲戒解雇だとしてきた。だが、高裁は「懲戒に当たる言動はまったくみられない」と会社の理由を拒否した。そして、「解雇は著しく不合理であり、解雇権の乱用である」と、この闘い全体を見ての評価が出された。この点では満足している。
 幕別自動車学校は山形に自動車学校をもっているが、そこに就労するのは容易ではないとの判断で、地位保全は却下された。
 しかし、われわれは解雇撤回を求めて引き続き闘っている。まわりには、「賃金の仮払い命令も出たのに、まだ闘うのか」という声がある。われわれが闘うのは、解雇は無効であるということをはっきりと認知させ、会社に謝罪させることだ。
 今週にも本裁判に入るが、それとあわせて地方労働委員会に不当労働行為の救済を求めていく。裁判では争いにならなかったが、労働組合を結成するとの話に対し、会社はボーナスを廃止する、などといってきた。さらに労組内にスパイを潜入させたり、女性組合員に対して、一人ひとり呼び出して恫喝(どうかつ)する、などの不当労働行為があった。
 これらの問題もきちんとさせたい。われわれは、労組や労働者の尊厳を踏みにじる行為を許さない。経営者の不当行為に対しては泣き寝入りはしない、という決意だ。そして、そういう闘いを見せていきたい。
 われわれの組合は結成されて、それほどの期間がたっているわけではない。だが、非は経営者側にあるのは明らかだ。だから、争えば勝てるわけで、勝てるのに闘わない手はない。
 また、春闘にしても勝てないというあきらめムードの組合もある。だが、そうではなくて、闘いが大事だと思う。広くいえば、労組の組織化の問題にしても、会社の横暴と闘わなくては、誰も労組の意義を感じないだろう。大げさかもしれないが、われわれの闘いは、その点でも意義があると思う。
 これからも長い闘いになるかもしれないが、石にかじりついてもがんばっていく。


闘いの経過
幕別自動車学校との闘い
 北海道に本社がある幕別自動車学校は、山形自動車学校を経営していた茂木学園と業務提携していたが、昨年9月に提携を解除した。職員については、幕別が責任をもつとしていたが、その事実を隠し10月10日、業績不振との理由で組合員だけを解雇した。
裁判闘争―地裁で全面却下
 昨年10月20日、解雇された8人が山形地裁に地位保全と賃金仮払いの仮処分申し立てを行う。しかし、山形地裁は全面却下した。そこで、仙台高裁に即時抗告した。
仙台高裁より賃金仮払い命令
 仙台高裁は今年4月27日、幕別に対し21〜23カ月分の賃金の仮払いを行うよう命令。そして、仙台高裁は幕別の主張した就業規則違反による懲戒解雇については、「該当する言動は、まったく見あたらない」「解雇理由について、何ら説明されていない」とし、解雇権の乱用を指摘し、組合の主張を全面的に認めた。